【完結】年下夫は妻の訛りが愛おしい ~ただしヤンデレ風味~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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23.告白はおまけ付きでした

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 寝室の扉を開け、同行するラーラに「今日の仕事は終わり」と伝えた。微笑んで扉を閉める。

「っ! マリー? ほんとう、に?」

 驚いた声を上げるシリル様は駆け寄り、私の前で止まった。手を伸ばしては引っ込める繰り返しなので、私が先に握ります。驚いた顔で、繋いだ手を凝視するシリル様に声をかけた。

「約束しましたよね? 戻ってきました」

「……あ、うん。でも、兄上達に聞いたんだろう? 僕は壊れてて、危険だって……」

「ご自分でそう思うのですか?」

「いや。僕はただ大事にしているつもりだった。周囲や相手がそう思わなかっただけだ」

 なるほど、繰り返す理由はここですね。叱られても止められても、自分が悪いと思っていない。だから興味が向く対象へまた執着を向けた。この方は賢く大人びた態度ですが、中身は子供のまま。

 幼い頃に手を離されて、成長しなかったのかもしれません。理由がわかれば、ただ可哀想な幼子が泣いているように見えて。どうせ母国に帰っても、また政略結婚で嫁ぐのです。それならこのまま、豊かな隣国から支援を頂く政略結婚のほうがいい。

 私もシリル様も満たされるし、ディーお義姉様やクリスお義兄様も安心なさるわ。誰も損をしないのだから、継続しても構わない。ただ、ルールを決める必要はありますね。

「シリル様は、私をどうお思いですか?」

「大好きだ! 綺麗で、賢くて、でも方言が可愛い。そんな君が好きだ」

 意外と簡単に「好き」と言ってもらえたのは、驚きです。目を瞬く私に、背伸びしてキスをしました。屈んで迎えてしまった時点で、私の気持ちはバレバレですが……言わないのも失礼でしょう。

 ただ、告白の中に気になる単語が入っていました。方言が可愛い……? 方言……おそらく母国語ではなく、ソベリ語ですよね。お父様やお母様も訛っていないと思いますので……。

「あの、私のソベリ語は訛っているのですか?」

「……ああ、可愛いからそのままにしてくれ」

 あっさり肯定され、思い当たる節があります。ディーお義姉様が話さないように止めたこと、ソベリ語を使った時に肩を震わせていたこと……。あとで問い詰めさせていただくとして。

『おらのこどば、そんなにおかしいだか?』

『僕が知る限りで、三つか四つの地方の訛りに影響を受けている。マリーの教師が訛っていたんだと思うよ』

 はっきり指摘され、かっと体が熱くなる。顔や手も真っ赤になったと思う。どうしよう、恥ずかしいわ。そんなの、もっと早く教えてくれたらよかったのに。

『僕は君の言葉が好きだ。いろんな人が地元で使う言葉を、尊重されている気がする』

『……あんがとな』

 恥ずかしさが照れに変わっていく。そうなのね、だから自分の前だけで使えと言ったんだわ。聞きたくないのではなく、愛情表現の一つ……。やっぱりシリル様のお嫁さんでいたいな。
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