【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第33章 断罪劇、いっちゃう?

261.毒の盛り方も知らない素人かよ(1)

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 解毒は済んだけど、症状は知ってるから演技を続ける。オレが毒殺されかけた話を、医者や牢番が積極的に広めてくれると助かるんだが。ちなみに少し離れた別の区画に、ベルナルドが囚われていたそうだ。早朝、ごねる父親を息子が身受けしたと聞いた。主犯扱いじゃないし、彼を閉じ込めとくと侯爵家や軍を敵に回す可能性があるからね。釈放は正しいと思うよ。

 ちなみに北の王家からは使者が出立したらしい。シン兄ちゃんだといいな。ちょろいから。会ったこともない妹は除外できるし、国王自らご出馬もないだろう。出馬って言うと選挙みたいだ。そういや引き籠ってたから、一度も選挙権行使しなかったなぁ。今なら行ってみたい気もする。

 自分達の手で政の頂点に立つ人を選べるっていいよね。王政も国王がまともなら機能するけど、ラノベみたいに馬鹿が頂点に立ったら目も当てられない。

「これは……喉の奥の糜爛びらん状況からみて、毒ですな。それもかなり強い種類です」

 慌てふためいた医師がはっきり宣言したことで、集まった別の牢番達もざわめく。当然、この中には敵の手の者が混じってるわけだが、逆にウルスラ達側の人間もいる。双方に平等に与えられた不穏な情報。このカードの切り方ひとつで、今後の情勢が一気に変わるはずだ。そこでオレはもう一枚カードを用意した。

「聖獣が怒って飛び出したから、呼び出して宥めないと……大変なことに……」

 病弱美少年風にここで意識を失う……フリをした。もう主演男優賞どころか、ヒロイン枠じゃん? 伸ばしかけた手は力なくベッドに落ち、美しい紫の瞳が目蓋に隠れる。そして白い肌を縁取る淡い金髪が流れた。眦にオプションで涙を追加する。これは魔法で演出してみた。

 よく映画でみるじゃん。目を閉じて少し首が傾いた時に、ぽろっと流れ落ちる儚い演出――あれだ。イメージは完璧で、流れた涙は周囲の水分です。水の魔法でいいよね、みたいな。だって舐めるなら塩水だけど、誰も舐めないだろ。

『僕の主様になんてことを……』

 うるうるしながら、チビドラゴンがベッドの向こうから顔を見せた。白いトカゲ様は、ぺろりと涙を舐めとってオレの顔にしがみ付く。

 演出としては最高だが、おまっ、手が冷たいぞ。爬虫類だからな? そこは気遣ってくれ。びくっと肩が揺れて慌てて力を入れて押さえたんだぞ。起きてるのがバレたらどうしてくれるんだよ。心の中でぼやきながら、いつの間にか首に巻き付いたコウコの冷たさに身じろいだ。さすがにびっくりしたし、我慢できない冷たさだった。

「苦しんでおられる。解毒剤を用意させましょう」

 医師は慌てて牢内から出て行った。たぶんだけど、解毒剤を理由にして蛇やトカゲから逃げたっぽくない? 離れてくれたのは助かった。おかげで死んだフリ……じゃなくて、寝たフリがバレない。
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