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9章 祝福
ガラクタ掃除
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「『作る』!」
レクスは魔力を凝集させ、魔法袋を作ろうと試みる。今度こそ、きちんと作れるはずだ。良い調子、もう少しで完成する─────
「……………あれ? 魔力が……………」
おかしい。できるのが遅いし、魔力が多く吸われているような感覚さえある。
『ちょっ、ちょっと、『作る』! 主の魔力をむやみに吸い取っちゃだめでしょ! 君が食いしん坊なのは知ってるけど、主を困らせちゃだめでしょ!』
『えー、だって…………久しぶりの魔力供給だよ、フロイアちゃん。お腹減ったー、魔力吸いたいー!』
『……………なにやってるの? 君ら』
レクスが念話で二人に話しかける。
『主!?』
『あー、ご主人様だー』
フロイアは驚いたように声をあげるが、反対にもう一人の方は全く驚いていない。それどころか、にへー、と嬉しそうに笑みを浮かべていそうな様子すら想像できそうな声音だ。
「魔力が放出され続けてるはずなのに、量が増えてない……………」
ナタリアはほわぁっ…………と驚いたような様子で呟いた。レクスからすればエクストラスキル『日常動作』が一つ、『作る』が自分の魔力を吸っているのだと分かるが、ナタリアからしてみれば、不思議な現象が起きているようにしか見えない。
『申し訳ないです、主。お手を煩わせて』
『いやぁ…………別に構わないんだけどさ。っていうか…………』
(僕のスキルが段々自ら意志を持ち始めてるような……………気のせい、じゃないよね…………)
気のせいだとよかったのだが、残念ながらネムとフロイアという前例を見ているので、気のせいではないのだ。
『ほら、『作る』! 主が望む物を作って!』
『ぶぅ~…………わかったよ。…………ねぇ、ご主人様ぁ、好きな時に魔力を吸いたいんだけど、いいかな?』
『こらっ、そんなの主が許可するわけ……………』
『いいよ、別に。だけど……………僕も魔法使ったりするから、程々にね』
『うん、いつも三分の一くらいしか吸ってないから、大丈夫!』
(ん…………? いつも…………? あっ、もしかしてたまに魔力が減ってるのって『作る』のせい……………?)
というか、『作る』は少し呼びにくい。何か適当に名前をつけた方がいいだろう。だが…………肝心の名前が思い浮かばない。
「…………クス、レクス」
「……………ん?」
「ボーッとしてたけど……………大丈夫?」
ナタリアがレクスの顔を覗き込みながらそう尋ねる。少し心配そうな表情だった。
「ごめん、ごめん。大丈夫だよ、何でもない」
自分の手元を見てみれば、いつの間にか魔法袋ができていた。
「まあ、名前をつけるのはあとでいっか」
ボソッとレクスはそう呟いた。とりあえず、今は目の前のガラクタを片付けるところからだ。自分のスキルなんだし、暇な時に話せるだろう。
「さっ、やるわよ、レクス」
ナタリアは覚悟を決めたように腕を捲った。その覚悟が無意味だとわかったのは、レクスが作ったものが魔法袋だということを聞いた後だった。
レクスは魔力を凝集させ、魔法袋を作ろうと試みる。今度こそ、きちんと作れるはずだ。良い調子、もう少しで完成する─────
「……………あれ? 魔力が……………」
おかしい。できるのが遅いし、魔力が多く吸われているような感覚さえある。
『ちょっ、ちょっと、『作る』! 主の魔力をむやみに吸い取っちゃだめでしょ! 君が食いしん坊なのは知ってるけど、主を困らせちゃだめでしょ!』
『えー、だって…………久しぶりの魔力供給だよ、フロイアちゃん。お腹減ったー、魔力吸いたいー!』
『……………なにやってるの? 君ら』
レクスが念話で二人に話しかける。
『主!?』
『あー、ご主人様だー』
フロイアは驚いたように声をあげるが、反対にもう一人の方は全く驚いていない。それどころか、にへー、と嬉しそうに笑みを浮かべていそうな様子すら想像できそうな声音だ。
「魔力が放出され続けてるはずなのに、量が増えてない……………」
ナタリアはほわぁっ…………と驚いたような様子で呟いた。レクスからすればエクストラスキル『日常動作』が一つ、『作る』が自分の魔力を吸っているのだと分かるが、ナタリアからしてみれば、不思議な現象が起きているようにしか見えない。
『申し訳ないです、主。お手を煩わせて』
『いやぁ…………別に構わないんだけどさ。っていうか…………』
(僕のスキルが段々自ら意志を持ち始めてるような……………気のせい、じゃないよね…………)
気のせいだとよかったのだが、残念ながらネムとフロイアという前例を見ているので、気のせいではないのだ。
『ほら、『作る』! 主が望む物を作って!』
『ぶぅ~…………わかったよ。…………ねぇ、ご主人様ぁ、好きな時に魔力を吸いたいんだけど、いいかな?』
『こらっ、そんなの主が許可するわけ……………』
『いいよ、別に。だけど……………僕も魔法使ったりするから、程々にね』
『うん、いつも三分の一くらいしか吸ってないから、大丈夫!』
(ん…………? いつも…………? あっ、もしかしてたまに魔力が減ってるのって『作る』のせい……………?)
というか、『作る』は少し呼びにくい。何か適当に名前をつけた方がいいだろう。だが…………肝心の名前が思い浮かばない。
「…………クス、レクス」
「……………ん?」
「ボーッとしてたけど……………大丈夫?」
ナタリアがレクスの顔を覗き込みながらそう尋ねる。少し心配そうな表情だった。
「ごめん、ごめん。大丈夫だよ、何でもない」
自分の手元を見てみれば、いつの間にか魔法袋ができていた。
「まあ、名前をつけるのはあとでいっか」
ボソッとレクスはそう呟いた。とりあえず、今は目の前のガラクタを片付けるところからだ。自分のスキルなんだし、暇な時に話せるだろう。
「さっ、やるわよ、レクス」
ナタリアは覚悟を決めたように腕を捲った。その覚悟が無意味だとわかったのは、レクスが作ったものが魔法袋だということを聞いた後だった。
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