【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第35章 ざまぁは熱いうちに打て

324.薄くてお得なおろし金(1)

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 笑い過ぎて腹が割れそうだぞ。顔を真っ赤にして怒るプリンシラ侯爵もどきは、反論できないらしい。証人として従業員を呼ぶまでもなく、パパの木槌が振り下ろされた。もちろん有罪だ。

 彼に関しては、すりおろしの刑にしてもらった。おろし金を作っても、ハーレム侯爵だけで終わりなのは勿体無い。それに両親が殺された子にとって、1秒でも長く苦しんで死んでもらいたいと思うわけ。出来たら「死にたくない」とか「もう殺してくれ」なんて叫んでくれたら上出来だ。

 バーコードのおっさんの爵位は剥奪ではなく、返還となった。正当な持ち主である少年とその妹に権利が戻る。精神的に叩きのめされたおっさんの自白により、妹は政略結婚に使うため閉じ込めたと判明した。ロリコン被害に遭ってなくて良かったと安堵する。

 囚われのお姫様ならぬ妹の救出は、レイルの号令ひとつだった。彼の組織は大きいし、人員も豊富だから問題ないだろう。急拵えの裁判所を維持してた人が数人駆け出していく。相変わらず、すごい男だよな。

「良かったな、プリンシラ侯爵閣下だ。妹ももうすぐ帰ってくる。両親の仇は、文字通りすり減るまで酷使して処刑するから安心して」

「ありがとう、ございます」

 涙ぐんで鼻を啜る少年は、今後立派な貴族になるだろう。妹を守りながら、この北の国の数少なくなった貴族として頑張ってほしい。

 ちらっと視線を向けた先で、赤毛の従兄弟はにやりと笑った。めちゃくちゃ色男じゃないんだけど、サマになる。ぐっと親指を出して挨拶したところへ、ブラウが近づいてきた。

『主、おろし金作ろう。あの拷問、僕も見てみたい』

 キラキラした目で無邪気にお強請りする青猫は、おろし金でハーレム侯爵のヤリチンをやっつけたいらしい。さっき運ばれた玉鋼だけど、あれって剣かなんか打つ予定じゃなかった? 使った後で溶かして玉鋼に戻るのかな。

 ヤリチンを削ったおろし金で、剣を作っても価値が半減しそうだ。唸りながら、ハオの膝から降りる。後ろで呼び止める彼の声を無視し、玉鋼に手をかざした。

「こうやったら、複製できないかな?」

『対価が必要なやつ? なんとかの扉から黒い手が出てきて、体とか奪われるぅ』

「それは等価交換だけど、交換じゃなくて増やすだけ」

 そんなズルい魔法があるだろうか。思い出せないが、ファンタジー映画だとぽんぽん増殖する映像を見た気がする。手を翳して命じてみるが増えない。やっぱり無理か。分裂して膨らむ感じの方が……。

 ぱかっと割れた。手の下で割れた玉鋼がすごい勢いでオレの魔力を吸収していく。流れが目に見えそうで、慌ててストップのイメージを作る。停止線を思い浮かべて、そこから先を切り捨てた。結界で防ぐ感じかな。

 吸い出される魔力は止まったが、すごい倦怠感。怠くて動きたくない。

『主の魔法って、原理がおかしいよねぇ』

『さすがは主殿だ、魔力を物体に変化させるとは!』

 驚きの声をあげるヒジリに促されて顔をあげたら、玉鋼が中途半端に成長させられていた。ブラウの言葉通り原理は不明だが、割れた玉鋼は魔力を対価に大きくなった。途中で魔力を遮断したので、当初の7割の大きさが2つ並ぶ。当社比、1.5倍だろうか。

 よくわからないが、片方をおろし金にすればいい。あまり深く考えても無駄だ。この世界の原則や原理も知らない上、オレは本来使えない魔力を自由発想で振り回してるんだから。理屈なんて後から付けてもらおう、偉い人に。

「おい、キヨ。ハールス元侯爵断罪用のおろし金? とやらは出来たのか」
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