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91.愛されて満ちる(最終話)
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一週間は籠ると聞いた寝室だけれど、結論から言うと二週間も籠ったわ。熱烈な求愛行動に見えるけれど、途中で邪魔が入って中断したの。
籠って三日目に報告が入り、ロラン帝国がモンターニュの国境を越えて侵略した、と。報告されて唸ったエル様は、迅速だった。私に詫びて、すぐ戻ると言い残し、馬に跨る。あっという間よ。出て行った翌日には戦端を開き、半日ほどで叩きのめしたらしい。
とんぼ返りで戻ったエル様の戦いぶりは、あまりに強すぎて。悪魔のようだったと噂されたほど、見事な撃退劇だったそう。数少ない常駐の兵士と騎士だけなのに、一人で半分も倒したと言われるくらい、最前線で戦い、とても強かったんですって。
エル様に食い尽くされた私は、その数日間に生き返ったの。体調の回復した私を連れて、エル様は再び寝室に籠った。嫌じゃないのよ、私だって愛されて嬉しいわ。ただ、体力が違いすぎたみたい。もっと鍛えておくべきだった。
将来の我が子には、きっちり教えておかないといけない。お母様も教えてくださったらよかったのに。戻ったエル様は「やり直しだ」と、その日から一週間籠った。お陰で、国内貴族には仲の良さが広まる。
夫婦仲がいいのは、素敵なことよ。二週間の寝室お籠りから出てきた私は、二日も寝込んだ。侍女達が心配して、エル様を遠ざける。回復して、最初にエル様の抱っこをせがんでしまうくらい、寂しかったのよ。
来月はアルドワン王国でもう一度お式を挙げる。お父様やお母様に私を見ていただくの。今回参加できなかったカトリーヌお姉様も、アルドワン王国へ一時的に戻ると聞いた。もしかして? と尋ねたら、新しいお子様が出来たの。
残念ながら出産間近でモンターニュへ来られなかったオデットお義姉様も、無事に第一王子を出産した。パレードも予定され、次世代の王太子誕生と私の結婚式で盛り上がるだろう。
「幸せって限りがないのね」
「いくらでも与える」
これ以上幸せになったら、膨れて破裂しちゃうわ。そう笑って、持っていくドレスや宝飾品を確認する。婚礼衣装は前回と同じだが、エル様の瞳の色に合わせた明るい黄色のドレスも持っていく。
ディオンお兄様は、私の肖像画を部屋に隠しているとか。ドレスがバレないよう気遣っているのかも。ふふっ、きっとお父様とお母様には見られているわ。だって、あの二人にお兄様が勝てると思えないんだもの。
山積みの荷物を見ながら、頬を緩めた。あの日に似ている。エル様に一目惚れして、モンターニュへ向かう決意をした。木箱に詰めた思い出と一緒に、馬車に揺られたあの日。あとから届いた家族の温かい気持ちも。すべては繋がっていた。
「私、エル様の妻になれて幸せよ」
「私の方こそ、君を娶った世界で一番幸せな男だ」
互いを褒めるように口にして、笑い合う。ロラン帝国はあの後、世代交代が起きた。もうこちらへ攻め込む余力はないと聞いている。戦を防ぐ政略からの婚約は、恋愛結婚になって大成功を収めた。これ以上ないハッピーエンドね。
「愛しい奥様をお茶に誘いたいのだが、受けてくれるだろうか?」
戯けた口調で手を差し出され、私は笑顔で「もちろん」と手を重ねた。
終わり
********************
完結になります。実家の結婚式はご想像ください(´∀`*)パレードで国民に囲まれて、めちゃくちゃ泣き笑いしそう。
番外編を書こうと思っておりますので、希望があればぜひリクエストください(o´-ω-)o)ペコッ
籠って三日目に報告が入り、ロラン帝国がモンターニュの国境を越えて侵略した、と。報告されて唸ったエル様は、迅速だった。私に詫びて、すぐ戻ると言い残し、馬に跨る。あっという間よ。出て行った翌日には戦端を開き、半日ほどで叩きのめしたらしい。
とんぼ返りで戻ったエル様の戦いぶりは、あまりに強すぎて。悪魔のようだったと噂されたほど、見事な撃退劇だったそう。数少ない常駐の兵士と騎士だけなのに、一人で半分も倒したと言われるくらい、最前線で戦い、とても強かったんですって。
エル様に食い尽くされた私は、その数日間に生き返ったの。体調の回復した私を連れて、エル様は再び寝室に籠った。嫌じゃないのよ、私だって愛されて嬉しいわ。ただ、体力が違いすぎたみたい。もっと鍛えておくべきだった。
将来の我が子には、きっちり教えておかないといけない。お母様も教えてくださったらよかったのに。戻ったエル様は「やり直しだ」と、その日から一週間籠った。お陰で、国内貴族には仲の良さが広まる。
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来月はアルドワン王国でもう一度お式を挙げる。お父様やお母様に私を見ていただくの。今回参加できなかったカトリーヌお姉様も、アルドワン王国へ一時的に戻ると聞いた。もしかして? と尋ねたら、新しいお子様が出来たの。
残念ながら出産間近でモンターニュへ来られなかったオデットお義姉様も、無事に第一王子を出産した。パレードも予定され、次世代の王太子誕生と私の結婚式で盛り上がるだろう。
「幸せって限りがないのね」
「いくらでも与える」
これ以上幸せになったら、膨れて破裂しちゃうわ。そう笑って、持っていくドレスや宝飾品を確認する。婚礼衣装は前回と同じだが、エル様の瞳の色に合わせた明るい黄色のドレスも持っていく。
ディオンお兄様は、私の肖像画を部屋に隠しているとか。ドレスがバレないよう気遣っているのかも。ふふっ、きっとお父様とお母様には見られているわ。だって、あの二人にお兄様が勝てると思えないんだもの。
山積みの荷物を見ながら、頬を緩めた。あの日に似ている。エル様に一目惚れして、モンターニュへ向かう決意をした。木箱に詰めた思い出と一緒に、馬車に揺られたあの日。あとから届いた家族の温かい気持ちも。すべては繋がっていた。
「私、エル様の妻になれて幸せよ」
「私の方こそ、君を娶った世界で一番幸せな男だ」
互いを褒めるように口にして、笑い合う。ロラン帝国はあの後、世代交代が起きた。もうこちらへ攻め込む余力はないと聞いている。戦を防ぐ政略からの婚約は、恋愛結婚になって大成功を収めた。これ以上ないハッピーエンドね。
「愛しい奥様をお茶に誘いたいのだが、受けてくれるだろうか?」
戯けた口調で手を差し出され、私は笑顔で「もちろん」と手を重ねた。
終わり
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