【完結】虚

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第二章

78.二度と朝日は拝ませない

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 交代で見張りをしていたから休んだと言い張るヴラゴだが、明らかに顔色が悪い。不味いかも知れないがオレの血を提供した上で、お願いをひとつ。

「構わんが……全部か」

「ああ。全部だ、一体残らずドーレクの内側に入れてくれ」

 ヴラゴは配下の蝙蝠達に合図を送り、都の外にいるすべてのアンデッドを塀の内側へ送り込むよう命じた。この都は観光地で、魔族の住む領域からも遠かった。黒い霧の影響もほとんど受けないため、景観重視で他国より塀が低い。アンデッドは石や土を積んで傾斜を作り、一体また一体と中に戻っていった。

 内側で黒い血によって無効化されるだろう。それが狙いだった。死体の数が多いほど、こちらは都合がいい。

 地面に手を突いて、魔力を大量に流し入れた。何をするかと尋ねる精霊達に、あの都を覆うよう頼む。中を潰さないよう、建物の屋根の高さを利用して封鎖するのだ。音を立てず、暗闇を利用するよう風の精霊達にも魔力を渡した。一度に大量に使いすぎたのか、ふらりとして地面に懐いた。尻餅をついて座ったが堪えられず、ゴロンと寝転がる。

「血を提供した後に魔力を絞るからだ」

 むっとした口調でヴラゴが、上からオレを覗き込む。反論できずに苦笑いするが、どうせすぐに補充されるのだ問題はなかった。カインとアベルもこちらの様子を窺ったものの、その後は駆け寄っても来ない。練習中に魔力が尽きて休むオレの姿を何度も見たせいだろう。

「双子も動かないだろ。日常だからさ」

 気にするなと言ったオレの首を、ぐいっと誰かが引っ張った。

「いてっ、ちょ……」

「私の! 何する!!」

 怒るエイシェットのお出ましだ。夕食用の狩りに出た彼女は、まだ血に濡れた手でオレの頭を抱え込んだ。生臭さと温かさを同時に感じながら、彼女の腕をぽんぽんと叩く。

「エイシェット、作戦用に魔力を使いすぎた。平気だよ。でもありがとうな」

 頷く彼女が、肉の塊を引きずってくる。牛くらいだろうか。吸血種が血抜きを手伝ってくれるので、すぐに食べられる。硬い部分を削ぎ落として中央の柔らかい部分を差し出された。

「ひ弱な婚約者でごめんな」

 一番美味しい部分を譲られて、思わず口をついた言葉に頬を叩かれる。

「私が選んだ!」

「言葉を間違えた。美味しい部位を譲ってくれてありがとうだ」

 言い直したが、叩かれた頬が痛い。彼女なりに手加減してくれたが、もし本気で叩かれたら頭が転げ落ちる案件だぞ。いや潰されたかも。

 ぞっとしない想像に身震いしながら、火を通そうとしたらエイシェットがブレスで炙ってくれた。口から吐く炎が目立たないよう、炎を白く変化させる。器用なドラゴンは焼き加減も抜群だった。礼を言って食べるオレの横で、彼女は生肉に齧り付く。お裾分けされた肉をフェンリル達が頬張った。

 食事を終えて、ドーレクの様子に目を凝らす。アンデッドを入れた当初は騒いでいたが、今は静まりかえっていた。見張りを残して眠ったか。とんとんと大地に合図を送り、作業開始を伝える。風が舞い上げた土が塀や屋根を伝い、徐々に天井を形成していく。月光を遮られても、曇ったとしか認識できないだろう。

 風は音の振動を消し去り、大地の動きを助けた。途中まで見ていたが、我慢できずに寝転がる。懐くエイシェットの背を軽く叩きながら、オレは目を閉じた。

 夜明けまで眠ろう。朝日が差し込む頃にわかる。ドーレク内部の連中は、二度と朝日を拝めないのだ――と。








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 狐面で忍び込む御転婆姫と、仮面で応じる英雄王子。危険な場面で助け合いながらも、魔物の取り合いが始まる。皇家や王家の思惑も入り混じる中、ドタバタする彼と彼女の恋の行方は?!


イラスト&原作協力  蒼巳生姜様
小説  綾雅(りょうが)
たいあっぷで意気投合した新作です!!
妖退治に奔走する2人。恋愛部分はすれ違いラブコメ風、双片想い。ハッピーエンド確定です。
ぜひ、ブクマしてお楽しみください(o´-ω-)o)ペコッ


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