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第12章 北の国から
53.新たな聖獣に襲われた(2)
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ほっとして、再び赤い龍と向かい合う。尻尾を地面に叩きつけ、なんとかブラウを引き離そうとするが、根性を見せる青猫は器用に身体の向きを変えて衝撃を受け流した。
まだ余裕がありそうだ。
「頼むぞ、ヒジリ」
『主殿、次は上からいく』
先ほどと違うアプローチで赤龍の上を通過した瞬間、ひとつ息を吸って飛び降りた。胃がせり上がる不快感と、どこまでも手が届きそうな万能感が襲ってくる。収納空間の口を開いて、ナイフを取り出した。足から着地したオレは、体重をすべてかけた刃を突き立てる。
「キヨ!? なんて無茶を!!」
「危ないぞ、ボス。逃げろ」
叫ぶジャックやジークムンドの声が、いやに近く聞こえた。鱗の隙間に差し込んだ刃が、滲んだ赤い血で滑る。両足を踏ん張って、もう一度刺し直した。
咆哮をあげて暴れる場面だが、やっぱり声は聞こえない。人の耳に届かない音域なのだろうか。ナイフを置いて、身体の位置をずらす。もう1本突き立てて足場を確保すると、身を起こして飛びついた。喉の辺りにある首輪のような紐へ手を伸ばす。
「うわっ」
ダンっ! 尻尾を大きくくねらせて暴れる赤龍が地面を叩く。その勢いでずるりと身体が滑った。とっさに鱗にしがみつくが、指がうまくひっかからない。後ろの地面はかなり遠く、振り落とされたら命はなさそうだった。
最悪、見事なミンチだろう。ヒジリが受け止めてくれるといいが……他力本願の現実逃避を始めたオレの指に、鱗が1枚ひっかかった。
「……嫁出来た途端に、死ぬフラグとかいらん」
うっかり死ねるか。どんなにみっともない様を晒そうと生きて帰る! 黒髪の美人を嫁にして、周囲に羨ましがらせるんだ! 覚悟を決めると生き残ろうと足掻く本能が蘇った。
思いっきり掴んで身体を支え、逆の手に取り出した予備の予備ナイフを龍に刺す。そのナイフを支点に身を支えたところで、目の前にある紐に目を見開いた。鮮やかな赤い紐は鱗に近い色をしているが、どこか禍々しい。
『主殿っ』
ヒジリが助けに駆けつけようとするが、赤龍が威嚇して噛み付こうとする。そのたびにオレは左右に大きく揺られて、落ちる恐怖を味わっていた。
再び身を揺する龍から落ちそうになったオレは、目の前の紐を両手で掴んだ。空中を泳ぐ龍の首にぶら下がる子供に、下で傭兵達の声があがる。
「飛び降りろ、キヨ!」
まだ余裕がありそうだ。
「頼むぞ、ヒジリ」
『主殿、次は上からいく』
先ほどと違うアプローチで赤龍の上を通過した瞬間、ひとつ息を吸って飛び降りた。胃がせり上がる不快感と、どこまでも手が届きそうな万能感が襲ってくる。収納空間の口を開いて、ナイフを取り出した。足から着地したオレは、体重をすべてかけた刃を突き立てる。
「キヨ!? なんて無茶を!!」
「危ないぞ、ボス。逃げろ」
叫ぶジャックやジークムンドの声が、いやに近く聞こえた。鱗の隙間に差し込んだ刃が、滲んだ赤い血で滑る。両足を踏ん張って、もう一度刺し直した。
咆哮をあげて暴れる場面だが、やっぱり声は聞こえない。人の耳に届かない音域なのだろうか。ナイフを置いて、身体の位置をずらす。もう1本突き立てて足場を確保すると、身を起こして飛びついた。喉の辺りにある首輪のような紐へ手を伸ばす。
「うわっ」
ダンっ! 尻尾を大きくくねらせて暴れる赤龍が地面を叩く。その勢いでずるりと身体が滑った。とっさに鱗にしがみつくが、指がうまくひっかからない。後ろの地面はかなり遠く、振り落とされたら命はなさそうだった。
最悪、見事なミンチだろう。ヒジリが受け止めてくれるといいが……他力本願の現実逃避を始めたオレの指に、鱗が1枚ひっかかった。
「……嫁出来た途端に、死ぬフラグとかいらん」
うっかり死ねるか。どんなにみっともない様を晒そうと生きて帰る! 黒髪の美人を嫁にして、周囲に羨ましがらせるんだ! 覚悟を決めると生き残ろうと足掻く本能が蘇った。
思いっきり掴んで身体を支え、逆の手に取り出した予備の予備ナイフを龍に刺す。そのナイフを支点に身を支えたところで、目の前にある紐に目を見開いた。鮮やかな赤い紐は鱗に近い色をしているが、どこか禍々しい。
『主殿っ』
ヒジリが助けに駆けつけようとするが、赤龍が威嚇して噛み付こうとする。そのたびにオレは左右に大きく揺られて、落ちる恐怖を味わっていた。
再び身を揺する龍から落ちそうになったオレは、目の前の紐を両手で掴んだ。空中を泳ぐ龍の首にぶら下がる子供に、下で傭兵達の声があがる。
「飛び降りろ、キヨ!」
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