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第20章 権力者の妻を舐めるなよ!?
118.異世界人と書いて非常識と読む(3)
驚いて固まったあと、本音が漏れた。
「マジで? ブラウが初めてカッコいい聖獣に見えた」
『僕は普段からカッコイイから! おかしなこと言わないで。そもそも僕の扱いだけ酷いよね、猫だからで許される部分まで文句言われるし』
いや、そりゃ言うだろ。お前、他の聖獣に比べてほとんど役に立たない上、仕事しないし、文句ばっかり言うくせに、勝手に飯食うし……褒める要素はふかふかの毛皮くらいだ。
苦情を並べる青猫が顔を洗う。あ、今夜から雨かも知れん。この世界でも通用するかわからないが、猫が顔を洗うと雨が降るらしいからな。衝撃的過ぎる働くブラウの姿に現実逃避を始めた脳を、当事者のブラウが現実に引き戻した。
『命じた奴、面倒だから持ってきた』
表現がおかしい。連れて来たんじゃなく、持ってきたのか? まるで物体みたいな言い方じゃないか。自動翻訳が壊れたかも……不安に駆られたオレの視線がブラウに向かう。
左半身に乗っかる黒豹、顔面近くに青猫、首に絡んだ赤蛇。1人動物園状態なオレの手を握る黒髪美人! カオスすぎる状況で、ツッコミ役のシフェルが不在となれば……現場は硬直状態に陥るわけです。困惑しながら視線を合わせれば、金の瞳を瞬いたブラウがからりと笑った。
『ほら、これ。重かったけど、まあ僕の敵じゃないよね~』
この世界で聖獣相手に勝てる奴は少ないだろ。ツッコミながら視線を向けた足元に、何かが覗いていた。タコみたいで、わずかに白い毛がついている。つるりとした形状に見覚えがあった。
人の、あたま?
「クリス、ちょっとリアムを預かって。あとブラウとヒジリはどいて」
不満そうに唸るが、ヒジリは大人しく命令に従ってくれた。堰き止められた血が左半身に流れて、血行がよくなる。皮膚の表面が痒い気がした。ぽりぽり腕を掻きながら身を起こせば、駆け寄ったノアが支えてくれる。
本当に面倒見のいいオカンだ。
「ありがと、ノア」
安全のためにクリスがリアムを背に庇う。この国一番の権力者の足元に、得体の知れないタコが出現すれば、騎士として当然の対応だった。床に生えたタコの正体はまだ不明だが、ぴくりとも動かないのが気になる。
「動かしても平気か?」
『もう動かないから全然大丈夫。僕は優秀な猫だから、ちゃんと飼い主に獲物をプレゼントするわけさ』
ジト目になってしまう。確か猫が飼い主に獲物を運んでくるのは、異性への求愛行動じゃなければ……「このどんくさい飼い主に獲物を与えてやらないと、食事もできないんだろ? しょうがねえな、オレに任しとけよ」という意味だと聞いた。
今回は絶対に後者だ。にやりと口元を笑みに歪めながら、こちらを見るブラウの顔が意地悪く見えるのは、オレの気持ちの持ちようか? いや、たぶん実際そんな笑い顔だと思うわけだ。ぐいんと口に手を突っ込んで両側に引っ張ってやった。
「これ、外に出して」
『主、卒倒したりしない? そんなことになったら、僕が怒られるじゃん』
ヒジリやコウコに怒られる。上手に後半を濁したブラウに「問題ない」と当てにならない約束をした。正直、見てみなきゃ判断できない。卒倒なんてしたくてするもんじゃないからな。悪代官みたいな顔をしてたと思うが、合図がわりにオレは顎でしゃくってやった。
ベッドから飛び降りたブラウが元の大きさに戻り、タコの少し下へ手を入れる。何かを爪に引っかけて引きずり出した。次の瞬間、部屋の中は阿鼻叫喚の騒動となった。
「マジで? ブラウが初めてカッコいい聖獣に見えた」
『僕は普段からカッコイイから! おかしなこと言わないで。そもそも僕の扱いだけ酷いよね、猫だからで許される部分まで文句言われるし』
いや、そりゃ言うだろ。お前、他の聖獣に比べてほとんど役に立たない上、仕事しないし、文句ばっかり言うくせに、勝手に飯食うし……褒める要素はふかふかの毛皮くらいだ。
苦情を並べる青猫が顔を洗う。あ、今夜から雨かも知れん。この世界でも通用するかわからないが、猫が顔を洗うと雨が降るらしいからな。衝撃的過ぎる働くブラウの姿に現実逃避を始めた脳を、当事者のブラウが現実に引き戻した。
『命じた奴、面倒だから持ってきた』
表現がおかしい。連れて来たんじゃなく、持ってきたのか? まるで物体みたいな言い方じゃないか。自動翻訳が壊れたかも……不安に駆られたオレの視線がブラウに向かう。
左半身に乗っかる黒豹、顔面近くに青猫、首に絡んだ赤蛇。1人動物園状態なオレの手を握る黒髪美人! カオスすぎる状況で、ツッコミ役のシフェルが不在となれば……現場は硬直状態に陥るわけです。困惑しながら視線を合わせれば、金の瞳を瞬いたブラウがからりと笑った。
『ほら、これ。重かったけど、まあ僕の敵じゃないよね~』
この世界で聖獣相手に勝てる奴は少ないだろ。ツッコミながら視線を向けた足元に、何かが覗いていた。タコみたいで、わずかに白い毛がついている。つるりとした形状に見覚えがあった。
人の、あたま?
「クリス、ちょっとリアムを預かって。あとブラウとヒジリはどいて」
不満そうに唸るが、ヒジリは大人しく命令に従ってくれた。堰き止められた血が左半身に流れて、血行がよくなる。皮膚の表面が痒い気がした。ぽりぽり腕を掻きながら身を起こせば、駆け寄ったノアが支えてくれる。
本当に面倒見のいいオカンだ。
「ありがと、ノア」
安全のためにクリスがリアムを背に庇う。この国一番の権力者の足元に、得体の知れないタコが出現すれば、騎士として当然の対応だった。床に生えたタコの正体はまだ不明だが、ぴくりとも動かないのが気になる。
「動かしても平気か?」
『もう動かないから全然大丈夫。僕は優秀な猫だから、ちゃんと飼い主に獲物をプレゼントするわけさ』
ジト目になってしまう。確か猫が飼い主に獲物を運んでくるのは、異性への求愛行動じゃなければ……「このどんくさい飼い主に獲物を与えてやらないと、食事もできないんだろ? しょうがねえな、オレに任しとけよ」という意味だと聞いた。
今回は絶対に後者だ。にやりと口元を笑みに歪めながら、こちらを見るブラウの顔が意地悪く見えるのは、オレの気持ちの持ちようか? いや、たぶん実際そんな笑い顔だと思うわけだ。ぐいんと口に手を突っ込んで両側に引っ張ってやった。
「これ、外に出して」
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