40 / 82
40.お父さん達に話したらダメ
しおりを挟む
僕は森で果物を取って、お肉はお祖母ちゃんが捕まえた。お母さんと一緒に水浴びも済ませる。いつベル様が帰ってきても平気。
水浴びの時に、ベル様が入れてくれた温かい湯の話をした。お母さんの大きさだと入れないけど、お風呂も見せる。土魔法で作ったそれをじっくり眺め、お母さんは大きいお風呂を作った。慣れた様子で水を満たし、見ていた耳長のお姉さんが沸かす。
「同じだ!」
凄いと喜ぶ僕を見て集まった人達が、お風呂に驚いていた。でもすぐに納得している。温かいお湯に入ると、体がぽかぽかする。さらに眠くなるんだ。だから眠る前に入るんだよ。そう説明したら、お母さんに言われた。
「オリアス……お父さんに話してはダメよ」
「そうなの?」
頷く顔は真剣なので、僕も真面目な顔で首を縦に振る。そっか、お風呂に入った話はお父さんにはしない。じゃあ、お祖父ちゃんは?
「ラウムは平気だと思うけれど、婿殿にバレるだろうね」
お祖母ちゃんがそう呟いたので、お祖父ちゃんにも内緒になった。男の人はお風呂嫌いなの? でも皆は楽しそうだし、ベル様もお風呂好きみたいだけど。
大きく首を傾げる僕を、ひょいっと背中に乗せたお母さんがお風呂に入る。お祖母ちゃんが外からお湯をかけてくれた。大きいから沈まないように気をつける。温まって、外へ出ると風で乾かしてもらった。
「ありがとう」
魔法が得意な吸血鬼のおねえさんにお礼を言う。可愛いと頭を撫でられた。僕は可愛いじゃなくて、カッコいい奥さんになりたい。ベル様と並んでも見劣りしない立派なドラゴンになるぞ。
ぐっと拳を握っていたら、お父さんの声がした。遠くから「帰るぞ」と知らせる声だ。細くて甲高い声は、吸血鬼の人達も聞こえたみたい。凱旋だと喜んだ。
「がいせんって、なぁに?」
「勝ったのよ」
きょとんとした後、嬉しくなってぴょんと飛び上がる。勝った! さすがは僕の旦那さん、ベル様は本当に強い。最強の旦那さんがいる僕は幸せだ。くるくると回っていたら、吸血鬼のおねえさんが手を叩いてくれた。その音に合わせて、またくるりと回る。
縦穴から大きな影が降ってきた。お祖父ちゃんがすぐに翼を畳み、お父さんが続いた。その背中からベル様が飛んだ。ふわりと着地し、僕へ手を伸ばす。屈んで微笑む旦那さんへ、僕はぺたぺたと走った。
広げた手を掴んで、抱っこしてもらう。いつもの腕、いつもの温かさ、いつもの綺麗なお顔。ベル様に会う前のことを忘れちゃうくらい、僕の中はベル様でいっぱいだ。
長くて黒い髪はさらさらだし、艶のある黒い肌も好き。綺麗なお顔は僕を見ると微笑んでくれる。
「おかえりなさい、ベル様。大好き」
「帰ったぞ、ウェパル」
ベル様に頬を擦り寄せていると、小さな文句が聞こえた。
「俺も帰ったんだが」
お父さんだ。
「邪魔したらいけないわ、あなた」
お母さんに引っ張られて、少し先でぎゅっと抱き合った。お祖父ちゃんも、お祖母ちゃんに口付けしている。他の人達も仲間同士で挨拶したり、肩を叩き合ったり、抱きしめ合う人もいた。
「ベル様が勝って嬉しい」
「しばらく、人間の襲撃の心配はいらないだろう」
僕を抱っこしたまま、ベル様は魔族の皆に説明を始める。安心したのとお風呂入って温かいのと、僕はうとうとと目を閉じた。眠っちゃいそう。
水浴びの時に、ベル様が入れてくれた温かい湯の話をした。お母さんの大きさだと入れないけど、お風呂も見せる。土魔法で作ったそれをじっくり眺め、お母さんは大きいお風呂を作った。慣れた様子で水を満たし、見ていた耳長のお姉さんが沸かす。
「同じだ!」
凄いと喜ぶ僕を見て集まった人達が、お風呂に驚いていた。でもすぐに納得している。温かいお湯に入ると、体がぽかぽかする。さらに眠くなるんだ。だから眠る前に入るんだよ。そう説明したら、お母さんに言われた。
「オリアス……お父さんに話してはダメよ」
「そうなの?」
頷く顔は真剣なので、僕も真面目な顔で首を縦に振る。そっか、お風呂に入った話はお父さんにはしない。じゃあ、お祖父ちゃんは?
「ラウムは平気だと思うけれど、婿殿にバレるだろうね」
お祖母ちゃんがそう呟いたので、お祖父ちゃんにも内緒になった。男の人はお風呂嫌いなの? でも皆は楽しそうだし、ベル様もお風呂好きみたいだけど。
大きく首を傾げる僕を、ひょいっと背中に乗せたお母さんがお風呂に入る。お祖母ちゃんが外からお湯をかけてくれた。大きいから沈まないように気をつける。温まって、外へ出ると風で乾かしてもらった。
「ありがとう」
魔法が得意な吸血鬼のおねえさんにお礼を言う。可愛いと頭を撫でられた。僕は可愛いじゃなくて、カッコいい奥さんになりたい。ベル様と並んでも見劣りしない立派なドラゴンになるぞ。
ぐっと拳を握っていたら、お父さんの声がした。遠くから「帰るぞ」と知らせる声だ。細くて甲高い声は、吸血鬼の人達も聞こえたみたい。凱旋だと喜んだ。
「がいせんって、なぁに?」
「勝ったのよ」
きょとんとした後、嬉しくなってぴょんと飛び上がる。勝った! さすがは僕の旦那さん、ベル様は本当に強い。最強の旦那さんがいる僕は幸せだ。くるくると回っていたら、吸血鬼のおねえさんが手を叩いてくれた。その音に合わせて、またくるりと回る。
縦穴から大きな影が降ってきた。お祖父ちゃんがすぐに翼を畳み、お父さんが続いた。その背中からベル様が飛んだ。ふわりと着地し、僕へ手を伸ばす。屈んで微笑む旦那さんへ、僕はぺたぺたと走った。
広げた手を掴んで、抱っこしてもらう。いつもの腕、いつもの温かさ、いつもの綺麗なお顔。ベル様に会う前のことを忘れちゃうくらい、僕の中はベル様でいっぱいだ。
長くて黒い髪はさらさらだし、艶のある黒い肌も好き。綺麗なお顔は僕を見ると微笑んでくれる。
「おかえりなさい、ベル様。大好き」
「帰ったぞ、ウェパル」
ベル様に頬を擦り寄せていると、小さな文句が聞こえた。
「俺も帰ったんだが」
お父さんだ。
「邪魔したらいけないわ、あなた」
お母さんに引っ張られて、少し先でぎゅっと抱き合った。お祖父ちゃんも、お祖母ちゃんに口付けしている。他の人達も仲間同士で挨拶したり、肩を叩き合ったり、抱きしめ合う人もいた。
「ベル様が勝って嬉しい」
「しばらく、人間の襲撃の心配はいらないだろう」
僕を抱っこしたまま、ベル様は魔族の皆に説明を始める。安心したのとお風呂入って温かいのと、僕はうとうとと目を閉じた。眠っちゃいそう。
134
あなたにおすすめの小説
伯爵令息アルロの魔法学園生活
あさざきゆずき
BL
ハーフエルフのアルロは、人間とエルフの両方から嫌われている。だから、アルロは魔法学園へ入学しても孤独だった。そんなとき、口は悪いけれど妙に優しい優等生が現れた。
【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中
虎ノ威きよひ
BL
ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。
カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。
家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。
そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。
この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。
※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳)
※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。
※同性婚が認められている世界観です。
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる