【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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本編

第39話 準備は万全でした(2)

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「ちょっと、髪をすべてあげたらマナー違反だわ」

「もう関係ないと思うけど、そうね……ならば両脇に残しましょうか」

 何とか思いとどまってもらえました。未婚なのにすべての髪を結んだら、変な評判が立ってしまうわ。顔の両側に髪を残し、大半の髪を後ろで留め直しました。

「これ、ポニーテールっていうの。馬の尻尾みたいでしょ?」

 くすくす笑いながら教えてくれるフランカは、自分も同じように上でひとつに括った。もちろん説得して耳を隠すように左右の髪を下させましたけれど。黒髪を後ろにまとめると、途端に雰囲気が変わりますのね。すごく大人っぽいし、色っぽいですわ。

 この髪型、動きやすくて便利。気に入って鏡を覗いていると、侍女は慣れた手つきで薄化粧を施してきました。いつも思うのですけれど、私に侍女のお仕事は無理でしょうね。気遣いも器用さも負けておりますもの。彼女達がいないと、外へ出られる恰好に整える自信がありませんわ。

「そろそろ準備が出来たかしら」

 運ばれるバスケットは大きく、複数用意されました。敷物やクッション、タオルなどはもちろん、食べ物やお茶のセットも用意されます。着替えは要らないと思うのですが? 馬車なら持っていけるけど、馬に乗ったら無理な量ではないかしら。

「馬に乗らないでしょう?」

「馬に乗るのは私達だけだもの。馬車は先に湖の辺りに行ってもらうわ」

 心得たように侍女は、用意したものを馬車に運び込みます。この部屋に運んだのは、何を用意したか見せるためでしたのね。2頭の馬に引かれて馬車が先に出発します。見送ったフランカが、テラスから目を凝らしました。

「そろそろ、リオが帰ってくる頃じゃない?」

 隣に並んだ私は、思いがけない姿に目を見開いていました。空の上を指差し、「あれ」と指摘するのが精一杯です。

 黄金の竜がひらりと空を舞う――竜は復活したのですし、テユ様をいれて13人もいらっしゃるのだから、どなたか飛ぶでしょうけれど。何か手に持っているようですわ。

 昨夜見た竜より一回り大きい気がしました。屋敷の上で一回転し、旋回して高度を落とします。目的地は、この屋敷ですの?
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