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第12章 次世代は逞しい
199.魔の森は海にも進出済み
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夫の仕事中に、孫を楽しみにする母の元へ妻が我が子を連れて行った。要約するとそんな内容だが、外から魔法で感知できない可能性の高い場所なので、今後のために連絡方法を確立しておく。
「リリンと簡単に連絡が取れる方法はあるか?」
「リリスに話す、通じる」
「うーん。オレと直通は無理かな」
提案のつもりだった。リリスが動けないこともあるし、一緒にいない場合でも助けを借りたり安否を確認したいこともある。今回のようにリリスがリリンと一緒にいた場合、リリス経由での連絡は出来ないのだ。そう説明する前に、顔を真っ赤にしたリリンが逃げてしまった。
あっという間に距離を開けられ、顔色どころか姿形も曖昧になるほど遠い。
「オレ、嫌われてる?」
「逆よ。お母様は照れたのね」
笑うリリスの様子から、そう信じたいルシファーは頷いた。それで直通の話はどうしたらいいのか、宙ぶらりんの会話に苦笑いが浮かぶ。イヴが高速這い這いで近づき、リリンと一緒に戻ってきた。孫に甘い祖母となった魔の森は、ゆったりと近づく。
「これをあげる。連絡取れる」
空中に手を伸ばし、何かを捥ぐ仕草をする。小さな木の実のように見えるが、硬くて透き通っていた。鉱石のようでもある。
「ありがとう、身に着けるとしよう」
また真っ赤な顔で逃げようとして、イヴにしがみ付かれた。我が子ながらすごい胆力だ。魔の森相手に、裾にぶら下がって抵抗している。孫を引きずって走る気はないようで、慌てたリリンがイヴを抱き上げた。
オレが直接話しかけると、照れて逃げるらしい。そこまで理解したルシファーは、リリス経由で話をする方法を試した。
「ピアスにしようと思うが、どうだろう。リリス」
「いいと思うわ、ね? お母様」
「うん」
この方法が一番安全だし、目の前にいるから確実に伝わるな。コツを掴めば、要領のいいルシファーは活用して会話を膨らませる。
「リリンは何時頃目覚めるんだろうな」
リリスに向けて話すと、「どうかしら」とリリンへ話を向ける。あと数百年程度と簡単そうに答えられ、なるほどと納得した。そこから人狼が完全に復活する話や、森が広がる予定地域を教えてもらう。さらに海について新しい情報を得た。
「海の中にも森があったなんて知らなかった」
海藻があるのは知っている。何度か海の底に下りたからだ。リリスを抱いて転移したら、足が岩に埋まったのも懐かしい思い出だった。あの時も海藻はあったが……森?
「深いところ」
海の深い底にあるらしい。そこは地上の森と情報を交換しているため、様々な海の知識を分けてもらえた。話を聞くより早いと流し込まれた情報伝達は、両手を握るというシンプルな方法だ。終わるなり照れて突き飛ばされたのはびっくりしたが、ある意味予想範囲内だ。
「助かった、ありがとう。リリン」
お礼を言われて真っ赤なリリンは、そそくさと離れていった。裾にイヴがしがみ付いているが、あれは大丈夫なのか? 心配するルシファーへリリスはからりと笑った。
「ここはお母様の体内も同然、何も心配ないわ」
「我が君!!」
向こうへ去ったリリンの代わりに目が覚めたヤンが駆けてくる。その背にイポスが乗っていた。金髪を揺らす美女を乗せたフェンリルは、ぶつかる手前で急ブレーキをかけた。つんのめる勢いで止まり、伏せて尻尾を振り回す。
後ろに小さな竜巻を作りながら、ヤンは全身で敬愛を示す。鼻先をぽんぽんと叩いてから撫でてやり、滑り降りたイポスに声をかけた。
「よく眠れたか?」
「はっ、はい! すみません」
「いや、安全な場所だし構わないぞ」
嫌味ではなく、目の下にあった隈が消えたイポスの健康そうな様子にほっとした。と、凄い勢いで近づいたリリンが、抱き上げたイヴをルシファーに渡す。受け取ったルシファーに微笑んだあと、全速力で消えてしまった。
「……リリンのあれは」
「直らないわよ、病気じゃないもの」
リリスに断言され、肩を竦める。涎を垂らして眠るイヴは遊び疲れた様子だった。そろそろ帰ろうと口にして、最後に魔の森へ挨拶の声をかけた。
「また来る! 元気でな、リリン」
遠くの巨木がざわりと大きく揺れた。それを見届けて、全員で魔王城へ転移する。現れた彼らは、青ざめた大公達に囲まれ口々に「どこにいたのか」詰問される羽目になった。
「リリンと簡単に連絡が取れる方法はあるか?」
「リリスに話す、通じる」
「うーん。オレと直通は無理かな」
提案のつもりだった。リリスが動けないこともあるし、一緒にいない場合でも助けを借りたり安否を確認したいこともある。今回のようにリリスがリリンと一緒にいた場合、リリス経由での連絡は出来ないのだ。そう説明する前に、顔を真っ赤にしたリリンが逃げてしまった。
あっという間に距離を開けられ、顔色どころか姿形も曖昧になるほど遠い。
「オレ、嫌われてる?」
「逆よ。お母様は照れたのね」
笑うリリスの様子から、そう信じたいルシファーは頷いた。それで直通の話はどうしたらいいのか、宙ぶらりんの会話に苦笑いが浮かぶ。イヴが高速這い這いで近づき、リリンと一緒に戻ってきた。孫に甘い祖母となった魔の森は、ゆったりと近づく。
「これをあげる。連絡取れる」
空中に手を伸ばし、何かを捥ぐ仕草をする。小さな木の実のように見えるが、硬くて透き通っていた。鉱石のようでもある。
「ありがとう、身に着けるとしよう」
また真っ赤な顔で逃げようとして、イヴにしがみ付かれた。我が子ながらすごい胆力だ。魔の森相手に、裾にぶら下がって抵抗している。孫を引きずって走る気はないようで、慌てたリリンがイヴを抱き上げた。
オレが直接話しかけると、照れて逃げるらしい。そこまで理解したルシファーは、リリス経由で話をする方法を試した。
「ピアスにしようと思うが、どうだろう。リリス」
「いいと思うわ、ね? お母様」
「うん」
この方法が一番安全だし、目の前にいるから確実に伝わるな。コツを掴めば、要領のいいルシファーは活用して会話を膨らませる。
「リリンは何時頃目覚めるんだろうな」
リリスに向けて話すと、「どうかしら」とリリンへ話を向ける。あと数百年程度と簡単そうに答えられ、なるほどと納得した。そこから人狼が完全に復活する話や、森が広がる予定地域を教えてもらう。さらに海について新しい情報を得た。
「海の中にも森があったなんて知らなかった」
海藻があるのは知っている。何度か海の底に下りたからだ。リリスを抱いて転移したら、足が岩に埋まったのも懐かしい思い出だった。あの時も海藻はあったが……森?
「深いところ」
海の深い底にあるらしい。そこは地上の森と情報を交換しているため、様々な海の知識を分けてもらえた。話を聞くより早いと流し込まれた情報伝達は、両手を握るというシンプルな方法だ。終わるなり照れて突き飛ばされたのはびっくりしたが、ある意味予想範囲内だ。
「助かった、ありがとう。リリン」
お礼を言われて真っ赤なリリンは、そそくさと離れていった。裾にイヴがしがみ付いているが、あれは大丈夫なのか? 心配するルシファーへリリスはからりと笑った。
「ここはお母様の体内も同然、何も心配ないわ」
「我が君!!」
向こうへ去ったリリンの代わりに目が覚めたヤンが駆けてくる。その背にイポスが乗っていた。金髪を揺らす美女を乗せたフェンリルは、ぶつかる手前で急ブレーキをかけた。つんのめる勢いで止まり、伏せて尻尾を振り回す。
後ろに小さな竜巻を作りながら、ヤンは全身で敬愛を示す。鼻先をぽんぽんと叩いてから撫でてやり、滑り降りたイポスに声をかけた。
「よく眠れたか?」
「はっ、はい! すみません」
「いや、安全な場所だし構わないぞ」
嫌味ではなく、目の下にあった隈が消えたイポスの健康そうな様子にほっとした。と、凄い勢いで近づいたリリンが、抱き上げたイヴをルシファーに渡す。受け取ったルシファーに微笑んだあと、全速力で消えてしまった。
「……リリンのあれは」
「直らないわよ、病気じゃないもの」
リリスに断言され、肩を竦める。涎を垂らして眠るイヴは遊び疲れた様子だった。そろそろ帰ろうと口にして、最後に魔の森へ挨拶の声をかけた。
「また来る! 元気でな、リリン」
遠くの巨木がざわりと大きく揺れた。それを見届けて、全員で魔王城へ転移する。現れた彼らは、青ざめた大公達に囲まれ口々に「どこにいたのか」詰問される羽目になった。
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