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163.旅の前はお呪いが少ないの
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洞窟へ戻ってきて、お父さんとお母さんに抱き着いた。心配そうに鼻を突っ込んでスカートや服の中を確認される。僕、ケガはしてないよ? そう言っても心配なんだって。ケガよりテイソウが危ないとか……テイソウって薬草の名前かな。
フェルが洞窟の外に会いに来てくれたから、いっぱい撫でた。お父さんがびっくりしてたよ。狼の足でここへ登るのは大変みたい。入り口から覗いたら、まっすぐな崖だったの。どうやって来たのか聞いたら、フェルが鼻を鳴らす。僕には分からないや。
困ってセティを振り返ったら、教えてくれた。フェルは下から登ったんじゃなくて、上から降りてきたの。ずるずると爪を立てて頑張ったのかな。お父さんが洞窟の上を確認して、何か対策が必要だとぼやいてた。対策されるとフェルが来られなくなっちゃう。
フェルが危ないから、中に入れてもいいか聞いてみた。お母さんがいいよって言ったから、フェルも洞窟の奥へ連れていく。大きいからテントに入れないけど、テントの横で大人しく座ってるの、偉いよね。撫でて抱き着いた僕の後ろから、ボリスが飛びかかってきた。
フェルと転がりながら遊んでるのが楽しそうで、僕も混じったけど……すぐにセティに捕まっちゃった。スカートが捲れるから危ないんだって。一番奥に座っていたシェリアは、ゲリュオンの服を摘まんで離さない。ゲリュオンも優しくしてるから、きっとお父さん達みたいに夫婦になるのかな。
僕はセティに食べてもらうお嫁さんになる。ボリスもいずれお嫁さんが出来るの? 見回した洞窟はなんだか狭く感じた。お父さんとお母さん、ボリスの家だもんね。フェルやゲリュオンもいると狭い。
「おいで、イシス。明日からまた旅に出るぞ」
「どこ行くの?」
「お前の義理の兄さん……ファフニール達の息子のところだ」
難しくてよく分からない。きょとんとしていると、お父さんが説明してくれた。ボリスや僕のお兄さんに会いに行く。遠くの山に住んでるから、新しく生まれた弟を見せるのが目的なんだ。僕も弟として一緒に行けるみたい。お兄さんが3人もいるから、全員会いに行ったら時間がかかる。だから旅なんだね。
転移で行くより空を飛んでいく方が安全だと聞いた。僕、お父さんの背中で飛ぶのは好き。でもフェルは一緒にいけない。森の王様だから離れちゃダメだと聞いた。今夜は一緒にいられるから、明日のお出かけの時に森へ帰ってもらうの。
お父さんが捕まえたグリフォンのお肉がたくさんあって、フェルのご飯も足りた。柔らかいお肉を焼いて、硬い部分と柔らかい骨は混ぜてスープに入れたの。フェルもお肉を齧ってた。トムとガイアは残ってるお魚を食べて、お互いに毛繕いしてる。僕も手伝って撫でてきた。
『明日の朝は早い。分かってくれるな? タイフォン殿』
「……わかってるよ」
最低限にする。セティはお父さんに何か約束させられちゃった。夜の仲良しのお呪いはいつもより短くて、僕は「もっと」とお願いする。たくさんキスしてもらって寝たけど、何か足りない気がした。セティはもう僕と仲良くならなくてもいいのかな。
************************
新作『虚』をUPし始めました。
復讐に憑りつかれた主人公の青年は、異世界に召喚された元日本人。必死に戦い魔王を倒した彼に待っていたのは、この世界からの拒絶と仲間の裏切りだった。
突然現れて手を差し伸べた美女リリィの過去と正体を知る日まで、青年は足掻き続ける……ダークで残虐描写多めのお話です。
意外と明るい主人公ですので、ぜひご賞味ください(*´艸`*)
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フェルが危ないから、中に入れてもいいか聞いてみた。お母さんがいいよって言ったから、フェルも洞窟の奥へ連れていく。大きいからテントに入れないけど、テントの横で大人しく座ってるの、偉いよね。撫でて抱き着いた僕の後ろから、ボリスが飛びかかってきた。
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僕はセティに食べてもらうお嫁さんになる。ボリスもいずれお嫁さんが出来るの? 見回した洞窟はなんだか狭く感じた。お父さんとお母さん、ボリスの家だもんね。フェルやゲリュオンもいると狭い。
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お父さんが捕まえたグリフォンのお肉がたくさんあって、フェルのご飯も足りた。柔らかいお肉を焼いて、硬い部分と柔らかい骨は混ぜてスープに入れたの。フェルもお肉を齧ってた。トムとガイアは残ってるお魚を食べて、お互いに毛繕いしてる。僕も手伝って撫でてきた。
『明日の朝は早い。分かってくれるな? タイフォン殿』
「……わかってるよ」
最低限にする。セティはお父さんに何か約束させられちゃった。夜の仲良しのお呪いはいつもより短くて、僕は「もっと」とお願いする。たくさんキスしてもらって寝たけど、何か足りない気がした。セティはもう僕と仲良くならなくてもいいのかな。
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