【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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144.泣いたから仲直り

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 一緒に仲良くご飯を食べて、お風呂の代わりに体を拭いて魔法をかけてもらう。トムやガイアに魔法をかけたセティに、ボリスが鼻先を押し付けた。ボリスも魔法かけて欲しいのかな。同じように思ったセティが魔法で綺麗にすると、ボリスが興奮して走り回った。

『これ、もう寝ますよ』

 叱るお母さんに捕まって、ボリスはまた泥だらけになっちゃった。お母さんの話だと、ドラゴンは体に砂を被っていつも乾燥させてるんだって。虫がつくと病気になったり痒くなる。上から砂を掛けられたボリスは頷いたけど、ちらっと僕を見た。

『あの子は種族が違うからいいの』

 お母さんに言われて、ボリスは長い首を大きくひねった。弟のそばに駆け寄る。もう僕よりずっと背が高くて大きいんだ。でも生まれたのは僕が先だからね。僕がお兄ちゃんで、ボリスは守られる弟なの。全身で抱き着いて撫でてから、僕はセティに呼ばれて洞窟の奥に戻った。

 中央付近はお父さんとお母さんがボリスを抱っこして寝る。トムとガイアは一緒に籠で寝ていた。ゲリュオンは食べ終わると出かけて、まだ戻らない。テントを用意したセティに抱き着いた。

「今日のお呪いする!」

「……今日はなしにしよう」

「え?」

 僕はびっくりして動きを止めた。なんで? セティはもう僕と仲良くしないの? どうして……僕が悪い子なのかな。それとも、嫌いになっちゃった? ぽろぽろと涙がこぼれて、胸が痛くなる。ぎゅっと強く胸を押さえて、僕は唇を噛んだ。

 僕、もうセティの特別じゃなくなった。少し息が苦しくて、しゃっくりみたいになる。心配したお母さんが顔を上げて、きゅーと鳴き声をかけた。ボリスもぐるると喉を鳴らす。お父さんはじっと僕を見て、それから少しだけ隙間を開けてくれた。

 僕が入れる隙間だ。そこへ駆け出そうとしたら、後ろからセティに抱っこされる。振り返ると、眉尻を下げたセティが「ごめん」と言った。だから僕は首を横に振る。辛いけど、セティに嫌われたならしょうがないもん。お父さん達と寝るね。

 声にならないけど、涙が止まらない。なんとか腕から抜け出そうとしたら、さらに強く捕まった。どうして? 僕と寝るの、嫌なら離して。じたばたと手足を動かす僕は、セティにテントの中へ連れていかれた。入り口を背にしたセティが、僕を強く抱きしめる。苦しいくらい。

「嫌じゃない。イシスが好きだよ、仲直りしよう」

「仲直り……?」

 一度ケンカしたら仲直りする。聞いたことあるけど、僕はセティとケンカしてないよ。僕を泣かせたから、セティが仲直りしたいんだって。こういう時も仲直りはするんだね。頷くと、セティがいっぱいキスをくれた。

 顔中隙間がないくらい。いっぱい触れて、いっぱいキスされて、僕からもいっぱいキスした。凄く幸せな気持ちになる。気持ちよくて、おかしくなりそう。いつの間にか僕は服を着てなくて、セティも半分くらい脱いでた。

 触れる手が温かくて、また涙が出る。悲しくないのに、変なの。
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