【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第15章 意外と近くに和食調味料あった

74.柔らかいお肉様とお醤油万歳!(1)

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 収納から取り出した包丁を手渡してさばいてもらう間、怖いので距離を置いてかまどの用意をする。もちろん土魔法が得意なヒジリの出番だ。

「ヒジリ、ここにかまど。鍋4つと網焼き用2つ分ね」

『以前から言っておるが、我より主殿がイメージした方が使い勝手が良かろうに』

 前回使った鍋を見せながら頼むと、影の中から半分だけ身を乗り出して作ってくれた。そのまま今度は首だけ残して影に沈んでいる。理由は涼しいからだそうだ。見た目がグロいし、つまずく危険性はあるが、色的に黒い影の中は涼しそうな感じがする。

「ヒジリ、オレも影に入れないかな? 涼しいんだろ」

 羨ましいと呟けば、呆れ顔でヒジリが説明を始めた。

『これは契約した主殿の影だ。これは契約獣の特権であり、主殿は自分の影に入れない』

「ぐぅ……」

 変な声が出た。そうか、自分が影には入れたとしても影を作る存在がいなくなるから、つまり二律背反みたいな状態で入れない……あれ? わからなくなってきた。

「キヨ、遊んでないでご飯!」

「っ! だからぁ、なんで指揮官のオレが飯炊き係なんだよ」

 ライアンの声に「がうっ」と噛み付いて、鍋をかまどに並べる。水を作って溜める間に、大量の野菜と肉をテーブルに積んだ。醤油味の野菜炒め用に野菜と肉を用意するが、串焼きでもいい。砂糖まぜて甘塩っぱいタレを掛けた焼き鳥……じゃなかった焼き兎もどき!

「タレつけて食べるのと、つけて焼いたの。どっちがいい?」

「「「タレつける」」」

「「「「味付きで焼いた方」」」」

 意見が分かれたが、微妙にタレをつけて焼いた方が希望者が多かった気がする。手を上げてもらって多数決をとってもいいけど、数えるのが嫌だ。面倒だから両方用意するか。

 手伝いを買って出た連中が串に野菜と肉を交互に刺していく。手際がいいのは、昨夜も手伝わせたからだろう。ただ、耳が短い兎の肉は硬そうだ。

「この肉、硬いの?」

「串が刺さらない」

 いつの間にか調理メンバーに加わったジャックが、お手上げだとぼやく。硬い肉なら煮てしまえ! 最悪出汁が出てれば十分役目を果たしてくれるだろう。

「ん? この肉は……酢で揉んでみろ」

 覗きこんだレイルが助言した。絶対に料理を手伝わないくせに、食べるのだけはしっかり加わる。まあ、その分戦場で働いてくれればいい。

「酢か。ジーク! 黒酢くれ」

 この世界にビニール袋はないが、透明の袋状結界を作って中に兎肉を入れる。上から黒酢を注いで、結界を外から手で揉んだ。鍋や皿の上でやるより揉みやすい。その程度の感覚で作った結界だが、周囲は「ああ……またアイツ非常識なことしてるぜ」という生温なまぬるい目を向けてきた。
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