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第22章 まさかのヤンデレ属性
130.赤毛の情報屋が、嘘だろ?(1)
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前回この庭に来た時は、侍女達によってテーブルセットが用意されていた。ウルスラを紹介された時か。
かなり前にこの庭で見かけた、大きなトカゲっぽいドラゴンが寝そべっていた。一応分類は竜なのに、どこから見てもイグアナ系の外見だ。スノーはファンタジー映画のドラゴン形態なので、種類が違う感じがした。一緒くたにしたらスノーが怒るかも知れない。
この庭でリアムと勉強を始めた頃にソファ代わりにしたドラゴンは、出て行くつもりがない様子だ。するとレイルがぽんと腹の辺りを叩いた。寝そべっていたドラゴンがくるりと尻尾を巻く。その真ん中に絨毯を敷いて、ペタンと座り込んだ。
数本の絨毯が用意されているので、これを使えということか。素直に絨毯を受け取ると、後ろからヒジリに奪われた。自分の分は自分でもらって来いと文句を言いかけたオレの前で、大型化したヒジリがくてんと丸くなる。腹部分に絨毯を引き寄せて待っていた。
「え、いいの? ヒジリ」
『主殿と嫁までだ』
対象者はソファになる聖獣側の指名らしい。
「ありがとう、聖獣殿」
「さすがイケメン聖獣ヒジリだ」
黒い毛皮を撫でれば、黒い尻尾がひらひら揺れた。近づいたブラウも大きくなり、ごろんと目の前に寝転がる。腹を見せてくねくね誘うが、オレはにやりと笑って手を振った。
「悪いが、ヒジリで間に合ってる。足置きになるなら、良きにはからえ」
一度言ってみたかった。「良きにはからえ」は王族や江戸の将軍様のイメージだ。ヒジリを始めとしたこの世界では上手に翻訳されず首を傾げられるものの、ブラウは「どこの江戸時代」と笑い転げた。通じて良かった。散々笑った後、ブラウがきりっと指摘した。
『でも使い方間違ってるっぽくない?』
「JKみたいな言葉遣い、やめろ」
ここで一旦話を打ち切り、コウコとスノーを絨毯の端に乗せた。それからリアムの手を取り、まずは左側に座らせる。当然隣にオレが腰を下ろした。
向かいでは同じように絨毯を敷いて、シンとシフェルが座る。侍女が心得たように入ってきた。中央に丸いテーブル板のようなものを置いて、お茶のセットを用意する。この国に帰って宴会した翌日に作った異世界クッキーを取り出したオレは、菓子が盛られた皿の横に並べた。お皿ごと収納しておいて良かったよ。
「久しぶりだ」
「ああ、連絡するつもりはなかったからな」
シンがレイルに挨拶すると、タメ口でレイルが肩を竦める。孤児で傭兵、情報屋の元締め――ナイフ戦を得意とするし、毒の扱いにも長けた年上の友人。そんな認識だったレイルが、王族とタメ口で話す姿は、どこか不思議だった。
かなり前にこの庭で見かけた、大きなトカゲっぽいドラゴンが寝そべっていた。一応分類は竜なのに、どこから見てもイグアナ系の外見だ。スノーはファンタジー映画のドラゴン形態なので、種類が違う感じがした。一緒くたにしたらスノーが怒るかも知れない。
この庭でリアムと勉強を始めた頃にソファ代わりにしたドラゴンは、出て行くつもりがない様子だ。するとレイルがぽんと腹の辺りを叩いた。寝そべっていたドラゴンがくるりと尻尾を巻く。その真ん中に絨毯を敷いて、ペタンと座り込んだ。
数本の絨毯が用意されているので、これを使えということか。素直に絨毯を受け取ると、後ろからヒジリに奪われた。自分の分は自分でもらって来いと文句を言いかけたオレの前で、大型化したヒジリがくてんと丸くなる。腹部分に絨毯を引き寄せて待っていた。
「え、いいの? ヒジリ」
『主殿と嫁までだ』
対象者はソファになる聖獣側の指名らしい。
「ありがとう、聖獣殿」
「さすがイケメン聖獣ヒジリだ」
黒い毛皮を撫でれば、黒い尻尾がひらひら揺れた。近づいたブラウも大きくなり、ごろんと目の前に寝転がる。腹を見せてくねくね誘うが、オレはにやりと笑って手を振った。
「悪いが、ヒジリで間に合ってる。足置きになるなら、良きにはからえ」
一度言ってみたかった。「良きにはからえ」は王族や江戸の将軍様のイメージだ。ヒジリを始めとしたこの世界では上手に翻訳されず首を傾げられるものの、ブラウは「どこの江戸時代」と笑い転げた。通じて良かった。散々笑った後、ブラウがきりっと指摘した。
『でも使い方間違ってるっぽくない?』
「JKみたいな言葉遣い、やめろ」
ここで一旦話を打ち切り、コウコとスノーを絨毯の端に乗せた。それからリアムの手を取り、まずは左側に座らせる。当然隣にオレが腰を下ろした。
向かいでは同じように絨毯を敷いて、シンとシフェルが座る。侍女が心得たように入ってきた。中央に丸いテーブル板のようなものを置いて、お茶のセットを用意する。この国に帰って宴会した翌日に作った異世界クッキーを取り出したオレは、菓子が盛られた皿の横に並べた。お皿ごと収納しておいて良かったよ。
「久しぶりだ」
「ああ、連絡するつもりはなかったからな」
シンがレイルに挨拶すると、タメ口でレイルが肩を竦める。孤児で傭兵、情報屋の元締め――ナイフ戦を得意とするし、毒の扱いにも長けた年上の友人。そんな認識だったレイルが、王族とタメ口で話す姿は、どこか不思議だった。
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