【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第5章 失敗は死を招く

18.裏切りか、策略か(9)

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 あのあと引き摺り起こされ、濡れた服を着替えるなんて許されずに連行された。しっかり両手を後ろ手に縛られたが、なんとこの紐が凄い。ロープより細くてリボン並みに軽いくせに、絶対に切れない。魔力込めて引き千切ろうと試みたが、どうやら魔力自体を遮断する素材のようだ。

 前に人攫いに捕まった際は手錠だったが、正直、紐の方が痛い。手錠は少し緩くて隙間があるので抵抗しなければ擦れないが、紐は食い込んできた。後ろ手だから肩も痛かった。ついでに落ちたときの背中も痛い。

 後頭部を強打しなかったのは不幸中の幸いだが、しっかり捕まった状況では大差なさそうだった。いっそ頭打って動けないほうが、運んでもらえて楽だったかも。

 不埒なことを考えながら男達についていくと、森の中に切り開いた広場があった。人工的に作った場所らしく、最近伐ったと思われる丸太が大量に積み重ねられている。複数のテントが並び、キャンプ場を思わせる風景だった。

「捕獲しました」

 報告がてら連れて行かれたテントで、偉そうな豚……失礼、ふくよか過ぎるおじさんが椅子にはまっていた。一応宮廷マナーとか叩き込まれたオレとしては、柔らかめの表現を使っていきたい。

 太いおじさんは椅子の肘掛の間にはまっている。立ち上がったら、椅子がお尻についてくること間違いなしだった。

「ご苦労」

 偉そうな態度でふんぞり返ってるとこ悪いが、吹き出しそうになるのを必死に堪えた。きっとここは笑っちゃいけない場面だ。たとえ、おじさんの髭が八の字になって先端がくるんと丸まっていたとしても。笑ってはいけない、腹筋崩壊寸前で堪えるとぶるぶる震えてしまう。

「怯えなくてもよい。お前が中央の皇帝か?」

 首を横に振れば人違いで処刑、縦に振ったら嘘になる。小刻みに震えながらも、返答を避けた。それを勝手に返事だと思うのは、相手の自由だ。

「そうか、わかった」

 え? 何が?

「泣き喚かないのはさすがだ」

 24歳だし、ね。

「これから西の国王へお前を渡す。大人しくしていれば危害は加えない」

 西の国王……首都はここより中央に近いか。

「お前は大事な取引材料だからな」

 喉を震わせて笑うなよ、豚らしさが増幅されるぞ。それより、これからの計画とかぺらぺら喋るなよ。めっちゃ小物感あるおじさんが、ぶひぶひと笑う。

 失礼な考えが浮かんでくるが、頭の半分はさきほど見た地図の位置関係把握に当てられていた。地図の左側が西……じゃないな。南が上だから逆さまで、右側が西の国だ。そこの端が自治領だったから、右側の端っこから真ん中まで進む必要があるわけだ。
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