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141.お父さんの背に乗って帰るよ
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お父さんがずっと羽で矢を防いでいたみたい。セティに抱っこされた僕が見たお父さんの背中は、いっぱい矢が刺さってた。抜かなくちゃと思ったら、お父さんは口を開けて笑い大きく身震いする。ぶるぶるとお風呂上がりのトムと同じように体を振った。背中の矢がすべて抜けて地面に落ちる。艶のある鱗に傷は見えなかった。
「お父さんって硬いんだね」
『ふむ、鱗があるゆえ刺さらぬ』
鱗は手のひら位の大きさで板みたいなの。それを何枚も重ねてるけど、浮いたところに刺さるんだって。でも引っ掛かるだけだから、体を振ると取れるんだね。お父さんと話す僕の口が欠伸をひとつ。セティとガイアのお話、まだ終わらないのかな。
「こっちの大陸の人攫いのせいで迷惑被ったんだ。これ以上面倒見る義理はねえ」
セティがむっとした口調で言い切ったため、僕はお話が終わったのかと思った。すりっとセティの頬に頬を寄せて、欠伸をかみ殺す。我慢すると体がうってなるよね。
崩れた洞窟の下の方は人の声がいっぱいして、体の大きい人が騒いでる。時々矢も飛んでくるけど、お父さんが全部落とした。危ない物を人に向けたらいけないんだよ。もちろんドラゴンだって同じ。お父さんがケガしたら、悲しくなっちゃう。あの人達も人にケガさせたら嫌な気分になると思うのに、どうしてお父さんに攻撃するんだろう。
「帰るぞ」
『背に乗るがよい。送ろう』
「助かる」
お父さんとセティの間で話が決まったみたい。僕はセティごと、お父さんの背に乗った。ガイアは来ないの? 手を伸ばすと少し迷った後で握ってくれる。飛び乗ったガイアが大きく溜め息を吐いた。
「何とかしないとね」
「分かってる。だが今はイシスを休ませるのが先だ。それに……オレの嫁を攫った詫びは入れてもらわないとな」
よく分からない話を聞きながら、セティが片手で取り出した毛布を僕に被せてくれた。あったかい。ぎゅっと毛布を掴んで包まる僕の鼻がむずむずして、くしゅんとくしゃみが出た。続けて2回も。慌てた様子のガイアがくるんと丸くなって、あっという間にテンの姿になる。綺麗な白い毛皮で僕の毛布の中に飛び込んだ。
お腹の辺りにいるガイアが温かいね。撫でると、何だかトムを思い出した。ゲリュオン、ちゃんと見つけてくれたかな。それからトムは赤ちゃんだからお肉を小さくしてあげないと……食べられない。ぼんやりした頭で、そんなことを口に出した。
「イシス?」
セティの手が僕の額に触れて、それから頬を擦り寄せた。気持ちいい。セティはひんやりするよ。
「熱がある。悪い、ファフニール、急いでくれ」
『承知した。ひとまず海を渡るぞ』
ふわっと体が浮く感じがして、騒ぐ人の声が遠くなった。僕は毛布でぐるぐる巻かれた格好で、足の下の景色が遠くなるのを見つめる。体が重くて熱くて、ぼんやりしちゃう。滲んだ涙をセティが優しく拭いてくれる。その指の冷たさに何か言ったけど……そこから覚えてない。
ただ、すごく幸せな気持ちになった。
「お父さんって硬いんだね」
『ふむ、鱗があるゆえ刺さらぬ』
鱗は手のひら位の大きさで板みたいなの。それを何枚も重ねてるけど、浮いたところに刺さるんだって。でも引っ掛かるだけだから、体を振ると取れるんだね。お父さんと話す僕の口が欠伸をひとつ。セティとガイアのお話、まだ終わらないのかな。
「こっちの大陸の人攫いのせいで迷惑被ったんだ。これ以上面倒見る義理はねえ」
セティがむっとした口調で言い切ったため、僕はお話が終わったのかと思った。すりっとセティの頬に頬を寄せて、欠伸をかみ殺す。我慢すると体がうってなるよね。
崩れた洞窟の下の方は人の声がいっぱいして、体の大きい人が騒いでる。時々矢も飛んでくるけど、お父さんが全部落とした。危ない物を人に向けたらいけないんだよ。もちろんドラゴンだって同じ。お父さんがケガしたら、悲しくなっちゃう。あの人達も人にケガさせたら嫌な気分になると思うのに、どうしてお父さんに攻撃するんだろう。
「帰るぞ」
『背に乗るがよい。送ろう』
「助かる」
お父さんとセティの間で話が決まったみたい。僕はセティごと、お父さんの背に乗った。ガイアは来ないの? 手を伸ばすと少し迷った後で握ってくれる。飛び乗ったガイアが大きく溜め息を吐いた。
「何とかしないとね」
「分かってる。だが今はイシスを休ませるのが先だ。それに……オレの嫁を攫った詫びは入れてもらわないとな」
よく分からない話を聞きながら、セティが片手で取り出した毛布を僕に被せてくれた。あったかい。ぎゅっと毛布を掴んで包まる僕の鼻がむずむずして、くしゅんとくしゃみが出た。続けて2回も。慌てた様子のガイアがくるんと丸くなって、あっという間にテンの姿になる。綺麗な白い毛皮で僕の毛布の中に飛び込んだ。
お腹の辺りにいるガイアが温かいね。撫でると、何だかトムを思い出した。ゲリュオン、ちゃんと見つけてくれたかな。それからトムは赤ちゃんだからお肉を小さくしてあげないと……食べられない。ぼんやりした頭で、そんなことを口に出した。
「イシス?」
セティの手が僕の額に触れて、それから頬を擦り寄せた。気持ちいい。セティはひんやりするよ。
「熱がある。悪い、ファフニール、急いでくれ」
『承知した。ひとまず海を渡るぞ』
ふわっと体が浮く感じがして、騒ぐ人の声が遠くなった。僕は毛布でぐるぐる巻かれた格好で、足の下の景色が遠くなるのを見つめる。体が重くて熱くて、ぼんやりしちゃう。滲んだ涙をセティが優しく拭いてくれる。その指の冷たさに何か言ったけど……そこから覚えてない。
ただ、すごく幸せな気持ちになった。
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