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236.パンを配るのは僕にもできる
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宿はお風呂がない宿だった。でもセティの魔法で綺麗にしてもらうから、お呪いもいっぱいした。着替えた僕の首や肩、腕にも痕がある。それを見て機嫌のいいセティだったけど、出掛ける直前に唸り出した。
「オレのだと主張できる反面、誰かに余計な指摘されると腹立つし」
「セティ、早くしないとお店の人が待ってるよ」
「あ、ああ。それじゃ上着を着ようか」
首をかしげる。別に寒くないのに、薄い透けるような上着を着せられた。何処かに引っかけたら破けそうだから、注意して行動しなくちゃ。首の後ろに同じ布の帽子もついてて、被ってるように言われた。全部支度したら、急いで屋台のお店に行く。
広場は朝から人がいっぱいだった。焼いて準備された食べ物を、セティはバッグに入れる。バッグの大きさに入らないのに、するりと入っちゃうの。収納のお部屋は凄いよね。見える場所だけど、セティは気にした様子なく放り込んでいく。残りのお金を払って、今度はパン屋さんでも同じことをした。
注目を集めてるみたいで、いろんな人の目がこっちに向いてる。どきどきした。怖いのかな、僕。ぎゅっとセティの袖を握り、俯いて歩く。
「こら、下を向いてると転ぶぞ」
「うん」
返事をしたものの、顔を上げると知らない人が見ている。また俯きそうになった僕に、セティが背中の帽子の布をしっかり被せてくれた。そうしたら人の視線が気にならない。すごい、まるで魔法みたいだ。首元でしゃらんと音を立てた鱗に勇気づけられる。お父さん達も一緒だから平気。
昨日の路地から入っていく。途中まで数人の子どもが迎えに来てくれていた。いい匂いがするから待ちきれないみたいで、手招きされる。背の低い屋根の家の間を抜けて、昨日の男の子の家に着いた。たくさんの人が集まってる。
やっぱり汚れていて、服もぼろぼろだった。家の前には急ごしらえの机が用意してあるから、待っててくれたんだね。良かった、喜んでくれそう。
「食べ物を誰かから奪う奴がいたら、二度と配らない。いいな?」
頷く人達の前に、セティがまずはパンを並べた。1人1個ずつ。家族の分はもう一度並んでもらうことになる。1つずつ渡すのは僕にも出来るから手伝った。隣でセティが肉の串を袋ごと置いて、1本ずつ渡していく。
その場ですぐに食べ始める人もいるし、家に持って帰る子もいた。持ってきた分を全部配り終えたあと、セティは肩を竦めた。
「さて、祈りがなければ明日の分はないぞ。がんばって祈れ」
不思議そうな顔をする人もいたけど、セティは神様だから祈りの声が聞こえるんだ。誰も祈らなかったり、声が少ないとその分だけ減らしていく。目に見える形でここの人に祈ることを覚えてもらうのだと言っていた。
「明日、またね」
ばいばいと手を振ったら、何人もの子が大きく振り返してくれた。いっぱい祈ってね。祈りの言葉は短く、知らない神様の名前が入っている。それを何度も教えてから、セティはその場を離れた。
明日のご飯を注文して、僕達の分も買って宿に帰る。ベッドに腰掛けたセティの膝に座り、僕は声に出して絵本を読んだ。少し文字が多い本も読めるようになったから、向こうに帰ったら弟のボリスにも読んであげたいな。
「オレのだと主張できる反面、誰かに余計な指摘されると腹立つし」
「セティ、早くしないとお店の人が待ってるよ」
「あ、ああ。それじゃ上着を着ようか」
首をかしげる。別に寒くないのに、薄い透けるような上着を着せられた。何処かに引っかけたら破けそうだから、注意して行動しなくちゃ。首の後ろに同じ布の帽子もついてて、被ってるように言われた。全部支度したら、急いで屋台のお店に行く。
広場は朝から人がいっぱいだった。焼いて準備された食べ物を、セティはバッグに入れる。バッグの大きさに入らないのに、するりと入っちゃうの。収納のお部屋は凄いよね。見える場所だけど、セティは気にした様子なく放り込んでいく。残りのお金を払って、今度はパン屋さんでも同じことをした。
注目を集めてるみたいで、いろんな人の目がこっちに向いてる。どきどきした。怖いのかな、僕。ぎゅっとセティの袖を握り、俯いて歩く。
「こら、下を向いてると転ぶぞ」
「うん」
返事をしたものの、顔を上げると知らない人が見ている。また俯きそうになった僕に、セティが背中の帽子の布をしっかり被せてくれた。そうしたら人の視線が気にならない。すごい、まるで魔法みたいだ。首元でしゃらんと音を立てた鱗に勇気づけられる。お父さん達も一緒だから平気。
昨日の路地から入っていく。途中まで数人の子どもが迎えに来てくれていた。いい匂いがするから待ちきれないみたいで、手招きされる。背の低い屋根の家の間を抜けて、昨日の男の子の家に着いた。たくさんの人が集まってる。
やっぱり汚れていて、服もぼろぼろだった。家の前には急ごしらえの机が用意してあるから、待っててくれたんだね。良かった、喜んでくれそう。
「食べ物を誰かから奪う奴がいたら、二度と配らない。いいな?」
頷く人達の前に、セティがまずはパンを並べた。1人1個ずつ。家族の分はもう一度並んでもらうことになる。1つずつ渡すのは僕にも出来るから手伝った。隣でセティが肉の串を袋ごと置いて、1本ずつ渡していく。
その場ですぐに食べ始める人もいるし、家に持って帰る子もいた。持ってきた分を全部配り終えたあと、セティは肩を竦めた。
「さて、祈りがなければ明日の分はないぞ。がんばって祈れ」
不思議そうな顔をする人もいたけど、セティは神様だから祈りの声が聞こえるんだ。誰も祈らなかったり、声が少ないとその分だけ減らしていく。目に見える形でここの人に祈ることを覚えてもらうのだと言っていた。
「明日、またね」
ばいばいと手を振ったら、何人もの子が大きく振り返してくれた。いっぱい祈ってね。祈りの言葉は短く、知らない神様の名前が入っている。それを何度も教えてから、セティはその場を離れた。
明日のご飯を注文して、僕達の分も買って宿に帰る。ベッドに腰掛けたセティの膝に座り、僕は声に出して絵本を読んだ。少し文字が多い本も読めるようになったから、向こうに帰ったら弟のボリスにも読んであげたいな。
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