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第二十一章 寿命という概念
第93話 平和なのだが襲撃ラッシュ(3)
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「あらやだ。意外と多いわね」
「……確かに」
ライラの声に誘われて顔を覗かせたルリアージェの目に、十数名の魔性が見えた。高いところから見下ろすことを好む魔性が多いため、上を見上げる首が疲れる。
「寝転がって見学する?」
「それは贅沢だが、砂が落ちてきたりしないか」
敷物を移動させて準備を始めたライラが、くすくす笑いながら指先で半円を描いた。作り出した薄緑の結界をこんこんとノックする。物理的に触れられる形で作った結界は、砂を含めた落下物を防ぐものだった。
「これなら安全よ。さらに上にもジルの結界があるし」
「そうだな」
信頼していると態度で示すルリアージェは、テントからはみ出す形で寝転がった。眩しい太陽も多少遮られるようで、快適だ。
「ここを貴様らの墓にしてくれる」
「女王の仇を討つ」
「ずたずたに引き裂いてやるわ」
口々にジルを罵る魔性へ、3人の眷属は得意な獲物を手に準備を整える。リオネルが最初に動いた。執事の真似事をしているときは冷静だが、実は一番過激な性格の男が青い炎を右手に宿して近くの魔性を掴む。一瞬で広がる炎だが、温度を白まで上げずに焼き尽くした。
褐色の肌にかかる金髪がふわりと魔力に煽られる。円形の魔法陣ではなく、星型の魔法陣が青白く輝いて消えた。
「この程度の魔力しか持たないくせに、上位者に歯向かうなど……本当に愚かですね」
挑発するリオネルの口元が弧を描く。その左側ではリシュアが指先で竜巻を操っていた。砂を巻き上げずに風だけが襲い掛かる。切り裂いた魔性を風の球に閉じ込め、国王時代の穏やかな姿が嘘のように意地悪く笑った。
緑の艶を帯びた黒髪を手で押さえながら、濃淡の緑の瞳で風の球を引き寄せる。中の魔性が必死に足掻く姿を楽しむように、ゆっくりと圧し潰していた。その球体の表面に魔法陣が2つ重なる。
「随分と時間をかけてるわね」
ライラが不思議そうに呟くが、彼らが時間をかけている理由はライラの隣にあった。魔法陣を使った魔術を使うたび、ルリアージェが読み解いては目を輝かせる。
「すごいな、あの魔法陣を後で説明してもらいたい」
見た目はあまり血腥い光景でないため、ルリアージェの興味は魔法陣一択だった。人族が扱えないほど高等な魔法陣に、研究者としての好奇心が先行する。
なるほど……と納得したライラが、パウリーネの魔法陣に気づいた。
「リア、パウリーネが水を操るわ」
目の前に海があるため、一番派手な魔術を使える氷静のパウリーネが眷獣を呼び出した。
「おいで、ティン」
水虎が美しい透き通った姿を見せ、パウリーネの膝にすり寄る。その頭を撫でた彼女が右手に作り出した魔法陣をティンの身体に埋め込んだ。
「……確かに」
ライラの声に誘われて顔を覗かせたルリアージェの目に、十数名の魔性が見えた。高いところから見下ろすことを好む魔性が多いため、上を見上げる首が疲れる。
「寝転がって見学する?」
「それは贅沢だが、砂が落ちてきたりしないか」
敷物を移動させて準備を始めたライラが、くすくす笑いながら指先で半円を描いた。作り出した薄緑の結界をこんこんとノックする。物理的に触れられる形で作った結界は、砂を含めた落下物を防ぐものだった。
「これなら安全よ。さらに上にもジルの結界があるし」
「そうだな」
信頼していると態度で示すルリアージェは、テントからはみ出す形で寝転がった。眩しい太陽も多少遮られるようで、快適だ。
「ここを貴様らの墓にしてくれる」
「女王の仇を討つ」
「ずたずたに引き裂いてやるわ」
口々にジルを罵る魔性へ、3人の眷属は得意な獲物を手に準備を整える。リオネルが最初に動いた。執事の真似事をしているときは冷静だが、実は一番過激な性格の男が青い炎を右手に宿して近くの魔性を掴む。一瞬で広がる炎だが、温度を白まで上げずに焼き尽くした。
褐色の肌にかかる金髪がふわりと魔力に煽られる。円形の魔法陣ではなく、星型の魔法陣が青白く輝いて消えた。
「この程度の魔力しか持たないくせに、上位者に歯向かうなど……本当に愚かですね」
挑発するリオネルの口元が弧を描く。その左側ではリシュアが指先で竜巻を操っていた。砂を巻き上げずに風だけが襲い掛かる。切り裂いた魔性を風の球に閉じ込め、国王時代の穏やかな姿が嘘のように意地悪く笑った。
緑の艶を帯びた黒髪を手で押さえながら、濃淡の緑の瞳で風の球を引き寄せる。中の魔性が必死に足掻く姿を楽しむように、ゆっくりと圧し潰していた。その球体の表面に魔法陣が2つ重なる。
「随分と時間をかけてるわね」
ライラが不思議そうに呟くが、彼らが時間をかけている理由はライラの隣にあった。魔法陣を使った魔術を使うたび、ルリアージェが読み解いては目を輝かせる。
「すごいな、あの魔法陣を後で説明してもらいたい」
見た目はあまり血腥い光景でないため、ルリアージェの興味は魔法陣一択だった。人族が扱えないほど高等な魔法陣に、研究者としての好奇心が先行する。
なるほど……と納得したライラが、パウリーネの魔法陣に気づいた。
「リア、パウリーネが水を操るわ」
目の前に海があるため、一番派手な魔術を使える氷静のパウリーネが眷獣を呼び出した。
「おいで、ティン」
水虎が美しい透き通った姿を見せ、パウリーネの膝にすり寄る。その頭を撫でた彼女が右手に作り出した魔法陣をティンの身体に埋め込んだ。
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