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53.贄が抱く欲 ※微
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セティのキスが欲しい。仲良くなるお呪いをたくさんしたい。これって、神殿の人が行ってた「穢れ」なのかな。穢れが身についた贄に価値はないって言ってた。
僕はもう価値がない贄なのかも知れない――。
「イシス、キスしようか」
時々、セティはそう聞いてくる。嬉しいから僕は「うん」って返事をした。繋いで歩いていた手を、別の形に絡める。握手みたいに握るのは歩く時で、指を1本ずつ絡めるのはキスの時みたい。器用なセティの指と絡めて、しっかり握り直した。たくさん触るとドキドキする。
顔中にキスをもらって、最後に唇を重ねる。舌が入ってくるのは、仲良くなるお呪いの時が多い。昼間なのに、今は舌が入ってきた。だから追いかけたけど、逆に捕まって吸われる。強く吸われると舌の奥の方がじんと痺れた。
不思議な感じだけど痛くなくて、足の付け根がもじもじする。いつもその辺で離してくれた。ほっとするけど、もっとして欲しいんだ。そんなこと思うのは、きっと穢れだよね。
くちゅ、水の音がして唇が離れる。離れると濡れた唇が冷たくなって、寂しいから自分で唇を舐めた。もじもじする気分のまま、何となく唇を舐めた途端……セティの目が変わった。なんか少し怖い。僕の肩を掴む手に力が入って、頭の後ろに回して引き寄せられた。
離れたばかりの唇を軽く噛んで、舐めて、吸われる。見開いた目に映るのは、大好きなセティだった。だから硬くなった体から力を抜く。寄りかかるようにしてセティの腕に抱っこされると温かくて、泣きそうなくらい幸せになれた。
僕、セティのこと……好きだな。
ぼんやりとそう思った。好きという言葉が、じわりと胸に広がって温かくなる。もう一度、好きだと心で呟いた。さらに温かくなって、泣きそうになる。目の奥がじんとして鼻がつんとした。
片方の手を繋いで、もう片方の手はセティの首に回す。セティが頭の後ろを掴んでキスするから、僕は少しだけ苦しかった。唇はずっと触れていて、舌も吸われたり追いかけられて……苦しいからぼんやりする。でも気持ちよくて、お風呂に入ったときみたいにぼうっとした。
「せ、てぃ……」
僕、もう無理……。膝から力が抜けて倒れかけた。慌てた様子もなく、セティが抱っこしてくれる。くてんとセティの肩に頭を預け、僕は熱くなった頬を手で包んだ。なんだか恥ずかしい。セティの顔が見られないよ、こんなの困るのに。
「イシスは本当に可愛い」
耳に息を吹き込むみたいにして、セティが僕を褒める。その声はいつもより柔らかくて、すごく腰や背中がざわざわした。ずっと聞いてたいけど、聞いていると背中が落ち着かない。
「ん……」
「寝てていいぞ。起きたら街に着いてる」
「……やっ」
街に入るところ、起きていたい。ちゃんと見る。訴える僕の声にならない言葉を聞いているみたいに、セティが笑った。
「わかった。門の手前で起こしてやるよ」
約束に安心した僕は、情けないけどまた眠ってしまった。もっとたくさん歩けるようになりますように。今日も神様に祈ってから目を閉じた。
僕はもう価値がない贄なのかも知れない――。
「イシス、キスしようか」
時々、セティはそう聞いてくる。嬉しいから僕は「うん」って返事をした。繋いで歩いていた手を、別の形に絡める。握手みたいに握るのは歩く時で、指を1本ずつ絡めるのはキスの時みたい。器用なセティの指と絡めて、しっかり握り直した。たくさん触るとドキドキする。
顔中にキスをもらって、最後に唇を重ねる。舌が入ってくるのは、仲良くなるお呪いの時が多い。昼間なのに、今は舌が入ってきた。だから追いかけたけど、逆に捕まって吸われる。強く吸われると舌の奥の方がじんと痺れた。
不思議な感じだけど痛くなくて、足の付け根がもじもじする。いつもその辺で離してくれた。ほっとするけど、もっとして欲しいんだ。そんなこと思うのは、きっと穢れだよね。
くちゅ、水の音がして唇が離れる。離れると濡れた唇が冷たくなって、寂しいから自分で唇を舐めた。もじもじする気分のまま、何となく唇を舐めた途端……セティの目が変わった。なんか少し怖い。僕の肩を掴む手に力が入って、頭の後ろに回して引き寄せられた。
離れたばかりの唇を軽く噛んで、舐めて、吸われる。見開いた目に映るのは、大好きなセティだった。だから硬くなった体から力を抜く。寄りかかるようにしてセティの腕に抱っこされると温かくて、泣きそうなくらい幸せになれた。
僕、セティのこと……好きだな。
ぼんやりとそう思った。好きという言葉が、じわりと胸に広がって温かくなる。もう一度、好きだと心で呟いた。さらに温かくなって、泣きそうになる。目の奥がじんとして鼻がつんとした。
片方の手を繋いで、もう片方の手はセティの首に回す。セティが頭の後ろを掴んでキスするから、僕は少しだけ苦しかった。唇はずっと触れていて、舌も吸われたり追いかけられて……苦しいからぼんやりする。でも気持ちよくて、お風呂に入ったときみたいにぼうっとした。
「せ、てぃ……」
僕、もう無理……。膝から力が抜けて倒れかけた。慌てた様子もなく、セティが抱っこしてくれる。くてんとセティの肩に頭を預け、僕は熱くなった頬を手で包んだ。なんだか恥ずかしい。セティの顔が見られないよ、こんなの困るのに。
「イシスは本当に可愛い」
耳に息を吹き込むみたいにして、セティが僕を褒める。その声はいつもより柔らかくて、すごく腰や背中がざわざわした。ずっと聞いてたいけど、聞いていると背中が落ち着かない。
「ん……」
「寝てていいぞ。起きたら街に着いてる」
「……やっ」
街に入るところ、起きていたい。ちゃんと見る。訴える僕の声にならない言葉を聞いているみたいに、セティが笑った。
「わかった。門の手前で起こしてやるよ」
約束に安心した僕は、情けないけどまた眠ってしまった。もっとたくさん歩けるようになりますように。今日も神様に祈ってから目を閉じた。
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