【完結】魔法は使えるけど、話が違うんじゃね!?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第35章 ざまぁは熱いうちに打て

344.生き残るための戦略かな(1)

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 連れ帰った新兵の登録を済ませる。この辺の事務作業はじいやの得意技だった。名前や年齢を順番に聞き取り、表にまとめて提出書類を作る。オレにも出来るだろうが、手際の良さが大違いだった。

「さすがじいや。今夜は何食べたい?」

 今日はリアが一緒に夕食を取れない。基本的に皇帝陛下だから、政治的な意味合いの会食や打ち合わせも多いのだ。他国や上位貴族との会食なら、オレも参加できるけどね。正式な婚約者になったし、皇族の一員だから。今回は打ち合わせで、相手もシフェルやヴィヴィアンだった。オレは聞かない方がいいと思ったんだ。

 孤児院の視察時間が長引く可能性もあったし……ち、違うぞ。別に呼ばれなかったとかじゃないからな! うん、自分で言い訳して納得し、じいやのリクエストを待つ。日本人同士って、こういう時いいよね。知ってる料理名が出たら嬉しい。

「以前食べた黒酢炒めが、肉も柔らかく美味しかったです」

 にっこり笑うじいやに、任せろと胸を叩く。腕まくりして、厨房に入った。ここで新人が大量に手伝いに現れる。そこそこ広い厨房のはずなんだが、狭く感じた。数えると16人も来てる。

「人数多すぎるけど、基準は何?」

「「「今日負けた人です」」」

 びしっと敬礼するのはやめるように伝えた。毎回面倒だし、そんな立派な組織じゃない。現時点でオレと傭兵4人の少数部隊だ。まあ、全員二つ名持ちだったりするけど。

「この場で半数に減らす」

 さっと拳を握るの、やめいっ! 殴り合わずにジャンケンを教えて決めさせた。後でじいやに頼んで当番表を作ってもらおう。毎回ジャンケンはダメだ。偏るからな。負ける奴はいつも負けるんだよ。

 あっという間に半分になった。平和的な解決を終えた残りメンバーに、野菜と肉のカットを頼む。調味料はオレの収納の中だ。基本的にいつ野営になってもいいように、全部持ち歩くんだ。前に西の国に拉致られて遭難した経験から、ありとあらゆる財産を持ち歩くヤドカリのようになってしまった。一種のトラウマかも知れない。

 カットした肉を受け取り、ビニール袋魔法に黒酢を注いで揉み込む。真剣な顔で手順をメモしていた青年が、あんぐりと口を開いた。非常識魔法だからメモしても役に立たないぞ。

「そこは、ボールや鍋の中で黒酢をかけて揉むでいいと思う」

 しょげた彼が気の毒で、助言してしまった。大喜びでメモしている。ノアが後ろから数人を指さした。

「今の3人は筋がいいぞ」

 料理の? それとも戦いの? まあ班に分けて預ける予定だから、うまく采配してくれ。頷いてそう返すと、笑い出した。

「命を預ける部下に命を握らせる気か?」

「うん、どうせオレを殺せる奴はいないし。ノアが相手でも油断しないよ?」

 そこはおかんでも同じだ。ジャックやライアン、サシャも。オレはね、異世界ラノベは嫌というほど読んだ。教訓になることがひとつ、誰でも自分以外は裏切るってこと。この考えはレイルやジャック班の皆も同様だろう。勇者が魔王を倒したら、脅威とみなされて殺される話も知ってる。オレなんて、まさにそのポジションだった。

 竜殺しの英雄として華々しく現れ、王族や皇族を味方につけて地位を上げた。最後に落とされるとしたら、身内による裏切りだと思う。リアを守っていく上で、いくら用心しても足りない。聖獣は裏切れないし、リアが裏切るなら……大人しく死ぬつもりだった。

 だから彼らには隙を見せない。それがお互いに友好関係を貫く鍵だろ?
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