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第33章 断罪劇、いっちゃう?
287.言いたい奴には言わせとけ(2)
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危険だと騒ぐ騎士を無視して、奥へ入る。銃撃戦の音はなく、ざわついているが戦闘中ではなかった。宿舎内は暴れた跡が見られるものの、武器は使わなかったらしい。殴られた傷を手当てする騎士はいても、切り傷や銃創によるケガ人はなかった。
「何があった?」
難しい顔をして尋ねる元将軍ベルナルドに、手当てを終えた士官が敬礼する。明らかに胸元の勲章やら飾りが多い役職付きだった。
「はっ、傭兵どもが騎士団に難癖をつけ、攻撃して来ました」
「はい、アウト」
ぼそっと呟いたクソガキ様に怪訝そうな顔をした騎士だが、ベルナルドは頷いてオレの前に膝を突いた。
「元部下が申し訳ございません」
「ここにいても仕方ない。傭兵の官舎を見に行くよ」
踵を返した途端、何故か焦った声を上げる騎士がいた。先程の士官らしき男ではない。まだ若い男は、かなり派手に殴られていた。事情を知る中心人物かな。でもコイツらに話を聞く必要はなかった。
嫌な予感がする。それが当たっていたら、騎士を連れて行くのはやめよう。代わりに傭兵連中を連れて行く算段をしながら歩き出した。
近づく傭兵の官舎に変化はない。出かける前と同じに見えた。だが……入り口の扉が壊れている。蝶番部分が外から破壊され、内側に扉が押し込まれていた。外からの襲撃で間違いない。
玄関から中を覗くと、食堂兼リビングとして使っている広間がある。そこには数人の傭兵達が休んでいたが、慌てた様子でオレに駆け寄った。
「ジークムンドは? それと状況説明が欲しいんだけど」
「ジークは悪くねえ」
「そうだ! 連中が先に」
「……二度言わせる気か?」
むっとした顔で言い訳を遮る。多少魔力で威圧してやったら、青ざめて奥の部屋に駆け込んだ。あっちはジークムンド班の個室がある方か。逆側は浴室など水回りや物置だ。オレとジャック班は二階だった。近くの椅子を引き寄せて座ろうとしたら、背もたれに大きな亀裂が入っている。
「派手にやったなぁ」
被害はどのくらいだ? 唸るオレの前に、ジークムンドが駆け込んできた。無傷なのは流石だ。後ろに数人が包帯がわりの布を巻いて、ちらちらとこちらを窺っていた。
「ボス、これはっ、その」
「後ろのケガ人に、これ使って」
まずは絆創膏もどきを大量に積んだ。表に出ず自室にいるがケガをしてる連中がいれば、配るように命じておく。頭を下げて礼を言ったジークムンドを座らせた。
向かいの椅子に亀裂がないか確認して腰掛ける。ベルナルドは着席を拒否して、後ろに立った。まあ、好きにしたらいいよ。
「状況報告してくれる?」
説明でも言い訳でもなく、報告を求める。ひとつ息を吸い込んだあと、ジークムンドは口を開いた。
「ボスが出掛けてから数回、騎士による嫌がらせがあった。食料庫から調味料が消えたり、搬入予定のパンが差し止められる程度だ。だから無視した」
嫌がらせと判断する材料があったんだろう。頷いて先を促す。ぐしゃりと髪を乱したジークムンドは、迷惑をかけたことを詫びるように肩を落とした。熊のごとき巨体が、普段より小さく見える。
「確かに嫌がらせだな」
出かける前にきっちり手配したパンを止めただと? あとで犯人はお仕置きだ。オレが賛同したので、安心したのか。ジークムンドの表情が少し明るくなった。
「騎士団の若い奴が早朝訓練に乱入した。気づいたユハの報告で、俺が殴って追い出したんだが……」
不自然に語尾を濁す。この辺で一悶着あったか。
「仲間を連れて戻ってきた、だろ?」
大体やりそうなことの見当は付く。騎士団の宿舎とこっちの官舎の惨状を比べれば、およその状況が掴めてきた。トップが不在なのをいいことに、優遇されている(と騎士達が思い込んだ)傭兵へケンカを売った。
「……我が君、よろしければ騎士団の方はお任せいただきたく」
「待って。元将軍が出張ると、また揉める原因を作るからね。すべての被害報告をそのままシフェルに渡すのがいいと思うけど、どう?」
緊張した面持ちながら、ベルナルドは反対しなかった。つまりそういうことだ。シフェルの仕返しの方がハードって意味……オレも身に染みて知ってるからな。ジークムンドに被害を一覧にして書き出すよう命じ、オレは様子見している連中に声をかけた。
「それじゃ、手の空いてる奴は手伝ってくれ」
「何があった?」
難しい顔をして尋ねる元将軍ベルナルドに、手当てを終えた士官が敬礼する。明らかに胸元の勲章やら飾りが多い役職付きだった。
「はっ、傭兵どもが騎士団に難癖をつけ、攻撃して来ました」
「はい、アウト」
ぼそっと呟いたクソガキ様に怪訝そうな顔をした騎士だが、ベルナルドは頷いてオレの前に膝を突いた。
「元部下が申し訳ございません」
「ここにいても仕方ない。傭兵の官舎を見に行くよ」
踵を返した途端、何故か焦った声を上げる騎士がいた。先程の士官らしき男ではない。まだ若い男は、かなり派手に殴られていた。事情を知る中心人物かな。でもコイツらに話を聞く必要はなかった。
嫌な予感がする。それが当たっていたら、騎士を連れて行くのはやめよう。代わりに傭兵連中を連れて行く算段をしながら歩き出した。
近づく傭兵の官舎に変化はない。出かける前と同じに見えた。だが……入り口の扉が壊れている。蝶番部分が外から破壊され、内側に扉が押し込まれていた。外からの襲撃で間違いない。
玄関から中を覗くと、食堂兼リビングとして使っている広間がある。そこには数人の傭兵達が休んでいたが、慌てた様子でオレに駆け寄った。
「ジークムンドは? それと状況説明が欲しいんだけど」
「ジークは悪くねえ」
「そうだ! 連中が先に」
「……二度言わせる気か?」
むっとした顔で言い訳を遮る。多少魔力で威圧してやったら、青ざめて奥の部屋に駆け込んだ。あっちはジークムンド班の個室がある方か。逆側は浴室など水回りや物置だ。オレとジャック班は二階だった。近くの椅子を引き寄せて座ろうとしたら、背もたれに大きな亀裂が入っている。
「派手にやったなぁ」
被害はどのくらいだ? 唸るオレの前に、ジークムンドが駆け込んできた。無傷なのは流石だ。後ろに数人が包帯がわりの布を巻いて、ちらちらとこちらを窺っていた。
「ボス、これはっ、その」
「後ろのケガ人に、これ使って」
まずは絆創膏もどきを大量に積んだ。表に出ず自室にいるがケガをしてる連中がいれば、配るように命じておく。頭を下げて礼を言ったジークムンドを座らせた。
向かいの椅子に亀裂がないか確認して腰掛ける。ベルナルドは着席を拒否して、後ろに立った。まあ、好きにしたらいいよ。
「状況報告してくれる?」
説明でも言い訳でもなく、報告を求める。ひとつ息を吸い込んだあと、ジークムンドは口を開いた。
「ボスが出掛けてから数回、騎士による嫌がらせがあった。食料庫から調味料が消えたり、搬入予定のパンが差し止められる程度だ。だから無視した」
嫌がらせと判断する材料があったんだろう。頷いて先を促す。ぐしゃりと髪を乱したジークムンドは、迷惑をかけたことを詫びるように肩を落とした。熊のごとき巨体が、普段より小さく見える。
「確かに嫌がらせだな」
出かける前にきっちり手配したパンを止めただと? あとで犯人はお仕置きだ。オレが賛同したので、安心したのか。ジークムンドの表情が少し明るくなった。
「騎士団の若い奴が早朝訓練に乱入した。気づいたユハの報告で、俺が殴って追い出したんだが……」
不自然に語尾を濁す。この辺で一悶着あったか。
「仲間を連れて戻ってきた、だろ?」
大体やりそうなことの見当は付く。騎士団の宿舎とこっちの官舎の惨状を比べれば、およその状況が掴めてきた。トップが不在なのをいいことに、優遇されている(と騎士達が思い込んだ)傭兵へケンカを売った。
「……我が君、よろしければ騎士団の方はお任せいただきたく」
「待って。元将軍が出張ると、また揉める原因を作るからね。すべての被害報告をそのままシフェルに渡すのがいいと思うけど、どう?」
緊張した面持ちながら、ベルナルドは反対しなかった。つまりそういうことだ。シフェルの仕返しの方がハードって意味……オレも身に染みて知ってるからな。ジークムンドに被害を一覧にして書き出すよう命じ、オレは様子見している連中に声をかけた。
「それじゃ、手の空いてる奴は手伝ってくれ」
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