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第24章 思っていたのと違う
426.お姉ちゃんはつまらない
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保育所から保育園へ移動となったイヴは、色々複雑な思いを抱えていた。齢七歳、魔族の年齢では卵の殻を引きずるような若さだが、本人はすでに七年もの年月を生きたと考える。外見や成長度合いが四歳前後だとしても、イヴ自身は至って真面目に、もう大人だと思っていた。
「パッパ、遅い」
ママは弟のシャイターンが生まれてから、忙しくなった。夜中も起きてお乳上げてるし、仕方ないと思う。でもパッパはなぜ忙しいのか。赤子の泣き声にも動じないイヴは理解できなかった。
夜泣きすればルシファーが泣き止ませ、その間にリリスがお乳を飲ませる。最近では乳の出がイマイチで、ミルクも併用していた。ところがシャイターンはミルクを吐く。母乳なら大人しく飲むのに、温めたミルクは気に入らないようだ。
苦労しながらあやして飲ませ、挙句吐かれて服やオムツを交換する。時にはシーツの交換もしていた。浄化魔法も併用するが、どうしても気持ちの問題でシーツは交換され、洗濯に出される。その作業はすべてルシファーが行なっていた。
事情を知らないイヴにしたら、蔑ろにされる気分だ。ママは弟の世話、パッパは何もしてないのに私のお迎えが遅い。唇を尖らせて、人形の耳を引っ張った。赤い髪の人形は、先日プレゼントしてもらったばかりだ。上から丸い耳が生えており、尻尾は丸いボンボンだった。イメージは熊だろうか。
「イヴちゃん、これしよう?」
仲良しになったマーリーンが、パズルを運んでくる。完成すると、魔王と勇者を描いた絵が現れる。この絵はかつてリリスが夢中になった絵本の、最後の挿絵だった。城門の外にある保育園の玄関上に飾られた絵と同じモチーフだ。
このシーンは有名で、よく彫像や絵画として出回っていた。直後に切り付けられたルシファーは、出来たら廃れて欲しい絵のひとつである。
「これ?」
「こっちだと思う」
二人で相談しながら、パズルを作り上げる。完成の少し前に、マーリーンの母イポスが迎えに来た。
「イヴ姫、一緒に帰るか? 送っていくぞ」
リリスの護衛騎士であり、サタナキア将軍の娘でもあるイポスは、少し硬い言葉遣いをする。抱き付いたマーリーンを見ながら、イヴは首を横に振った。
「まだ遊ぶ」
「そうか、陛下に伝えておく」
陛下はパッパのことだ。頷いたけれど、二人がいなくなると唇を尖らせた。つまらない。完成直前のパズルを蹴飛ばした。ピースが飛び散る。それを踏んだら、ちょっと足の裏が痛かった。
泣かない、別に平気だもん。イヴはもう一度蹴飛ばそうとするが、後ろから誰かに抱き上げられた。
「おっと、悪いお姫様だね」
パッパではない。仰け反るようにしたイヴは、見えた水色の髪に安心した。
「ロキちゃん」
「ふふっ、リリスと同じ呼び方だ。さあ帰ろうか。ルシファーに頼まれたんだ」
パッパに頼まれた。そう聞いた途端に、イヴの機嫌は再び下降する。暴れて逃げようとするイヴを、ルキフェルは簡単そうに抱き抱えて保育園を出た。魔法陣に制限のない城外なので、転移して森の奥でイヴを下ろす。
「どこ?」
「森だよ。僕と遊ぼう」
「遊ぶ」
追いかけっこをして、湖に足を浸して魚を掴み取りし、焼いて食べた。傾いていた日が落ちて、暗くなる頃……ルキフェルはようやくイヴを抱き上げる。
「帰ってお風呂に入ろうか。レラジェが来てるよ」
帰ると聞いて項垂れたイヴだが、レラジェの名前に顔を上げる。
「帰る!」
「じゃあ、久しぶりに背中に乗るか?」
瑠璃色のドラゴンの背に乗り、大喜びのイヴは魔王城へ進路をとった。
「パッパ、遅い」
ママは弟のシャイターンが生まれてから、忙しくなった。夜中も起きてお乳上げてるし、仕方ないと思う。でもパッパはなぜ忙しいのか。赤子の泣き声にも動じないイヴは理解できなかった。
夜泣きすればルシファーが泣き止ませ、その間にリリスがお乳を飲ませる。最近では乳の出がイマイチで、ミルクも併用していた。ところがシャイターンはミルクを吐く。母乳なら大人しく飲むのに、温めたミルクは気に入らないようだ。
苦労しながらあやして飲ませ、挙句吐かれて服やオムツを交換する。時にはシーツの交換もしていた。浄化魔法も併用するが、どうしても気持ちの問題でシーツは交換され、洗濯に出される。その作業はすべてルシファーが行なっていた。
事情を知らないイヴにしたら、蔑ろにされる気分だ。ママは弟の世話、パッパは何もしてないのに私のお迎えが遅い。唇を尖らせて、人形の耳を引っ張った。赤い髪の人形は、先日プレゼントしてもらったばかりだ。上から丸い耳が生えており、尻尾は丸いボンボンだった。イメージは熊だろうか。
「イヴちゃん、これしよう?」
仲良しになったマーリーンが、パズルを運んでくる。完成すると、魔王と勇者を描いた絵が現れる。この絵はかつてリリスが夢中になった絵本の、最後の挿絵だった。城門の外にある保育園の玄関上に飾られた絵と同じモチーフだ。
このシーンは有名で、よく彫像や絵画として出回っていた。直後に切り付けられたルシファーは、出来たら廃れて欲しい絵のひとつである。
「これ?」
「こっちだと思う」
二人で相談しながら、パズルを作り上げる。完成の少し前に、マーリーンの母イポスが迎えに来た。
「イヴ姫、一緒に帰るか? 送っていくぞ」
リリスの護衛騎士であり、サタナキア将軍の娘でもあるイポスは、少し硬い言葉遣いをする。抱き付いたマーリーンを見ながら、イヴは首を横に振った。
「まだ遊ぶ」
「そうか、陛下に伝えておく」
陛下はパッパのことだ。頷いたけれど、二人がいなくなると唇を尖らせた。つまらない。完成直前のパズルを蹴飛ばした。ピースが飛び散る。それを踏んだら、ちょっと足の裏が痛かった。
泣かない、別に平気だもん。イヴはもう一度蹴飛ばそうとするが、後ろから誰かに抱き上げられた。
「おっと、悪いお姫様だね」
パッパではない。仰け反るようにしたイヴは、見えた水色の髪に安心した。
「ロキちゃん」
「ふふっ、リリスと同じ呼び方だ。さあ帰ろうか。ルシファーに頼まれたんだ」
パッパに頼まれた。そう聞いた途端に、イヴの機嫌は再び下降する。暴れて逃げようとするイヴを、ルキフェルは簡単そうに抱き抱えて保育園を出た。魔法陣に制限のない城外なので、転移して森の奥でイヴを下ろす。
「どこ?」
「森だよ。僕と遊ぼう」
「遊ぶ」
追いかけっこをして、湖に足を浸して魚を掴み取りし、焼いて食べた。傾いていた日が落ちて、暗くなる頃……ルキフェルはようやくイヴを抱き上げる。
「帰ってお風呂に入ろうか。レラジェが来てるよ」
帰ると聞いて項垂れたイヴだが、レラジェの名前に顔を上げる。
「帰る!」
「じゃあ、久しぶりに背中に乗るか?」
瑠璃色のドラゴンの背に乗り、大喜びのイヴは魔王城へ進路をとった。
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