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10.いきなりの謝罪に困惑しました
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身を起こせるようになった私は、思わぬ状況に目を瞬いた。まだベッドから降りられない私の前に、国王陛下がおられます。床に下りて礼を取ろうとしたのに、王妃様に止められてしまった。だから私の視線より低い位置に国王陛下がいる……こんなことってあるのかしら。
柔らかな絨毯が敷かれた客間の床に、国王陛下が座っていた。私はベッドで出来るだけ身を伏せようとするのに、王妃様が「体に悪いわ」とクッションで姿勢を直してくれます。王妃様の夫であり、この国の頂点に立つ方が静かに頭を下げた。くらりと眩暈がする。
「だから言ったでしょう? まだ体調が落ち着いていないのよ」
熱があるのに遊びたいとベッドを抜け出す子を叱るように、柔らかいがしっかり釘を刺す王妃様に首を横に振りました。違うのです、これは国王陛下が私などに頭を下げたから。だから混乱しているのです。そう告げようとする喉は強張って、声が出なかった。どうしましょう。
「まことに申し訳なかった。我が息子ヴァレンテの不貞も、その後の婚約破棄に繋がる振る舞いも、すべてこの私の責任だ。ヴァレンテは王位継承権だけでなく、王族の地位も剥奪して放逐した。許してくれ」
全面降伏に似た謝罪に、私は困惑していた。熱を出している間に何があったのか、まったく分からない。国王陛下が公爵令嬢に頭を下げる事態など、通常はないのだから。きっと大変なことが……まさか、お父様やお母様が?
振り返った先で、王妃様は穏やかな笑み浮かべていた。
「何か、起こったのですか?」
「大したことではないの。今回の騒動の罰としてヴァレンテが平民になり、モドローネ男爵家が没落しただけよ。判断が遅かった夫の謝罪を、受け入れてくれると嬉しいわ」
「は、はい。私は構いません」
婚約破棄はショックだったし、心が痛んだ。これから寄り添って夫として支える人だと思っていたから、裏切られたと感じたのは事実だ。今までの努力が無になり、王妃様や両親を悲しませると思ったら、辛くなった。でもそれだけなのだ。
倒れたけれど、私は疲れていただけかも知れない。それなのに、国王陛下が謝罪する事態に発展したことに、逆に申し訳なさが募った。
「もうすぐ城にシモーニ公爵もおいでになるわ。久しぶりですもの、親子水入らずでゆっくり過ごせるように手配しましょうね」
何でしょうか。不思議な感じです。王妃様の笑顔に何か隠されている気がして、じっと見つめてしまいました。不躾なことは承知しておりますが、知りたいのです。
「……誤魔化そうなんて狡いわよね。分かってるわ。こんな馬鹿な王でも、私の夫なの。命は助けてあげて欲しいわ」
「もしかして、伯父様が?」
脳裏に浮かんだのは、分家を束ねる伯父の顔でした。あの方は武術に長けておられるから、すぐに戦いで解決しようとなさる。とてもいい方なのに、そのせいで誤解されることも多くて。また王宮内で剣を抜いたのでしょうか。
過去のあれこれを思い出しながら、私は出来るだけ優しく聞こえるよう言葉を選びました。
「国王陛下、私はあなた様を許しております。ですから立ち上がってお顔を見せてくださいませ」
柔らかな絨毯が敷かれた客間の床に、国王陛下が座っていた。私はベッドで出来るだけ身を伏せようとするのに、王妃様が「体に悪いわ」とクッションで姿勢を直してくれます。王妃様の夫であり、この国の頂点に立つ方が静かに頭を下げた。くらりと眩暈がする。
「だから言ったでしょう? まだ体調が落ち着いていないのよ」
熱があるのに遊びたいとベッドを抜け出す子を叱るように、柔らかいがしっかり釘を刺す王妃様に首を横に振りました。違うのです、これは国王陛下が私などに頭を下げたから。だから混乱しているのです。そう告げようとする喉は強張って、声が出なかった。どうしましょう。
「まことに申し訳なかった。我が息子ヴァレンテの不貞も、その後の婚約破棄に繋がる振る舞いも、すべてこの私の責任だ。ヴァレンテは王位継承権だけでなく、王族の地位も剥奪して放逐した。許してくれ」
全面降伏に似た謝罪に、私は困惑していた。熱を出している間に何があったのか、まったく分からない。国王陛下が公爵令嬢に頭を下げる事態など、通常はないのだから。きっと大変なことが……まさか、お父様やお母様が?
振り返った先で、王妃様は穏やかな笑み浮かべていた。
「何か、起こったのですか?」
「大したことではないの。今回の騒動の罰としてヴァレンテが平民になり、モドローネ男爵家が没落しただけよ。判断が遅かった夫の謝罪を、受け入れてくれると嬉しいわ」
「は、はい。私は構いません」
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倒れたけれど、私は疲れていただけかも知れない。それなのに、国王陛下が謝罪する事態に発展したことに、逆に申し訳なさが募った。
「もうすぐ城にシモーニ公爵もおいでになるわ。久しぶりですもの、親子水入らずでゆっくり過ごせるように手配しましょうね」
何でしょうか。不思議な感じです。王妃様の笑顔に何か隠されている気がして、じっと見つめてしまいました。不躾なことは承知しておりますが、知りたいのです。
「……誤魔化そうなんて狡いわよね。分かってるわ。こんな馬鹿な王でも、私の夫なの。命は助けてあげて欲しいわ」
「もしかして、伯父様が?」
脳裏に浮かんだのは、分家を束ねる伯父の顔でした。あの方は武術に長けておられるから、すぐに戦いで解決しようとなさる。とてもいい方なのに、そのせいで誤解されることも多くて。また王宮内で剣を抜いたのでしょうか。
過去のあれこれを思い出しながら、私は出来るだけ優しく聞こえるよう言葉を選びました。
「国王陛下、私はあなた様を許しております。ですから立ち上がってお顔を見せてくださいませ」
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