【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第28章 南の国制圧? 調味料が先だから

178.国のために戦ったのに、見捨てるの?(2)

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「様子はどう?」

 もう侵入に気付かれているはずだ。傭兵が中央の国が作った砦を奪還した話は、すでに帰した兵が伝えただろう。ならば守りを固めているはず……そう告げたオレに、サシャの報告が入った。

「キヨが逃した兵は、門の前に締め出されてたぜ」

「なんで?」

 素で驚いた声が出る。彼らは自国の兵で、洗脳されている様子もない。砦を落とされたとはいえ、戦った兵士を締め出す理由がわからなかった。これじゃオレ達の話が通ってないんじゃないか?

 きちんと仕事したんだから受け入れて、内側で労われて当然だ。そうぼやくと、呆れ顔のジャックに指摘された。

「忘れたのか? お前の考えはこの世界の非常識だ。傭兵のおれらもそうだが、負けた兵士なんざ用無しなんだよ。だから門を閉じて、見せしめにする気だろう」

 戦わなければ兵はこうなる。見捨てられると国民へ警告する材料として扱った。傭兵ならば珍しくもない話で、彼らは独自のルートで別の国に流れるが、兵士は元が国民で親や家族を捨てて流れる訳にいかない。

 街を囲む塀は高く、とてもではないが人が越えられるものではなかった。近くに川もなく、兵士達は諦めの表情で座り込んでいる。

 帰してくれるのかと目を輝かせたおっさんも、殺されなかったことを喜んだ若者も、全員が死んだ魚のような目で俯く。その姿を哀れむより、腹が立った。

 これだけの人数がいて、どうして立ち向かわない? 別の入国手段を考えない。いっそ戻ってきて、オレに文句を言えばよかったんだ。

 見当違いだと自分でもわかるが、八つ当たりの方角が間違っているのも自覚があった。しかし我慢できない感情が吹き出す。

『主殿、目が……』

「わかってる。ヒジリ、オレを乗せて走って。マロンはここで仲間を守って欲しい。コウコ、空から暴れていいぞ」

『承知した』

『わかったよ』

『暴れていいのね? 好きにやらせてもらうわ』

 それまで寛いでいた青猫も、好戦的な所作で尻尾を振る。

『主、派手にいくの? 僕も』

「ブラウはあの門を切り裂いてから、中で好きに暴れてよし。逆らう奴は半殺しで!」

 物騒な作戦変更に、ノアが慌てて止めに入った。肩を掴んで正面から顔をのぞいて、息を飲んで言葉を失う。


「どいて、ノア。仲間にひどいことしたくない……オレはこういう不条理嫌いなんだよ。貴族の権力を笠に着て、現場の苦労も知らずにあれこれ指図するのも。大変な思いをしてる末端を簡単に切り捨てるのも、煮え繰り返るほど腹が立つ」
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