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第十章 サークレラ
第25話 花の国の物騒な王(5)
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自分勝手に振る舞い問題を起こすジルを、常に嗜める側にいるリオネルは面倒だと思った。逆にリシュアは喜んで彼に追従してしまう。一緒に騒動を大きくするタイプの部下だ。
「祭りを楽しんでくる。勝手に戻るから、部屋の座標だけ教えてくれ」
「はい、座標をお送りします。3部屋ですか?」
「「2部屋だ(よ)」」
ライラとジルがハモる。顔を見合わせて互いにルリアージェと同室になろうと言い争う姿勢を見せるが、ルリアージェが空気を読まずに壊した。
「いや、気遣いは無用だ。1部屋でいいぞ」
「……人間の社会では別々の方が一般的だと思いますので、3部屋ご用意します」
用意してもらうのに手間を増やしては悪いと考えるルリアージェの爆弾発言を、一番人間の常識を理解しているリシュアがさらりと方向修正した。
謁見の間に差し込む日差しはかなり傾いている。かなり時間が経っているが、誰も顔を見せないことに疑問が浮かんだ。
「誰も来ないのだな」
「命じておりますから」
人払いをしたのだと笑うリシュアが、人差し指を自分の唇に押し当てる。内緒だと示す仕草に、どうやら最初から親密な話を聞かせないように気遣ったのだと知る。
確かに物騒な話が多かった。国を魔性に捧げたり、国王が人ではなかったり、帝国滅亡の大災厄がいたりと他者に聞かせられる話じゃない。
「ご一緒できませんが、祭りを楽しんで来てください」
一礼する国王は、玉座へ戻ると床に転がる王冠を拾い上げた。多くの宝石が飾られた豪華な王冠を頭の上に載せ、それから思い出したように手を打った。
「ジル様、この国の金貨を用意させますのでお持ちください。あとルリアージェ様のご衣裳ですが、滞在中に必要な分として十数着用意させます。ライラ殿は不要ですね」
「あたくしに冷たいのではなくて?」
「氷の塊を投げつけなかっただけ、感謝して欲しいものです。200年前に第二の首都を半壊させた詫びを取り立てても構いませんよ?」
リオネルに似た穏やかな口調と、恐怖を覚えさせるくらい綺麗な笑みに、ライラは何も言わずに目を逸らした。この国の話をしたときに「いきなり氷を投げられた」と聞いたが、どうやら相応の理由があったらしい。
第二の首都と言うからには、相当に発展した都だったのだろう。それを半壊させられたのなら、氷の塊を投げる程度の反撃で済ませたリシュアは寛容だといえた。
「……そうだったかしら」
誤魔化すように横を向いたライラは、繋いだ手の先のルリアージェの表情を窺う。いい加減彼ら魔性達のトラブルの規模に慣れてきたため、さほど驚きはなかった。苦笑してライラの髪を撫でる。
「詫びはしておけ」
「ごめんなさい」
「謝罪はお受けします。1度だけご協力をお願いすることで、終わりにいたしましょう」
笑いながら妥協案を口にしたリシュアは、さほど怒ってないらしい。根に持たないのは魔性特有なのか、人間同士ではこう簡単に話は進まない。さっぱりした彼らの関係は、ルリアージェにとっても居心地がよかった。
「祭りを楽しんでくる。勝手に戻るから、部屋の座標だけ教えてくれ」
「はい、座標をお送りします。3部屋ですか?」
「「2部屋だ(よ)」」
ライラとジルがハモる。顔を見合わせて互いにルリアージェと同室になろうと言い争う姿勢を見せるが、ルリアージェが空気を読まずに壊した。
「いや、気遣いは無用だ。1部屋でいいぞ」
「……人間の社会では別々の方が一般的だと思いますので、3部屋ご用意します」
用意してもらうのに手間を増やしては悪いと考えるルリアージェの爆弾発言を、一番人間の常識を理解しているリシュアがさらりと方向修正した。
謁見の間に差し込む日差しはかなり傾いている。かなり時間が経っているが、誰も顔を見せないことに疑問が浮かんだ。
「誰も来ないのだな」
「命じておりますから」
人払いをしたのだと笑うリシュアが、人差し指を自分の唇に押し当てる。内緒だと示す仕草に、どうやら最初から親密な話を聞かせないように気遣ったのだと知る。
確かに物騒な話が多かった。国を魔性に捧げたり、国王が人ではなかったり、帝国滅亡の大災厄がいたりと他者に聞かせられる話じゃない。
「ご一緒できませんが、祭りを楽しんで来てください」
一礼する国王は、玉座へ戻ると床に転がる王冠を拾い上げた。多くの宝石が飾られた豪華な王冠を頭の上に載せ、それから思い出したように手を打った。
「ジル様、この国の金貨を用意させますのでお持ちください。あとルリアージェ様のご衣裳ですが、滞在中に必要な分として十数着用意させます。ライラ殿は不要ですね」
「あたくしに冷たいのではなくて?」
「氷の塊を投げつけなかっただけ、感謝して欲しいものです。200年前に第二の首都を半壊させた詫びを取り立てても構いませんよ?」
リオネルに似た穏やかな口調と、恐怖を覚えさせるくらい綺麗な笑みに、ライラは何も言わずに目を逸らした。この国の話をしたときに「いきなり氷を投げられた」と聞いたが、どうやら相応の理由があったらしい。
第二の首都と言うからには、相当に発展した都だったのだろう。それを半壊させられたのなら、氷の塊を投げる程度の反撃で済ませたリシュアは寛容だといえた。
「……そうだったかしら」
誤魔化すように横を向いたライラは、繋いだ手の先のルリアージェの表情を窺う。いい加減彼ら魔性達のトラブルの規模に慣れてきたため、さほど驚きはなかった。苦笑してライラの髪を撫でる。
「詫びはしておけ」
「ごめんなさい」
「謝罪はお受けします。1度だけご協力をお願いすることで、終わりにいたしましょう」
笑いながら妥協案を口にしたリシュアは、さほど怒ってないらしい。根に持たないのは魔性特有なのか、人間同士ではこう簡単に話は進まない。さっぱりした彼らの関係は、ルリアージェにとっても居心地がよかった。
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