【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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60.それはお披露目のための色

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 用意されたドレスは、とても綺麗な白でした。絹の光沢が目を引くドレスは、社交界お披露目の令嬢と同じ白。ですが僅かに青く光る生地です。高級感がありますね。

「白、ですか?」

 この国で白を纏うのは、社交界でお披露目されるご令嬢のみ。お葬式は紺色、結婚式は銀と決まっています。そのため、白、銀、紺は滅多に身につけない色のドレスでした。ワンピースなどの普段着は別にして、正式な社交の場にそれらの色を選ぶ人はいません。

 私はすでにお披露目を終えていますので、今後は白いドレスに袖を通すことはなかったでしょう。

「ええ、そうよ。この国が新しく始まるお披露目には、この白がふさわしいと思わない?」

 お母様がそう言って笑います。一緒に仮縫いを終えた衣装の調整をするため、白いドレスを着たお母様を初めて見ました。お母様はマーメイドラインで、腰のくびれや豊かな胸を強調します。ベアトップで、肩に紐がないため、ショールを掛けるそうです。

 私はプリンセスラインです。ぐるりと周囲に広がったスカートが華やかで、未婚女性らしいからと選んでくださったとか。お母様のロング丈と違い、足首までの丈で靴が見えるドレスでした。網紐のつま先が開いた靴を合わせると聞きました。襟元がレースできっちり隠されているので、派手な首飾りは不要ですね。

 お飾りはパートナーの色を入れる予定でしたが、金剛石に統一されました。ティアラから耳飾りまで、金の細工が美しい一式が並べられます。ですが、遠くからパレードを見る民は、誰が誰なのか区別がつかないのでは?

「こちらをどうぞ」

 サッシュと呼ばれる太くて長い帯を肩から腰へ斜めに掛けました。この色が違うのですね。お母様は赤、お父様も赤になさるそうです。私とカスト様が青、ダヴィードは緑でした。この色で区別をつけるのなら、ドレスをカラーにしても同じだと思います。

 お母様に疑問をぶつけると、微調整の終わったドレスを着替えながら答えてくださいました。

「これは決意表明なの。以前のように不正を犯す王家ではなく、透明性がある政を行う約束の証よ。新しい王族は潔白であると示すの」

「わかりました」

 そういった意味があるのですね。貴族院からの提案だそうです。それでドレスは白が選ばれたのでしょう。潔白であり、これから社交に出ていく若い乙女のように、純粋であると示す行為でした。

 お父様達の衣装も、白を基調とするそうです。王冠も豪華なものは作らない。国民に寄り添った王家を目指すと聞きました。私もその考えには賛成です。民の生活からかけ離れた豪華で贅沢な暮らしは、王家の退廃を招く一因になりますから。

「お母様、ご相談があります」

「わかりました。着替え終えたら、庭でお茶にしましょうか」

 私は私のやり方で、民を守りたい。そのために、王家は盤石な一枚岩であると示すことが重要です。私の提案は、最良の策だと思いますわ。
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