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第35章 ざまぁは熱いうちに打て
346.異世界知識はそのまま使えない(2)
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「結婚しない者の老後はどうするんですか」
それって遠回しだけど、孤児出身の傭兵のことかな。彼らは結婚できないことが多いと聞く。ひとつところに落ち着く概念がないし、戦場で散ることも少なくないと聞いていた。
「ウルスラがそんな心配してくれると嬉しいな。オレは退職金を考えてた」
「「タイショクキン?」」
「仕事を辞める時に、まとめて渡す臨時金だ。それを貯蓄して切り崩しながら生活できるだろ? 貯蓄が難しいなら、分割払いでもいいし」
なぜか変な顔をされた。ウルスラがじっくり考えてから、心底不思議そうに口を開いた。
「仕事をしなくなった後も給与を払うのですか」
「あ、なるほど。給与と考えるからおかしいんだな。長く勤めたらご苦労賃を払う。すぐ辞めたら払わない。給与の上を少しカットして纏めて受け取る制度だよ」
ちょっと違う気もするが、大まかに合ってればいい。この世界で受け入れやすい形なら問題ないさ。この説明なら彼らも納得した。給与を薄くカットして保管し、溜まった分を辞めるときに本人に渡す。騎士団でも取り入れられないか、検討することになった。
年金問題とか、難しすぎてオレは説明できる気がしない。そちらに話を振られたら、じいやに丸投げするつもりだったので助かった。
思ったより話が長くなり、時間は中途半端に遅い。もっと遅ければ諦めて帰るが、まだ顔くらい見れるかも。そう考え、挨拶して帰ろうと決めた。リアの部屋の手前で、セバスさんと鉢合わせする。
「陛下がお待ちです」
「ありがとう、挨拶したら帰るよ」
未婚女性だし、変な噂が立たないように注意するから。そう伝えるとセバスさんは笑って頷いた。部屋の中に侍女がいるので、扉を開けて手前で挨拶すればいいだろう。護衛の騎士に取り次ぎを頼み、待つこと数十秒。
「セイ!」
勢いよく飛びついたリアを受け止める。こういう時、鍛えておいて良かったと思う。魔法は万能だが常に展開してるわけじゃない。基礎体力がないと辛いよな。筋力も絶対に必須だ。これからも鍛えることを心に誓いながら、リアの黒髪を撫でた。
「どうしたの? 何かあった」
「叔父上をどうした?」
「まだ生きてるよ」
というか、死ねなくしちゃったけど、何か懸念事項でも?
「安心した、これで寝られる」
ん? リアは殺すの反対派なのか? 顔に疑問が浮かんだらしく、くすくす笑うリアが手招きした。護衛に聞かせる話でもないので、素直に中に入る。
「結界張っとくよ」
侍女ごと結界に包む。遮音結界だが、のそりと足元からコウコが出てきた。口元に黒酢ついてるぞ。指で突いて知らせると、ぺろりと長い舌が舐めとった。やっぱ、先端は二つに割れてるのか。
「殺すのは自分の手でやりたい。お母様やお父様の件にも絡んでいた可能性があって……だから、兄の分だけじゃなくて仇を討ちたいの」
きゅっと唇を噛み締めて泣きそうな顔をする。そんな顔で手を汚す決意をするなよ。頬を撫でたら、擦り寄ってきた。美人なのに可愛すぎる。
「こんな私は嫌いか?」
「普通だと思うぞ。オレだって同じこと考えるだろうし。それなら秘密ついでに教えちゃうけど、聖獣の咎人にしてもらった」
「っ、あの……咎人か?」
死ねない呪いを、流石に彼女も知っていた。複雑な感情が彼女の顔を過り、最後に口元を緩めて笑った。
「あの人には当然の罰だよね」
自分に言い聞かせる響きに、明るい声で言い放った。罪の意識をリアが持たないように。全部こっちのせいにすればいい。
「この国の聖獣ヒジリが直々に提案してきたんだ。彼も腹に据えかねてたんだろうさ」
それって遠回しだけど、孤児出身の傭兵のことかな。彼らは結婚できないことが多いと聞く。ひとつところに落ち着く概念がないし、戦場で散ることも少なくないと聞いていた。
「ウルスラがそんな心配してくれると嬉しいな。オレは退職金を考えてた」
「「タイショクキン?」」
「仕事を辞める時に、まとめて渡す臨時金だ。それを貯蓄して切り崩しながら生活できるだろ? 貯蓄が難しいなら、分割払いでもいいし」
なぜか変な顔をされた。ウルスラがじっくり考えてから、心底不思議そうに口を開いた。
「仕事をしなくなった後も給与を払うのですか」
「あ、なるほど。給与と考えるからおかしいんだな。長く勤めたらご苦労賃を払う。すぐ辞めたら払わない。給与の上を少しカットして纏めて受け取る制度だよ」
ちょっと違う気もするが、大まかに合ってればいい。この世界で受け入れやすい形なら問題ないさ。この説明なら彼らも納得した。給与を薄くカットして保管し、溜まった分を辞めるときに本人に渡す。騎士団でも取り入れられないか、検討することになった。
年金問題とか、難しすぎてオレは説明できる気がしない。そちらに話を振られたら、じいやに丸投げするつもりだったので助かった。
思ったより話が長くなり、時間は中途半端に遅い。もっと遅ければ諦めて帰るが、まだ顔くらい見れるかも。そう考え、挨拶して帰ろうと決めた。リアの部屋の手前で、セバスさんと鉢合わせする。
「陛下がお待ちです」
「ありがとう、挨拶したら帰るよ」
未婚女性だし、変な噂が立たないように注意するから。そう伝えるとセバスさんは笑って頷いた。部屋の中に侍女がいるので、扉を開けて手前で挨拶すればいいだろう。護衛の騎士に取り次ぎを頼み、待つこと数十秒。
「セイ!」
勢いよく飛びついたリアを受け止める。こういう時、鍛えておいて良かったと思う。魔法は万能だが常に展開してるわけじゃない。基礎体力がないと辛いよな。筋力も絶対に必須だ。これからも鍛えることを心に誓いながら、リアの黒髪を撫でた。
「どうしたの? 何かあった」
「叔父上をどうした?」
「まだ生きてるよ」
というか、死ねなくしちゃったけど、何か懸念事項でも?
「安心した、これで寝られる」
ん? リアは殺すの反対派なのか? 顔に疑問が浮かんだらしく、くすくす笑うリアが手招きした。護衛に聞かせる話でもないので、素直に中に入る。
「結界張っとくよ」
侍女ごと結界に包む。遮音結界だが、のそりと足元からコウコが出てきた。口元に黒酢ついてるぞ。指で突いて知らせると、ぺろりと長い舌が舐めとった。やっぱ、先端は二つに割れてるのか。
「殺すのは自分の手でやりたい。お母様やお父様の件にも絡んでいた可能性があって……だから、兄の分だけじゃなくて仇を討ちたいの」
きゅっと唇を噛み締めて泣きそうな顔をする。そんな顔で手を汚す決意をするなよ。頬を撫でたら、擦り寄ってきた。美人なのに可愛すぎる。
「こんな私は嫌いか?」
「普通だと思うぞ。オレだって同じこと考えるだろうし。それなら秘密ついでに教えちゃうけど、聖獣の咎人にしてもらった」
「っ、あの……咎人か?」
死ねない呪いを、流石に彼女も知っていた。複雑な感情が彼女の顔を過り、最後に口元を緩めて笑った。
「あの人には当然の罰だよね」
自分に言い聞かせる響きに、明るい声で言い放った。罪の意識をリアが持たないように。全部こっちのせいにすればいい。
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