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第34章 婚約まで走り抜けろ
309.権力は人のために振るう(1)
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オレ達はここで退場となるが、この後も場所を移して様々な叙勲や任命式が続いた。そのリストを眺めながら、リアとお茶を楽しむ。ちなみに、オレと一緒に行くと主張した北の王家御一行様だが、当然ながら外交は仕事だとレイルに説教されて項垂れていた。夕食を一緒に食ってやるから泣くな。
「この薔薇の庭も久しぶり」
「本当だ。セイがいつも出歩いているから、私一人だった」
ぷくっと頬を膨らますリアに、苦笑いして謝る。両手を合わせる所作で表情を和らげた彼女は、冗談だと許してくれた。実際は事実だし、寂しかったと思う。シフェルやウルスラがいたから、心細さはなかったかも知れないけど。
『なぜ、僕に絡むのぉ』
ずるずると足を掴まれて引き摺られるブラウ。相変わらず薔薇の蔓に絡まれている。ヒジリは近づく蔓を叩き落とし、さっさと影に潜り込んだコウコは被害を免れた。だが、不思議なことにマロンは絡まれず、不思議そうに首を傾げている。抱っこしたスノーが無事なのは、マロンのおかげか?
ちなみに、オレはぱちんと結界で弾いて引っ込めさせる作戦を取った。やっぱり絡まれるんだよ。理由は分からないが、久しぶりに見かけたトカゲもどきのドラゴンも蔓を引き千切って移動するので、異世界人という括りは関係ないらしい。
「行いが悪いんじゃね?」
自分を棚に上げて笑い、セバスさんと並ぶじいやも無事なことに気づいた。なぜだ、理由がわからん。そういや、リアも襲われないんだよな。
「リア、この薔薇が襲う人と襲わない人の違いって、知ってる?」
「考えたこともない」
体質のようなものだと思って、気にしてこなかった。きょとんとした様子に、逆に納得した。あれか、蚊に食われやすい人と食われにくい人の違い。同じ場所にいても食われない人もいるもんな。
「ジャック達、今頃あたふたしてるのかな」
指でリストをなぞる。ジークムンドは南の国を改名して初代国王に決まった。というのも、聖獣のお達しなので問答無用だ。貴族が騒ごうと、国全体が消滅する可能性に比べたら、何てことない。傭兵達の大半もついていくことになり、南の国はしばらく大忙しだった。ここはジークに諦めてもらおう。
ジャックはオレの護衛隊長を蹴り、代わりにノアが就任する。ジャックは東の国から宰相の跡取りとして引き渡し要求が来てるんだが……この国で護衛隊長になった方が良かったんじゃね?
「ジャックはどうするんだろ」
せっかく4人でいいチームなのに、バランスが崩れる。それにジャックと離れるのも寂しい。頬杖を突いてそう呟くオレの頬を、リアがぷすっと押した。
「何をおかしなことを言っている? ジャックはセイのために護衛隊長を辞退したのに」
首を傾げたオレに、リアは淡々と説明し始めた。ジャックがもし中央の国の軍人となって皇族の護衛につくと、命令に従う義務を負う。それは命令があったら断れないという意味だった。東の国の要請に応じて、一軍人を派遣することも可能になるのだ。それを防ぐため、わざと契約した傭兵の地位に留まった。
正直、そんな複雑なこと考えてなかった。宰相として跡取り教育をされたからこそ、ジャックは気づいたのだろう。リアやオレの専属護衛であっても、他国の王族から要請があれば無視は出来ない。一時的な貸し出しか、事実上の返却か。ジャックはどちらも選ばず、オレや仲間の近くにいる方法を選んだ。
「……ありがとう、わかった。つまり、あれだな。ジャックの給料は3倍に引き上げておく。あと契約書も自動更新にして契約が切れないよう注意しなくちゃ」
最低限やることが見えた。オレは仲間を守らないといけない。この世界に来たばかりで右も左も分からなかったガキに、命や金を預けてくれた彼らに報いる方法はそのくらいだ。手にした権力だって、自分じゃない人のために使うのが当たり前だよな。誰かに押し上げてもらったんだから。
じいやに契約書類作成をお願いすると、再びリストに目を向ける。ライアンとサシャはノアの部下で落ち着いた。個人契約でジャックも足したら完璧だな。
「この薔薇の庭も久しぶり」
「本当だ。セイがいつも出歩いているから、私一人だった」
ぷくっと頬を膨らますリアに、苦笑いして謝る。両手を合わせる所作で表情を和らげた彼女は、冗談だと許してくれた。実際は事実だし、寂しかったと思う。シフェルやウルスラがいたから、心細さはなかったかも知れないけど。
『なぜ、僕に絡むのぉ』
ずるずると足を掴まれて引き摺られるブラウ。相変わらず薔薇の蔓に絡まれている。ヒジリは近づく蔓を叩き落とし、さっさと影に潜り込んだコウコは被害を免れた。だが、不思議なことにマロンは絡まれず、不思議そうに首を傾げている。抱っこしたスノーが無事なのは、マロンのおかげか?
ちなみに、オレはぱちんと結界で弾いて引っ込めさせる作戦を取った。やっぱり絡まれるんだよ。理由は分からないが、久しぶりに見かけたトカゲもどきのドラゴンも蔓を引き千切って移動するので、異世界人という括りは関係ないらしい。
「行いが悪いんじゃね?」
自分を棚に上げて笑い、セバスさんと並ぶじいやも無事なことに気づいた。なぜだ、理由がわからん。そういや、リアも襲われないんだよな。
「リア、この薔薇が襲う人と襲わない人の違いって、知ってる?」
「考えたこともない」
体質のようなものだと思って、気にしてこなかった。きょとんとした様子に、逆に納得した。あれか、蚊に食われやすい人と食われにくい人の違い。同じ場所にいても食われない人もいるもんな。
「ジャック達、今頃あたふたしてるのかな」
指でリストをなぞる。ジークムンドは南の国を改名して初代国王に決まった。というのも、聖獣のお達しなので問答無用だ。貴族が騒ごうと、国全体が消滅する可能性に比べたら、何てことない。傭兵達の大半もついていくことになり、南の国はしばらく大忙しだった。ここはジークに諦めてもらおう。
ジャックはオレの護衛隊長を蹴り、代わりにノアが就任する。ジャックは東の国から宰相の跡取りとして引き渡し要求が来てるんだが……この国で護衛隊長になった方が良かったんじゃね?
「ジャックはどうするんだろ」
せっかく4人でいいチームなのに、バランスが崩れる。それにジャックと離れるのも寂しい。頬杖を突いてそう呟くオレの頬を、リアがぷすっと押した。
「何をおかしなことを言っている? ジャックはセイのために護衛隊長を辞退したのに」
首を傾げたオレに、リアは淡々と説明し始めた。ジャックがもし中央の国の軍人となって皇族の護衛につくと、命令に従う義務を負う。それは命令があったら断れないという意味だった。東の国の要請に応じて、一軍人を派遣することも可能になるのだ。それを防ぐため、わざと契約した傭兵の地位に留まった。
正直、そんな複雑なこと考えてなかった。宰相として跡取り教育をされたからこそ、ジャックは気づいたのだろう。リアやオレの専属護衛であっても、他国の王族から要請があれば無視は出来ない。一時的な貸し出しか、事実上の返却か。ジャックはどちらも選ばず、オレや仲間の近くにいる方法を選んだ。
「……ありがとう、わかった。つまり、あれだな。ジャックの給料は3倍に引き上げておく。あと契約書も自動更新にして契約が切れないよう注意しなくちゃ」
最低限やることが見えた。オレは仲間を守らないといけない。この世界に来たばかりで右も左も分からなかったガキに、命や金を預けてくれた彼らに報いる方法はそのくらいだ。手にした権力だって、自分じゃない人のために使うのが当たり前だよな。誰かに押し上げてもらったんだから。
じいやに契約書類作成をお願いすると、再びリストに目を向ける。ライアンとサシャはノアの部下で落ち着いた。個人契約でジャックも足したら完璧だな。
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