【完結】紅く染まる夜の静寂に ~吸血鬼はハンターに溺愛される~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第7章 吸血鬼の集う城

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 頬に触れる指の冷たさに、意識が浮上する。心地よい目覚めに、赤い唇から細い吐息が満足げに漏れた。

「おはよ、シリル」

 囁かれた声の甘さに、瞼を押し上げる。

 現れた紅い瞳の鮮やかさが、ライアンの心を貫いた。愛しさに任せてシリルを抱き寄せ、細い少年の体を膝の上に乗せる。曖昧な意識のまま、はんなり微笑むシリルの頬や額に接吻け、最後に唇を重ねた。

「……ライ、アン」

 身を起こす吸血鬼に手を貸してやり、室内に満ちた紅茶の香りに視線を泳がせた。

「紅茶用意したけど、一緒にどう?」

 ライアンの血さえ飲めれば、お茶も食事もシリルには必要ない。だがお茶の時間を楽しむ優雅さは、シリルのお気に入りでもあった。飲むと意思表示したシリルの乱れた襟元を直してやり、ライアンは抱き上げた恋人をソファに下ろす。

 リスキアやアイザックがいれば、甘やかし過ぎだと指摘したかも知れない。2人だけの部屋で、シリルは思う存分ライアンに甘えることにしたらしい。

「シリル、クッキーはどれがいい?」

 尋ねられるままに指差し、恋人の手が摘んだクッキーにさくりと歯を立てた。食べさせてもらい、お茶を飲ませてもらう、そんな子供じみたシリルの所作を「可愛い」と目を細めて楽しむライアンは、雛に餌を運ぶ親鳥さながら、せっせと世話を焼いた。

「ところで、アイザックはどうだった?」

 リスキアから聞いた話も含めて説明すると、小首を傾げて聞いてたシリルが表情を和らげた。

「後で俺も顔を出そう」

「そりゃいい。明日でも、一緒にお茶を飲むか」

 ライアンの提案に、シリルも異存はなかった。





 足繁く通うライアンのお陰で、アイザックもだいぶ顔色が明るくなってきた。青白かった顔は、元の白皙の肌を取り戻している。

「……時間が……ちゃってて……」

「……出……でも、どうだ?」

「付き合って……」

「……いいぞ……」

 途切れ途切れに聞こえる会話は、吸血鬼の能力を持ってしても完全には聞き取れない。軽くノックして応えを確認し、リスキアは室内に足を踏み入れた。倒れた後、アイザックに供した寝室はゲストルームだ。普段は使わない部屋だということもあり、最低限の家具と調度品しか置かれていない。

 最近顔を出すライアンが、あちこちから持ち込んだ本やら雑多な小物が散らかっている。こまめにアイザックが片付けなければ、あっという間に物で溢れてしまいそうだった。
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