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第14章 お料理チートじゃね?

69.戦場に遅刻したオレは必死で挽回する(1)

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「転移できない? なんで」

 一人だけ転移できない。とりあえず彼を下ろして、別の傭兵が乗ると転移する。つまり魔法陣は壊れていないのだが……困り顔のジークとオレ、楽しそうなレイルが残った。

 4人で魔法陣を睨みつける。

「早くしないと遅刻扱いだよな」

「ボス、おれらは置いてってくれ」

 ジークムンドの提案に呆れ顔で現実を突きつける。大柄でガタイのいい強面が、おたおたしていた。

「あのさ、置いていくじゃん? ジークの部隊が班長なしでちゃんと動くの、無理だよ。総指揮はオレだけど、脳みそだけ動いたって末端の神経が働かないと歩けないわけ。で、ジークを送るのは確定」

 泣きそうな顔の傭兵の尻を勢いよく叩く。

「お前も置いていくわけに行かないだろ。敵陣で2時間も1人じゃ死ぬし」

 置いていけば傭兵は間違いなく死ぬ。これから戦場へ2時間も歩いていけば、絶対に周囲を警戒している敵に見つかるだろう。その場合一人で戦って抜けられるか? オレは何とかなるが、まあ無理だな。気弱そうだし、なんで傭兵なんて職を選んだのやら。

 異世界人のオレの方が、よほど殺伐とした世界に馴染んじゃってる。

「それで、今回はどんな知恵で切り抜ける気だ?」

 興味津々のレイルが煙草を咥える。ほんのり甘い香りがする煙草をふかしながら、彼はわざわざしゃがんでオレに視線を合わせた。

「決まってるだろ。まずレイルが転移、次はジークだ。そこで魔法陣は燃やす」

「「はぁ?!」」

 ジークと傭兵がハモる。レイルは目を見開いたものの、煙草の煙を大きく吐き出しただけだった。前世界の煙草と違い、煙を吹きかけられても噎せないのは不思議だ。成分の違いかも。

「あれ? また使うなら魔法陣は回収するけど」

 燃やしちゃダメなのか。仕方ないから収納すればいいと前言撤回して、足元の影に声をかけた。

「コウコ、頼みがあるんだけど……」

『主人、契約した使役獣には命令するものよ』

 しゅるんと蛇サイズで出てきたコウコは足から上ってくる。ちょ、マジ気持ち悪いぞ。ぞくぞくするっていうか、肌が粟立つの表現はこういう場面で使うんだろう。ぞわっと鳥肌になるが、悲鳴は我慢した。

 これから頼み事をするので、機嫌を損ねたくない。

「オレとコイツを徒歩2時間の戦場まで送ると、どのくらいかかる?」
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