297 / 321
295.神様の目って凄いんだね
しおりを挟む
悪いことした人は、その罰を受けるのが正しい。セティもガイアもそう言った。悪いことしたら謝るし、お仕置きがあるのも理解してる。前にセティにお仕置きされたから。僕の声が聞こえたガイアが、凄い形相で振り返ったけど……セティが何か言い訳してるけど。僕は耳を塞がれて聞こえなかった。
カイルがにこにこと機嫌よく2人の人間を連れ去る。姿が見えなくなったら、ようやく耳を離してもらえた。お父さんが呻いた後で「叩き潰してやりたい」と零す。いつも優しいお父さんが、すごく怒ってた。へらりと笑って、お父さんの足にしがみ付く。
「お父さん、来てくれて助けてくれてありがとう」
お礼は絶対に忘れちゃいけないの。頬ずりしたお父さんが舐めるのが擽ったくて嬉しい。奥で心配そうなカイサお姉さんの声がして、説明するためにお父さんが戻っていった。ボリスも危ないから奥にいるみたい。まだ子どもだし、痛いことされたら可哀想だよね。
「ガイアもセティもありがとう。カイルには後でお礼する」
「いい子だ」
セティに撫でてもらいながら、首を傾げる。
「さっきの人達、道がひとつなのに驚いてたよ。僕の正面から来たのに変だね」
疑問をそのままぶつけた。誰かと尋ねたら、何で見つかったと不思議がられた。でもルードルフお兄さんの家に、呼んでない人間が歩いてたら声を掛けると思うの。そう伝えると、セティが「ああ」と納得した顔で頷いた。
「今、真っ暗なんだけど見えるだろう?」
「うん」
真っ暗なの? そういえば、お父さんが岩で出入口を閉めてた。少し暗いけど、ちゃんと見えるのに。自分の手を見つめていると、セティが笑ながら頭を撫でた。手を繋いで一緒に歩き出す。
「神族は暗闇も平気だし、魔法で目くらましをしても視える。おそらく姿が見えないように魔法や魔術を使ったんだろうさ」
「だから僕が見つけて驚いたの?」
「ふふっ、ドラゴンだって見抜くのにね」
笑いながらガイアが付け足した。ドラゴンは太古の生物で、魔法を当たり前に使う。だから魔法や魔術への耐性があって、あまり効かないみたい。お父さん達が強いのはその所為かな。
「カイルはいつ戻ってくる?」
「数時間は遊んで……じゃなかった、お仕置きしてるから夜か」
カイサお姉さんの白い鱗が見えるところまで来ると、僕を見つけたボリスが飛び出してきた。お父さんの尻尾をよじ登って乗り越え、必死に駆けてくる。ここはお兄ちゃんだから抱き締めないと! そう思って両手を広げたら、後ろでセティが支えてくれた。おかげで僕も受け止められたよ。
ボリスに舐め回されて、浄化でセティに綺麗にしてもらう。ガイアとカイルスはお祝いに来てくれたの。新しい卵も産まれるし、ボリスにも祝福をくれるって。神様が祝福すると幸せになると聞いた。僕も神様の端っこになったから、皆に祝福をしようと思う。
隅っこでみんなにお尻を向けて座り、セティにやり方を教えてもらう。何だか難しい言葉が多くて、首を傾げたら「幸せになーれ」で通じると言われた。本当? 簡単でよかった。
出入口の岩を外す音がして、お母さんが帰ってくる。いっぱいのお魚は、串に刺して焼くの。お兄さん達も獲物をたくさん運んできた。毟った毛を片付けたりハーブを詰めたり、いっぱいお手伝いして他のドラゴンが来るまで過ごす。
遊びに来てくれた鮮やかなドラゴンを、ボリスと一緒に洞窟の入り口で並んでお迎えした。綺麗な色ばっかりだ。
カイルがにこにこと機嫌よく2人の人間を連れ去る。姿が見えなくなったら、ようやく耳を離してもらえた。お父さんが呻いた後で「叩き潰してやりたい」と零す。いつも優しいお父さんが、すごく怒ってた。へらりと笑って、お父さんの足にしがみ付く。
「お父さん、来てくれて助けてくれてありがとう」
お礼は絶対に忘れちゃいけないの。頬ずりしたお父さんが舐めるのが擽ったくて嬉しい。奥で心配そうなカイサお姉さんの声がして、説明するためにお父さんが戻っていった。ボリスも危ないから奥にいるみたい。まだ子どもだし、痛いことされたら可哀想だよね。
「ガイアもセティもありがとう。カイルには後でお礼する」
「いい子だ」
セティに撫でてもらいながら、首を傾げる。
「さっきの人達、道がひとつなのに驚いてたよ。僕の正面から来たのに変だね」
疑問をそのままぶつけた。誰かと尋ねたら、何で見つかったと不思議がられた。でもルードルフお兄さんの家に、呼んでない人間が歩いてたら声を掛けると思うの。そう伝えると、セティが「ああ」と納得した顔で頷いた。
「今、真っ暗なんだけど見えるだろう?」
「うん」
真っ暗なの? そういえば、お父さんが岩で出入口を閉めてた。少し暗いけど、ちゃんと見えるのに。自分の手を見つめていると、セティが笑ながら頭を撫でた。手を繋いで一緒に歩き出す。
「神族は暗闇も平気だし、魔法で目くらましをしても視える。おそらく姿が見えないように魔法や魔術を使ったんだろうさ」
「だから僕が見つけて驚いたの?」
「ふふっ、ドラゴンだって見抜くのにね」
笑いながらガイアが付け足した。ドラゴンは太古の生物で、魔法を当たり前に使う。だから魔法や魔術への耐性があって、あまり効かないみたい。お父さん達が強いのはその所為かな。
「カイルはいつ戻ってくる?」
「数時間は遊んで……じゃなかった、お仕置きしてるから夜か」
カイサお姉さんの白い鱗が見えるところまで来ると、僕を見つけたボリスが飛び出してきた。お父さんの尻尾をよじ登って乗り越え、必死に駆けてくる。ここはお兄ちゃんだから抱き締めないと! そう思って両手を広げたら、後ろでセティが支えてくれた。おかげで僕も受け止められたよ。
ボリスに舐め回されて、浄化でセティに綺麗にしてもらう。ガイアとカイルスはお祝いに来てくれたの。新しい卵も産まれるし、ボリスにも祝福をくれるって。神様が祝福すると幸せになると聞いた。僕も神様の端っこになったから、皆に祝福をしようと思う。
隅っこでみんなにお尻を向けて座り、セティにやり方を教えてもらう。何だか難しい言葉が多くて、首を傾げたら「幸せになーれ」で通じると言われた。本当? 簡単でよかった。
出入口の岩を外す音がして、お母さんが帰ってくる。いっぱいのお魚は、串に刺して焼くの。お兄さん達も獲物をたくさん運んできた。毟った毛を片付けたりハーブを詰めたり、いっぱいお手伝いして他のドラゴンが来るまで過ごす。
遊びに来てくれた鮮やかなドラゴンを、ボリスと一緒に洞窟の入り口で並んでお迎えした。綺麗な色ばっかりだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,148
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる