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番外編
010.青い花を育てる
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異国からもたらされた商品や飾り物、色が綺麗でいくつか買い求めた。だって、今回を逃したら次はいつ買えるかわからないのよ? こういうお祭りの売り物は記念品だし、お土産みたいなものよ。いくつあってもいいわ。
シリルも購入にあれこれ言わなかったし……ただ、彼も何か買っていたわね。双子は同じ色の首飾りを欲しがった。花で作ってあるのかと思ったら、造花なんですって。布で枯れない花を作るなんて、すごい技術よね。ギルバートとユーディットに好きな色を選ばせたら、二人とも黄色を選んだ。
「同じ色でいいの?」
後で「こっちは私の」とか「僕のを取った」とか喧嘩しないよう、何か印をつけようと決めた。頷く二人は満足そうで、それ以上は何も言わずに購入する。数日したら部屋の片隅で壁に掛けられているか、棚のどこかに飾られるでしょうね。
この子達は遊ぶときは夢中だけれど、飽きるのも早いのよ。過去にお父様達が持ってきてくれた玩具もそうだったし。
アーサーとダレルにも飾り紐を買う。これなら剣を留めるベルト部分につけられると思うの。使用人達には食べ物を手配して、鉢植えの前で足を止めた。すごく綺麗な青い花だわ。四つの花びらの中心に黄色がある。青……少し紫が入っている?
「綺麗だね。買って帰ろうか」
「ダメよ。私、すぐ枯らしちゃうの」
ラーラに聞けば知っているわ。自分で育てると言って、いくつも枯らしてしまった。可哀想だもの。首を横に振ったのに、シリルは購入すると店主に伝えた。それから育て方のコツをいくつか聞いて、鉢は侍従に持たせる。
「君が育てて、マリー。可愛い僕達の愛の結晶も、こんなに立派に育っただろ? 昔は昔、いまは今だよ。僕も協力するからさ」
「そう、ね。育ててみるわ」
揺れる小さな青い花が二つ、蕾が一つ。子供達は乳母やラーラのお陰で育ったけれど、私だって手伝ったわ。きっと今回は上手に育てられる。そうよね? シリルに微笑み、お腹を優しく手で包んだ。
お祭りを楽しんだ日から半年後、大きくなったお腹に苦労しながら散歩をする。転ぶと大変だから、大量の護衛がついていた。ダレルも戻ってきたの。二人で「あっ」「うわっ」と言いながら、忙しなく手を伸ばす。そんな簡単に転ばないわ! 言った側から躓いた。
たたらを踏んだものの、転ばずに済んで安堵の息をつく。見守る周囲も、ほっとした顔だった。今日はシリルが王城へ出かけている。他国との協議があるようで、クリスお義兄様の補佐をすると聞いた。残念だけど泊りになる。一週間は帰って来ないと嘆いて出かけた。
お腹を蹴る我が子に「あと十日は我慢して」と話しかける。足元に飛び出したユーディットが、お腹を撫でて笑った。
「まぁだ、とぉちゃま、がいない……もの」
私の口調を真似始めた娘の隣で、ギルベルトは無言でお腹のぽんと叩く。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんが、まだと言ったら我慢できるわよね」
言い聞かせるつもりで、私はお腹を撫でて……嫌な予感に汗をかいた。もしかして、この痛みって陣痛じゃない? 双子の時ほど強くないが、お腹の下のほうが痛い気がする。
ごめんなさい、シリル。あなたが戻るまで産まない約束は、無効になりそうよ。
シリルも購入にあれこれ言わなかったし……ただ、彼も何か買っていたわね。双子は同じ色の首飾りを欲しがった。花で作ってあるのかと思ったら、造花なんですって。布で枯れない花を作るなんて、すごい技術よね。ギルバートとユーディットに好きな色を選ばせたら、二人とも黄色を選んだ。
「同じ色でいいの?」
後で「こっちは私の」とか「僕のを取った」とか喧嘩しないよう、何か印をつけようと決めた。頷く二人は満足そうで、それ以上は何も言わずに購入する。数日したら部屋の片隅で壁に掛けられているか、棚のどこかに飾られるでしょうね。
この子達は遊ぶときは夢中だけれど、飽きるのも早いのよ。過去にお父様達が持ってきてくれた玩具もそうだったし。
アーサーとダレルにも飾り紐を買う。これなら剣を留めるベルト部分につけられると思うの。使用人達には食べ物を手配して、鉢植えの前で足を止めた。すごく綺麗な青い花だわ。四つの花びらの中心に黄色がある。青……少し紫が入っている?
「綺麗だね。買って帰ろうか」
「ダメよ。私、すぐ枯らしちゃうの」
ラーラに聞けば知っているわ。自分で育てると言って、いくつも枯らしてしまった。可哀想だもの。首を横に振ったのに、シリルは購入すると店主に伝えた。それから育て方のコツをいくつか聞いて、鉢は侍従に持たせる。
「君が育てて、マリー。可愛い僕達の愛の結晶も、こんなに立派に育っただろ? 昔は昔、いまは今だよ。僕も協力するからさ」
「そう、ね。育ててみるわ」
揺れる小さな青い花が二つ、蕾が一つ。子供達は乳母やラーラのお陰で育ったけれど、私だって手伝ったわ。きっと今回は上手に育てられる。そうよね? シリルに微笑み、お腹を優しく手で包んだ。
お祭りを楽しんだ日から半年後、大きくなったお腹に苦労しながら散歩をする。転ぶと大変だから、大量の護衛がついていた。ダレルも戻ってきたの。二人で「あっ」「うわっ」と言いながら、忙しなく手を伸ばす。そんな簡単に転ばないわ! 言った側から躓いた。
たたらを踏んだものの、転ばずに済んで安堵の息をつく。見守る周囲も、ほっとした顔だった。今日はシリルが王城へ出かけている。他国との協議があるようで、クリスお義兄様の補佐をすると聞いた。残念だけど泊りになる。一週間は帰って来ないと嘆いて出かけた。
お腹を蹴る我が子に「あと十日は我慢して」と話しかける。足元に飛び出したユーディットが、お腹を撫でて笑った。
「まぁだ、とぉちゃま、がいない……もの」
私の口調を真似始めた娘の隣で、ギルベルトは無言でお腹のぽんと叩く。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんが、まだと言ったら我慢できるわよね」
言い聞かせるつもりで、私はお腹を撫でて……嫌な予感に汗をかいた。もしかして、この痛みって陣痛じゃない? 双子の時ほど強くないが、お腹の下のほうが痛い気がする。
ごめんなさい、シリル。あなたが戻るまで産まない約束は、無効になりそうよ。
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