【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第28章 南の国制圧? 調味料が先だから

188.ひとまず夜営地確保(2)

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 すでに街の連中は解散したし、南の兵士も勝手に夜営の準備を始めていた。このまま大通りを占拠しても問題なさそうだが、キベリを食べたら移動しよう。

『僕も手伝います』

 果物大好きなスノーが机に登り、チビドラゴンの短い手でひとつずつキベリを採り始めた。傭兵連中も手伝いながら、たまに口に運ぶ。スノーが綺麗にオレの前へ並べたので、礼をいって口に運んだ。

 やばい、普通にうまい。この異世界に飛ばされる未来の日本人へ、日本語とイラスト付きで食レポ残してやろう。食べ損ねたら絶対に損だぞ。でも日本人なら昆虫系は回避されてしまう。もったいない! 奇妙な決意をしながら、集まった連中に声をかけた。

「夜営する場所なんだけど、王都側でいい?」

「「いいと思う」」

「構わないが」

「危なくないか? 退路を断たれるぞ」

 そうそう、こういう意見が欲しかったんだよ。頷きながら、ぐるりと見回す。

「見張りをつければいけるんじゃないか」

 ライアンがぼそっと発言する。狙撃手で見張りを担当することが多い彼は、自分の経験から判断した。こういう意見のすり合わせがしたかったんだよ。

 にこにこしながら他の連中を見回すと、気弱で魔力ゼロのマークが口を開いた。

「あの、俺なら砦側にします」

「理由を聞いてもいい?」

「これから砦に置いてきた人達が合流するなら、近い方が便利ではないか、と……」

 自信なさげだが、彼の言葉に反論はなかった。そこでふと気づく。傭兵達って、自分の意見を押し付けたり他人の意見をいきなり否定しない。いろんな意見を出し合う中で言い争うことはあっても、実力行使で無理やり意見を通さない。

「キヨが決めれば、全員従うよ」

 ノアが苦笑いして肩を竦めた。そこで納得した。彼らは仲間の話を聞くし否定しないけど、ボスが動けば逆らわない。群れとして動く以上、上位者の命令に逆らう危険性を身をもって理解していた。

 戦地で勝手に右左に動いたら、部隊全滅があり得るのだ。過酷な状況を生き抜いたからこそ、事前に話を終えて動き出したら余計なことを考えない。キベリを唇に押し当てるスノーに促され、素直に口に入れた。

「よし、決めた。拠点は王都側、見張の指揮はライアンに任せる! それと……オレはこれから転移で砦に行くから、向こうの連中と戻ってくるまで待機して」

 自分だけなら転移も簡単だ。一度行ったことのある場所だから、明確に場所を指定できた。地面に埋まらないように気をつければ、空中に放り出されても魔法が間に合うだろう。

 決めた内容を早口で告げ、慌てて付け足した。

「待機中の指揮権はジャック。万が一戦闘状態になったら、無理に街を守らず砦まで撤退してね」
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