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第32章 気づいてはいけない?
240.後から入れても出汁出るよね(3)
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「ケモ、耳……いたぁああああっ!!」
思わず大声を出してしまって、横たわった人がずるずると逃げだす。手足が足りなかったり、包帯もどきの汚れた布を巻いた人達を脅かしてしまった。反省しながら気持ちを落ち着ける。
一番奥にいる女性、頭の上にケモ耳ついてませんか? どきどきしながら近づくと、耳がぴくりと動いた。間違いない、カチューシャの類じゃない!!
「怖がらないで、傷を治すよ」
猫撫で声で近づくが、耳だけじゃ犬か狐か猫か区別がつかない。全部三角だもんな。区別がつくのは兎耳くらいだ。ひとまず動くなら、本物だ。
興奮を抑えながら、そっと手を触れる。治れ、治れ。イメージを高めて魔法を使った。触れている相手しか治らないのは、オレが読んだ漫画の影響だと思う。手を触れないと治らない設定だったんだ。その漫画が一番綺麗に傷が治るイメージだから、ちょっとお借りして。
ヒール! と叫ぶのは恥ずかしいので省略。ぶわっと何かが失われる気がした。前から思ってたけど、治癒だけ魔力使った感じがするのは何だろう。他の魔法の時は相当連発しないと気にならないのに。
唸りながら隣の人も治し、その隣で倒れる男性も治癒をかける。移動しつつ全員回ったところで、ようやく最初のケモ耳女性が身を起こした。
「なお、った」
「うん。よかった――えええ?!」
治ったけど、傷は治ったけど……頭の上のケモミミも消えた。なぜだ? あれは病気の一種だった、とか。え? 意味がわかんない。
「頭の上の、あれ、は?」
「治りました。ありがとう、ございます。ご主人様」
「ご主人様ではないけど、ひとまず上に行こうか」
促して先に立って歩きながら、頭の中でぐるぐると考える。あの汚い牢に放り出された彼女の耳は、確かにケモ耳で頭上にあった。動いていたから本物だ。なのに治癒したら消えた。本人も治ったと……あれれ? もしかして治癒したら耳を消したって展開じゃん?
なんてこった。天然のケモ耳だったかもしれないのに、幻で終わってしまった。
ショックを受けながら地上に戻る。救助できた奴隷は21人。他の屋敷にもいるらしいから、そっちは騎士や兵士の力を使おう。全部オレがやるのは無理だ。この国のことはこの国の人に解決してもらうのが基本と思うからね。
とりあえず、ケモ耳が幻となった心の痛手を癒したいので、しばらく1人にして欲しい。項垂れてそう告げたオレに、ジャック達は複雑そうな顔をしながらも……時間をくれた。優しさが沁みる。臭いを遮断していた結界を消したら、刺激臭で涙が滲んだ。
踏んだり蹴ったりだよ、ったく。
思わず大声を出してしまって、横たわった人がずるずると逃げだす。手足が足りなかったり、包帯もどきの汚れた布を巻いた人達を脅かしてしまった。反省しながら気持ちを落ち着ける。
一番奥にいる女性、頭の上にケモ耳ついてませんか? どきどきしながら近づくと、耳がぴくりと動いた。間違いない、カチューシャの類じゃない!!
「怖がらないで、傷を治すよ」
猫撫で声で近づくが、耳だけじゃ犬か狐か猫か区別がつかない。全部三角だもんな。区別がつくのは兎耳くらいだ。ひとまず動くなら、本物だ。
興奮を抑えながら、そっと手を触れる。治れ、治れ。イメージを高めて魔法を使った。触れている相手しか治らないのは、オレが読んだ漫画の影響だと思う。手を触れないと治らない設定だったんだ。その漫画が一番綺麗に傷が治るイメージだから、ちょっとお借りして。
ヒール! と叫ぶのは恥ずかしいので省略。ぶわっと何かが失われる気がした。前から思ってたけど、治癒だけ魔力使った感じがするのは何だろう。他の魔法の時は相当連発しないと気にならないのに。
唸りながら隣の人も治し、その隣で倒れる男性も治癒をかける。移動しつつ全員回ったところで、ようやく最初のケモ耳女性が身を起こした。
「なお、った」
「うん。よかった――えええ?!」
治ったけど、傷は治ったけど……頭の上のケモミミも消えた。なぜだ? あれは病気の一種だった、とか。え? 意味がわかんない。
「頭の上の、あれ、は?」
「治りました。ありがとう、ございます。ご主人様」
「ご主人様ではないけど、ひとまず上に行こうか」
促して先に立って歩きながら、頭の中でぐるぐると考える。あの汚い牢に放り出された彼女の耳は、確かにケモ耳で頭上にあった。動いていたから本物だ。なのに治癒したら消えた。本人も治ったと……あれれ? もしかして治癒したら耳を消したって展開じゃん?
なんてこった。天然のケモ耳だったかもしれないのに、幻で終わってしまった。
ショックを受けながら地上に戻る。救助できた奴隷は21人。他の屋敷にもいるらしいから、そっちは騎士や兵士の力を使おう。全部オレがやるのは無理だ。この国のことはこの国の人に解決してもらうのが基本と思うからね。
とりあえず、ケモ耳が幻となった心の痛手を癒したいので、しばらく1人にして欲しい。項垂れてそう告げたオレに、ジャック達は複雑そうな顔をしながらも……時間をくれた。優しさが沁みる。臭いを遮断していた結界を消したら、刺激臭で涙が滲んだ。
踏んだり蹴ったりだよ、ったく。
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