【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第11章 いい度胸じゃないか!

163.お姫様の奪還成功と続く戦闘

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 通常の親なら、飲み込まれた我が子を斬ってしまうことを恐れるだろう。だがルシファーには確信があった。デスサイズは物理的な刃を持つが、その本体はルシファーの魔力を糧としている。斬る物と斬らぬ物を判別出来た。服を残して中の体だけ傷つけることも可能だ。

 そのデスサイズにイヴの外見を覚えさせている。切り裂かれるのは、巨大イカのみ! 安心して振り下ろした途中で、何かに阻まれた。

「ん?」

 身長ほどもある鎌を軽々と扱い、切った胴体に飛び込む。よく考えたら、最初から転移を使えばよかった。ぼやきながら、内臓のど真ん中もちょっと……と眉を寄せる。胃の中まで届いていない刃をもう一度振るい、遠慮容赦なくイカをカットした。

 苦しみ藻掻くたびに足場が揺れるが、魔王がその程度の妨害を気にするはずもなく。ざっくりと切り裂いた袋が割れて……臭う臓物が現れる。今度こそ胃のはず! 勢いよく突き刺して抉った先で、イヴが自力で這い出てきた。

「うぁ……ぱぁぱ」

「イヴ、イヴぅ!! 無事でよかった、さすがはオレとリリスの子だ」

 生臭くべとべとした愛娘を抱き上げ、さらっと浄化魔法で綺麗にする。内臓の血腥さを遮断する結界を作り、イヴに言い聞かせた。

「これを割ると臭いぞ」

 理解したのか、イヴはきょろきょろと周囲を見回した。大人しくしているイヴの魔法無効化は作動しない。ほっとしながら外へ出た。ブブブと振動するデスサイズが、不満を訴える。まだ敵を倒していない上、臭い内臓ばかり切らされて気に入らないのだろう。

「わかった、外へ出たら暴れてこい」

 地獄の番犬と呼ばれるケルベロス姿に直してやるから。そう伝えると、振動するのをやめた。こういう意思を持つ武器は珍しく、武器マニアのベルゼビュートでさえ1本の剣だけだという。いつから手にしていたのか覚えがないルシファーだが、このデスサイズは相棒として大切にしてきた。

 イヴを取り返せば、もう遠慮はいらない。内側から派手に吹き飛ばした。魔力をただ暴力的に放つだけで、炎や氷などの魔法ではない。4枚の白い翼を広げてイカを爆破した魔王が空中でにやりと笑った。

 手にしていたデスサイズに血を染みこませ、放り投げる。海へ向かって落下するデスサイズが、途中で姿を変えた。黒い犬は3つの頭で咆哮を放った。そのまま海に飲み込まれるイカを追撃する。抵抗する触手が絡みついても食いちぎり、見守っていたドラゴンも加勢した。

「うわぁ、ぐろい」

 自分が爆破した光景を見下ろし、眉を寄せる。久しぶりにスプラッタな光景だったと呟き、さり気なくイヴの態勢を変えた。海の方を見ないよう、ルシファー自身と向き合う形にする。

「さあ、リリスのところへ帰るぞ。ママが心配してる」

「まま!」

 パパの時よりスムーズにママが話せてる……地味にダメージを受けながら、ルシファーは海岸へ舞い降りた。駆け寄ったリリスがイヴを抱き締める。そんな妻と娘を一緒に腕へ収めたルシファーは頬を緩めた。

「戻ったぞ、イヴにケガはない」

「よかったわ、イヴ。ありがとう……ルシファー」

 感動的な親子の再会シーンの後ろで、海は酷い有り様だった。海洋生物、とくにイカやタコは本体が死んでも触手や吸盤は生きていることがある。抵抗を続ける吸盤がくっついた赤いドラゴンがパニックになり、海面へ向かって炎を吐いた。

 浮かんでいた内臓に高温の炎が移り、海面が燃えているように見える。その後ろから今度は別の巨大生物が迫っていた。

「後ろ! 逃げろ!!」

 叫んだルキフェルが防御魔法を展開する。だが僅かな差で、数人のドラゴンが海中へ引きずり込まれた。
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