【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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301.編んだ髪が尻尾みたい

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 お酒でふらつくドラゴンを除き、動けるドラゴンは帰っていった。数匹が途中で落下して、回収されたみたい。帰ったはずのドラゴンが横になってた。鱗に傷があるから、手を当てて撫でてみる。ガイアみたいに出来ないけど、少し傷が小さくなった。

「お? 治癒を覚えたのか」

「よくわかんないの。手が温かい時に当てると傷が小さくなるよ」

 良く出来たとセティが僕を褒める。嬉しい。傷が治るのも、褒められるのも、お礼も言ってもらった。役に立てるの、僕が大人になったから? 前は役立たずのくせにってよく言われたけど。

「イシスは役立たずじゃない。荒ぶる破壊神を鎮められる唯一の伴侶だからな」

 うん。頷いたら黒髪がドラゴンの鱗に引っ掛かった。引っ張ろうとしたけど、先にセティの指が外してくれる。黒髪を手で掬ったセティが首を傾げた。

「少し切るか」

「切るの? 痛い?」

「痛くない。毛先が痛んでるから引っ掛かるんだ。それに結んでおけば遊ぶ時も安心だ」

 結ぶの? リボン結びでいいのかな。指先で髪を絡めるけど、セティが違うと止めた。リボンで結ぶんだって。お父さん達にプレゼントした残りのリボンを使う。僕の髪を結ぶだけなら短くても平気だから足りるよね。

 今日はワンピースが水色だから、青いリボンにした。セティに言われて背中を見せたら、あっという間に上で結んでくれる。顔を揺らすと揺れるのに、顔に掛かってこない。セティが鏡を渡してくれたけど、後ろは良く見えなかった。でも結んだ髪に残ったリボンを絡めて、編んであるんだって。

「ほら」

 渡された黒髪は縄みたいで、間にリボンが絡まってた。凄い、編んだ隙間に出たり入ったりしてる。青いリボンが入った黒髪は、艶があった。手で触るとすべすべした太い紐みたい。毛先を切ったと言うけど、あまり長さは変わらなかった。

「毎日編んでやるから」

 毎日? 僕、いつもこんな綺麗な髪になるの? 喜んでお母さんに見せた。お父さんも首を近づけた。ボリスがぐぁああ! と叫びながら僕の周りを走る。追いかけっこを始めた僕の後ろを、尻尾みたいに髪が付いてきた。トムがいた頃を思い出す。

 トム、元気かな。また会いに行きたい。あちこち走って疲れたら、近くにいるドラゴンに寄り掛かって休憩した。隠れんぼをして、追いかけっこをして、お昼寝もする。夕日が外を赤く染める頃、休んでいた別のドラゴンも帰っていった。

 洞窟の開いた出入口から手を振って見送る。何度もくるくる回って挨拶して帰っていくドラゴンは、右へ左へ別れた。それぞれのお家は近くじゃないんだね。またみんなと会えますように。手が疲れるまで見送って、セティと手を繋いで歩く。

 今日のご飯はお魚だよ。フェリクスお兄さんのお嫁さんになるドラゴンが、お母さんと一緒に捕まえてきたの。僕は串に刺して焼いたのがいいな。
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