【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第34章 婚約まで走り抜けろ

291.作戦名がブーイングで却下(1)

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 屋敷を取り囲む兵の数を推し測りながら、ヒジリの到着を待つ。移動しちゃったけど、どうせオレの魔力を感知して飛んでくるだろう。

「ざっと数百人かな」

「キヨ、それって数えたうちに入るのか?」

 ライアンが眉を顰める。確かに、大雑把で範囲が広いのは認めよう。だが、うじゃうじゃと屋敷を取り囲む連中は、建物の陰に隠れていて把握しづらかった。周囲の街並みが迷路になっているせいで、ほとんどが見えなかった。魔力感知を反映する地図を広げたものの、ヒジリほど上手に魔力の投影ができず……お手上げなのだ。

 地図には、現在地周辺にびっしりと点が表示されていた。ほぼ埋め尽くされているので、数が把握できない。一言で表現するなら「たくさん」だ。

「纏めて潰す方法ないかなぁ」

「街を吹き飛ばしてもよければ、方法はあるぞ」

 皇帝陛下自ら、物騒な提案はしないように。しぃと口に人差し指を立てて、危険な発言を封じる。こういうのはオレの仕事だからね。

「顔の見えた奴から狙撃しようか」

「ライアン、その手は10人も倒したら使えない」

 誰も首を出さなくなるからな。なるほどと納得した彼はあっさり引き下がった。どうやら、言ってみただけらしい。

「兵糧攻めは無理か?」

「街の人が逃げる時に全部持って行ってくれてたらいいけど、この辺とか家畜置きっ放しなんだよ」

 お肉が食べれるうちは戦うだろ。そう指摘すると、ジャックが唸る。

「だいたい、オレ達の方が兵糧攻めされる立場だぞ」

「「なぜだ?」」

「一般論だよ。オレみたいなチートがいなきゃ、転移で逃げるなんて方法も使えないんだから」

 普通は身動き取れず、連絡が出来なければ……あ、連絡忘れてた。耳元の赤いピアスを弄って回線を繋ぐ。理屈はよくわからんが、相手が指定された携帯電話のような感じだろう。

「レイル、聞こえる?」

 ――何処にいる?

「東の国、レイルのところの若いのと獣人を全部回収して、アーサー爺さんの屋敷に匿ってる」

 ――助かった。救出案を練ってた。まだ兵がいるのに、どうやって連れ出した。

「ブラウが畳に乗せて運んだ。あいつ、風魔法が得意じゃん」

 足元で腹を炙りながら日向ぼっこする青猫を見ながら説明する。尻尾が左右に揺れた。

 ――何が必要だ?

 こういうとこ、打てば響く関係だな。さすがはレイル、連絡したタイミングでオレが欲しい物に気づいたようだ。

「東の国の叛乱首謀者の位置と顔」

 ――わかった

 そこで連絡が途絶えた。届ける方法はわからんが、こっちはこっちで動くとしますか。レイルがすぐ答えなかったんだから、外の集団の中に首謀者はいないと確定していいだろう。

「セイ、私も手伝う」

「もちろん、リアムも手伝ってもらうぞ。子どもや獣人で手の空いてる人も使おう」

 取り出したメモ用紙に図を描いて、材料となる火薬を取り出す。危険性はないが、近くで煙草吸う奴は排除しろと言い聞かせた。引火しなければ、この火薬は爆発しない。通常の圧縮くらいなら耐えるはずだった。花火の火薬よりさらに混ぜ物が多いんだよ。純度が低過ぎて、直接火をつけないと爆発しない辺り……ヴィリの爆弾とは雲泥の差だった。

「爆魔ヴィリの爆弾じゃないのか?」

 恐る恐るサシャが確認すると、子どもの中で数人が肩を震わせた。あの辺は情報通のようだ。

「そんな危ないもの、リアムに渡すわけないだろ。そっちはオレが直接投げる!」

「街の被害はなんとかしましょう。暴れてくださって結構ですぞ」

 元宰相閣下で、現在の暫定領主から許可が出た。手早く作戦を伝え、オレは立ち上がる。リアムが子ども達と一緒になって火薬を分け始めた。獣人達が調合を担当し、屋敷に逃げていた住民がカップに詰めて紙で蓋をする。簡易爆弾の完成だ。

「よし、作戦名は――兎のうんこ絨毯爆撃だ!」

 一斉にブイーイングが出て、名称変更を余儀なくされた。いったい、何がいけなかったんだ?
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