275 / 1,100
第13章 一戦終わって、また一戦
60.聖獣の得意分野(1)
しおりを挟む
ちらりと視線を向けた先で、ヒジリが首をかしげる。聖獣のもつ能力が把握できていないので、どの聖獣に頼むのが最適か判断できなかった。彼らに任せられるだろうか。
オレの発言にざわつく傭兵連中を放置して、腰を落としてしゃがみこんだ。黒いしっとりした毛皮を撫でてやる。擦り寄る姿は、本当に大型の猫そのものだった。
「塹壕作りたいんだけど、協力して。ヒジリは治癒、ブラウは風と直接攻撃、コウコは何ができるの?」
『今更ね~異世界人だから仕方ないのかしら』
普通はもっと早く聞くものよ。契約しておいて、聖獣の能力に興味を示さなかった人間など知らないコウコは、笑いながら赤い身をくねらせる。
首もとの蛇が腕に絡みつきながら降りてきた。肘の辺りで首を持ち上げて目を合わせる。爬虫類って、たしか瞬きしないんだっけ? じっと見つめ返すと、コウコは再び腕に絡み付いて首まで戻ってきた。
コウコの居場所が首に定着しそうな気がして、ちょっと怖いんだが? 普段から蛇巻いて歩く子供って噂になっちゃいそう。
『あたくしは火が得意だけど、塹壕は作れないわよ。時間がかかりすぎるわ』
先手を打って断られてしまった。そうか、外見どおり『赤い=炎』が間違ってないと分かっただけでも収穫だ。うーんと唸ったオレの手を、またヒジリが噛んだ。今回は骨まで達してないが、やはり牙は多少刺さってる。
「ヒジリ?」
何してるの。そんな響きで眉をひそめると、ヒジリから意外な言葉が返ってきた。
『主殿は塹壕を作りたいのか? ならば我が土を操るゆえ、簡単に……』
「はああああ!? 土を操るって、何でいままで隠してたの!!」
『……伝えてなかったか?』
拍子抜けするほど簡単に、塹壕作りの担い手が見つかった。驚いて目を見開いたオレの指がまた噛まれる。
「ちょ、何かあるたびに噛むの禁止っ!」
『塹壕を作ったら噛ませてくれ』
「いや、意味わからん! でもとりあえず許可する」
地図を覗き込んでV字の場所を確認したヒジリが飛び出していく。後姿を見送りながら「なぜ噛みたがる」とぼやくオレの頭を、ジャックやノアが交互に撫でてくれる。
慰めが身に沁みるぜ、本当。アイツが噛むとかなり痛いからな。オレ、M属性じゃないから。
「ヒジリが塹壕作るから、作戦に参加する奴だけ残ってくれ」
各々武器を手にした傭兵に声をかける。少し待ったが全員残ってくれるらしい。離れる人影はなかった。正直、ほっとしている。ここまで作戦を暴露した後で、寝返られたらやりにくいもんな。
オレの発言にざわつく傭兵連中を放置して、腰を落としてしゃがみこんだ。黒いしっとりした毛皮を撫でてやる。擦り寄る姿は、本当に大型の猫そのものだった。
「塹壕作りたいんだけど、協力して。ヒジリは治癒、ブラウは風と直接攻撃、コウコは何ができるの?」
『今更ね~異世界人だから仕方ないのかしら』
普通はもっと早く聞くものよ。契約しておいて、聖獣の能力に興味を示さなかった人間など知らないコウコは、笑いながら赤い身をくねらせる。
首もとの蛇が腕に絡みつきながら降りてきた。肘の辺りで首を持ち上げて目を合わせる。爬虫類って、たしか瞬きしないんだっけ? じっと見つめ返すと、コウコは再び腕に絡み付いて首まで戻ってきた。
コウコの居場所が首に定着しそうな気がして、ちょっと怖いんだが? 普段から蛇巻いて歩く子供って噂になっちゃいそう。
『あたくしは火が得意だけど、塹壕は作れないわよ。時間がかかりすぎるわ』
先手を打って断られてしまった。そうか、外見どおり『赤い=炎』が間違ってないと分かっただけでも収穫だ。うーんと唸ったオレの手を、またヒジリが噛んだ。今回は骨まで達してないが、やはり牙は多少刺さってる。
「ヒジリ?」
何してるの。そんな響きで眉をひそめると、ヒジリから意外な言葉が返ってきた。
『主殿は塹壕を作りたいのか? ならば我が土を操るゆえ、簡単に……』
「はああああ!? 土を操るって、何でいままで隠してたの!!」
『……伝えてなかったか?』
拍子抜けするほど簡単に、塹壕作りの担い手が見つかった。驚いて目を見開いたオレの指がまた噛まれる。
「ちょ、何かあるたびに噛むの禁止っ!」
『塹壕を作ったら噛ませてくれ』
「いや、意味わからん! でもとりあえず許可する」
地図を覗き込んでV字の場所を確認したヒジリが飛び出していく。後姿を見送りながら「なぜ噛みたがる」とぼやくオレの頭を、ジャックやノアが交互に撫でてくれる。
慰めが身に沁みるぜ、本当。アイツが噛むとかなり痛いからな。オレ、M属性じゃないから。
「ヒジリが塹壕作るから、作戦に参加する奴だけ残ってくれ」
各々武器を手にした傭兵に声をかける。少し待ったが全員残ってくれるらしい。離れる人影はなかった。正直、ほっとしている。ここまで作戦を暴露した後で、寝返られたらやりにくいもんな。
32
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる