【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第9章 戦の準備

36.準備のために全部出す(3)

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 まず大きなものを最初に出していくため、しゃがみこんだ。前に椅子を引っ張り出した際に、立ったまま取り出したら地面に落として壊した経験がある。低い位置に口を出せばいいと気づいて、大きな家具類を出すときは座ることにした。

 最初に折りたたみベッドが2つ。大きな円形テーブル1つ。椅子5つ。机の上にクロスを敷いてから、立ち上がって食料品を並べていく。黒糖パンが5袋、柔らかい白パンが1袋、干し肉2袋、乾パン10袋、水筒6本、乾燥野菜のセットが2つ。缶詰類も20個ほど詰んだ。

「終わりですか?」

「いいや、これから」

 怪訝そうなシフェルの表情に気付かぬまま、さらに引っ張り出した。

 テントを出し忘れたので座って全力で引く。収納魔法の口に足をかけて両手で出したのは、ジャックに貰った戦場でお馴染みの薄茶色のテント幕だった。その柱となる鉄パイプも順次取り出す。

 収納魔法の特徴として、生きたものは収納できない。しまったものを忘れると出てこないという欠点がある。

 まあ忘れた場合の救済措置として、全部吐き出す呪文があると聞いているが……本当に全部積み重ねて放り出されるため、パンや食料品が先に出ると潰れるらしい。積み重なった荷物が倒れてケガをした事例も聞いた。

 出来れば、そんな怖ろしい自爆呪文は使いたくない。

 指折りして数えて思い出す。食料品は終わった、テントと家具も出した。あとは医薬品と服、武器くらいだろうか。

「まだあるのですか?」

 溜め息をついたシフェルにへらへら笑いながら、部屋の中を移動して薬を出す。絆創膏という名の万能薬、胃薬、なぜか毒薬50種類セットとその解毒薬一式、下剤、尋問用のヤバい薬と書かれた小さなポーチ。

「これは?」

「ん、レイルに貰った。毒薬と尋問用と解毒薬は必須アイテムなんだって?」

 無言になったシフェルの様子に気付かぬまま、今度は服類を出してベッドの上に積み上げる。上着15枚、ズボン8枚、靴2足、ブーツ1足、予備のブーツと言われたがサイズが合わない1足。下着類を数えながら並べていると、足音が聞こえた。

 顔を上げた先にリアムがいる。ちゃんといつもの仕事用皇帝服を身にまとっていた。中身が女の子だと知っていて見ると、宝塚っぽい。男装の美人だよな。以前はどうして男だと思ったのか不思議になるほど、綺麗な笑顔が向けられた。

「どうした? ……それは」

 言い淀んだリアムの視線を追って、ベッドの上に置いた下着類にたどり着く。一瞬で空気が凍りついた。
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