【完結】宮廷占い師は常に狙われています! ~魔の手から逃げきってみせますよ~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

文字の大きさ
77 / 100

77.激しくて熱くて恥ずかしくて幸せ

しおりを挟む
 ラッピング代わりのランジェリーは一瞬で解かれ、中身は美味しく頂かれた。想像もしなかった夫婦の営みは……激しく、恥ずかしく、熱く、どこまでも幸せだ。

「汗を拭っておこうか」

「……あ……」

 声が出なくて「はい」の返事すら頷くだけ。まだ夜明け前なのに、すでに降参状態だった。起き上がって「私がやります」と言うはずが、まったく動けず指先がかろうじて震える程度。全身が重くて、自分の体重が三倍に増えた感じだった。

 掠れた声を絞り出そうと努力するも、無理で。口移しでぬるいシャンパンを飲ませてもらった。もう炭酸も抜けているけれど、ほんのり甘くて美味しい。手際よく私の体を拭ったルーカス様は、自分もさっと汗を拭き取った。

 均整のとれた体は、意外としっかりしている。素っ裸の彼をみて頬を染める余裕もなかった。そっか、男の人のアレってあんなふうになるのね。凝視してしまい、慌てて目を逸らす。

「足りなかったか?」

 勢いよく左右に首を振った。首が変な音を立てる。痛い。涙目で唸る私を抱きしめ、ルーカス様はシーツの上に潜り込んだ。首に触れる手が心地よくて、目を閉じる。すりりと頬を寄せた。

「愛している、リンネア」

「あ……ぉ」

 私も――声にならなかったが、ルーカス様は嬉しそうに笑う。綺麗な顔、でも腹黒くて策略が得意で、私はその策にハマったらしい。もし彼の性格を先に知っていても、また罠にハマるんだろうな。自ら飛び込んじゃうかも。

 騎士ほどでなくとも鍛えた体は、がっちりと硬かった。その腕に閉じ込められ、観念する。逃げられない……逃げようと思えない。だから私が死んでも離さないでくださいね。

 額や頬に触れるだけのキスを受けながら、私は疲れた体から力を抜いた。眠りは優しく訪れず、いきなり殴るように意識を奪う。おやすみなさいを、言い損ねてしまったわ。





 目を覚ました部屋は暗く、まだ夜が明けていないのかと思う。喉はまだ辛いが、動くことは出来そう。ルーカス様の腕の中でもぞもぞと身を捩れば、ぎゅっと強く抱き込まれた。

「っ! ぅ!!」

 ルーカス様! 何をするんですかと叫ぶ声は、すーすーと空気が漏れるだけ。声にならなかった。暴れる私が落ち着くと、腕も緩む。あれ? 大人しくしていたら良かったのかも。じっと見上げる先に、寝起きとは思えない美人が微笑んでいた。

「おはよう、リンネア。昨夜はとても素敵だったよ」

 言われて思い出し、ぼっと顔が赤くなる。たぶん、全身が同じように赤いだろう。ルーカス様の胸にしがみ付く形で寝たらしく、背中に回した腕に閉じ込められていた。その腕から身を起こす。と……上掛けが落ちて肌が露わになった。

 病気を疑うほど、肌に赤い痕が散っている。シーツを掴んでくるりと丸まろうとし、全身に走った痛みに動きを止めた。筋肉痛のすごく激しいやつが、全身を蝕んでる。ぐらりと倒れた私を、ルーカス様は造作なく受け止めた。

「無理に動いてはいけない。今日は誰も起こしに来ないから、安心していい」

 横たえられた私は首を傾げた。立ち上がったルーカス様がカーテンを少し引くと、眩しい光が差し込む。

「新婚の場合、このカーテンを全開にするのが起きた合図だ。それまで誰も邪魔しないさ」

 つまり、カーテンが全開になるまで、誰も助けに来ない……で合ってる? 顔を引き攣らせた私に、戻ってきたルーカス様が顔を寄せる。唇を重ねて、ぺろりと舐められた。

「理解したようだね。では、昨夜の続きを」

 ひっ! 天国行って帰って来られなくなるから! もう勘弁して。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

処理中です...