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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
魔王まで…………
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「うぅ……………そういえばここに来る途中で大分魔力を消費したの忘れてた……………」
あわわわ……………! どうしよう………と慌てたように打開策を考えるサリウス。だが、今すぐには思いつかないようだ。焦れば焦るほど思いつかないものである。
「くっ……………」
まだ悩んでいるようだ。というか、レクス的には早くお帰り願いたいと思っている。─────と。
「──────!? この魔力…………僕よりも大きい…………!!」
恐らく今のレクスでは太刀打ちできない相手であることに間違いはない。冷や汗が首筋を伝う。緊張感のもと、臨戦体勢に入るレクスだったが─────
その大きな魔力反応の正体は、ゆっくりとこの場に降り立ってきた。ここを破壊しないように慎重に降りてきているようにも見えた。勿論、割れた窓からだ。
頭には立派な二本の角を生やし、明らかに魔族と見える。男だ。増援が来たのかもしれない。
そう思っていたレクス達だったが。
「──────うちの娘が迷惑をかけたようで、本当に申し訳ない」
ペコリと頭を下げて謝罪した。拍子抜け過ぎて、緊張が一気に抜けてしまった。うちの娘と言っていたから、恐らくこの人が父─────もとい、魔王なのだろう。
「サリウス。今のお前ではいくらその武器を使ったところで勝てぬ。見たところ、お前とあの少年のステータスは倍近く離れている。あの少年に勝ちたいなら、もっとステータスを上げろ。あと、人ん家を訪ねる時は玄関から入れ」
「えー、でもー…………窓から入った方がかっこよくない? 魔王の娘なのに、玄関から入るってシュールすぎない?」
その前の勝てない云々の話はそっちのけでそんなことを言うサリウス。
「お前なぁ~…………。いちいち尻拭いしてるこっちの身にもなれっ!! 今回は事が重大に至ってないから良かったものの……………。この前、シルキーのとこに侵入したって聞いたときは肝が冷えたんだからなっ!」
「でも、シルキーさんは優しかったよ? おもてなしもしてくれたし」
「あいつは一見性格がよく見えても、内心はすごく腹黒いんだ。あいつが怒ったら、俺でも手をつけられない。とにかく、お前ももう少し礼儀というものをだな─────」
「もう、父上はうるさい! 嫌い!!」
「き、嫌い………………!?」
プイッとそっぽを向くサリウスに明らかに落ち込んだ様子の魔王。もしかすると、娘の事が大好きなだけの父親だったりするのかもしれない。
「な、なぁ、今度あの少年をこてんぱんにできる強い技教えてやるから、な? サリウス、機嫌直してくれ」
「………………本当に?」
してやったり、というような笑みを浮かべながらそう言うサリウス。だから娘が助長するじゃないのか、父親よ。というか、その強い技はできれば教えて上げないで欲しい。くらうのはレクスだから。
「じゃあ、約束ね!!」
サリウスの笑顔を見た魔王はホッとした。そして、ハッ…………!? と気づいて突然辺りを見回し、自分が生暖かい目で見られていることに気づき……………ごほん、と咳払いを一つ。
「と、とりあえず、今日のところは帰るぞ。この少年と再戦したいなら、また今度、強くなってからここに来ればいい。あと、きちんと玄関から入れよ」
さすが父親。言うことはきちんと言う。だが、ここに来ることは推奨しないで欲しかった。
「むぅー……………そうだな。魔力も尽きてるし、一旦帰った方がいいか」
サリウスは魔王の言葉に頷いた。
「じゃあ、帰るぞ。私の手を握れ」
サリウスは言われた通り、魔王の手を握る。すると、魔王は魔法で宙を浮き、そのまま外へと飛び去っていった。
「……………せめて窓くらい直してってよ」
レクスは溜め息をつきながらそう言った。なんとも騒がしい親子であった。
(それにしても魔王……………思ったより普通だったなぁ…………)
あわわわ……………! どうしよう………と慌てたように打開策を考えるサリウス。だが、今すぐには思いつかないようだ。焦れば焦るほど思いつかないものである。
「くっ……………」
まだ悩んでいるようだ。というか、レクス的には早くお帰り願いたいと思っている。─────と。
「──────!? この魔力…………僕よりも大きい…………!!」
恐らく今のレクスでは太刀打ちできない相手であることに間違いはない。冷や汗が首筋を伝う。緊張感のもと、臨戦体勢に入るレクスだったが─────
その大きな魔力反応の正体は、ゆっくりとこの場に降り立ってきた。ここを破壊しないように慎重に降りてきているようにも見えた。勿論、割れた窓からだ。
頭には立派な二本の角を生やし、明らかに魔族と見える。男だ。増援が来たのかもしれない。
そう思っていたレクス達だったが。
「──────うちの娘が迷惑をかけたようで、本当に申し訳ない」
ペコリと頭を下げて謝罪した。拍子抜け過ぎて、緊張が一気に抜けてしまった。うちの娘と言っていたから、恐らくこの人が父─────もとい、魔王なのだろう。
「サリウス。今のお前ではいくらその武器を使ったところで勝てぬ。見たところ、お前とあの少年のステータスは倍近く離れている。あの少年に勝ちたいなら、もっとステータスを上げろ。あと、人ん家を訪ねる時は玄関から入れ」
「えー、でもー…………窓から入った方がかっこよくない? 魔王の娘なのに、玄関から入るってシュールすぎない?」
その前の勝てない云々の話はそっちのけでそんなことを言うサリウス。
「お前なぁ~…………。いちいち尻拭いしてるこっちの身にもなれっ!! 今回は事が重大に至ってないから良かったものの……………。この前、シルキーのとこに侵入したって聞いたときは肝が冷えたんだからなっ!」
「でも、シルキーさんは優しかったよ? おもてなしもしてくれたし」
「あいつは一見性格がよく見えても、内心はすごく腹黒いんだ。あいつが怒ったら、俺でも手をつけられない。とにかく、お前ももう少し礼儀というものをだな─────」
「もう、父上はうるさい! 嫌い!!」
「き、嫌い………………!?」
プイッとそっぽを向くサリウスに明らかに落ち込んだ様子の魔王。もしかすると、娘の事が大好きなだけの父親だったりするのかもしれない。
「な、なぁ、今度あの少年をこてんぱんにできる強い技教えてやるから、な? サリウス、機嫌直してくれ」
「………………本当に?」
してやったり、というような笑みを浮かべながらそう言うサリウス。だから娘が助長するじゃないのか、父親よ。というか、その強い技はできれば教えて上げないで欲しい。くらうのはレクスだから。
「じゃあ、約束ね!!」
サリウスの笑顔を見た魔王はホッとした。そして、ハッ…………!? と気づいて突然辺りを見回し、自分が生暖かい目で見られていることに気づき……………ごほん、と咳払いを一つ。
「と、とりあえず、今日のところは帰るぞ。この少年と再戦したいなら、また今度、強くなってからここに来ればいい。あと、きちんと玄関から入れよ」
さすが父親。言うことはきちんと言う。だが、ここに来ることは推奨しないで欲しかった。
「むぅー……………そうだな。魔力も尽きてるし、一旦帰った方がいいか」
サリウスは魔王の言葉に頷いた。
「じゃあ、帰るぞ。私の手を握れ」
サリウスは言われた通り、魔王の手を握る。すると、魔王は魔法で宙を浮き、そのまま外へと飛び去っていった。
「……………せめて窓くらい直してってよ」
レクスは溜め息をつきながらそう言った。なんとも騒がしい親子であった。
(それにしても魔王……………思ったより普通だったなぁ…………)
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