【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第32章 気づいてはいけない?

253.お弁当ついてるよ(2)

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 咄嗟に銃を抜いたが、侍女達は真っ赤な頬を押さえてくねくねと踊っているし、絶句したクリスティーンは固まっている。状況が理解できないんだが? 困ったオレの銃を、リアムがそっと下げさせた。

「彼女達は時々、セイ……じゃなくて、キヨの行動に興奮するんだ」

「はあ」

 よく分からないが、襲撃じゃないならいいか。銃をホルダーにしまって、顔を上げるとレイルが腹を抱えて笑ってた。ジークムンドは真っ赤な顔でそっぽ向く有様。何だってんだ? 本当に。

 未婚女性がいるテントなので、オレが入る以上入り口を開けておくのがマナーなのだとか。確かに2人きりだと変な噂が出るのが貴族だからな。わかる。侍女がいても、既婚者のクリスティーンがいても、念のためだ。今は美少女リアだからね。皇帝陛下=リアの図を公開した時、難癖つけられたくない。

 リアムがまたパンを食べ始め、オレは頬杖をついて彼女を見つめた。すごい幸せ。彼女が手の届くところにいるだけで、生きて呼吸してるだけで幸せなんだな。リア充万歳だ。侍女やクリスティーンもまだ食事中なので、手早くポットを用意してお茶を入れ始める。こっちにきて見つけた緑茶だ。

 紅茶のポットなので、全員分一度に入るのがいい。ノアがいればお茶を頼んだんだが、いないものは仕方ない。オレだってそれなりに淹れられるさ。深く考えずにカップに半分ずつ入れ、逆回りでまた注ぎ足す。その所作は周囲の注目を集めていた。

「ん? レイル、いつきたの」

「さっきからいたぞ、お前が気づかなかったんだろ」

「悪い」

 リアムしか目に入ってなかった。お茶を全員の前に差し出すと、侍女達が困惑の表情でカップを眺める。

「緑茶はだめ?」

「お茶の種類じゃないと思うぞ」

 入り口の柱に寄りかかって、レイルが指摘したのはお茶の淹れ方だった。紅茶の場合、1人分ずつ注ぐ。言われると確かにそうだったかも。

「お茶ってのは上位者から注いでいくもんだ。お前は順番通り入れて戻っただろ? だからお茶のカップの順位がわからなくなったのさ」

 上位者に行くべきカップは、最後に注いだ緑茶が混じった。そういうこと? 初めて聞いた作法だけど、そういうの、この世界ならあるかもね。今まで気にして飲んだことなかった。

「気にしないでよ。今は正式な場じゃないし。そもそも緑茶で種類が違うんだから」

 そう言われても侍女達は困惑しているので、オレが知るミニ知識を披露しておいた。

「異世界では、緑茶は今のような淹れ方をする。この世界のルールは知らないけど、味を均等にする目的があるんだとさ。薄い時の味、濃い時の味、香り、すべて均等にして、お茶の時は身分関係なく飲む。オレの流儀に従ってよ」

 実際には身分関係なくの辺りは、適当だ。おそらくそんなルールはないと思うし、礼儀作法的にも聞いたことない。ただ、こうでも言わないと飲まないだろ?
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