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02.もう大丈夫だ、俺がいる
お腹すいた。目が覚めたら、にゃーと鳴く毛皮の子が戻ってくる。出掛けたのかな。口に何か持ってて、僕の前に置いた。ぐいと鼻先で僕に押し付けるから、お礼を言って手に取る。なんだろう、紫色の丸いもの。手の上で転がすといい匂いがした。
「これ、たべていい?」
にゃーと返事をする。いいって言ったんだよね。口の中に入れて転がしたけど味はしなくて、噛んだら甘かった。びっくりする。ごくんと飲んでしまって、ちょっとがっかりした。もっと甘いのを長く感じたかったのに。にゃーが持ってきた枝は片手の指と同じ数の紫がついてる。
「たべる?」
にゃーの口元へ持っていくけど、ぷいっと外を向く。甘いのに、全部僕にくれるのかな。嬉しくなってもう一度お礼を言った。二つ目はゆっくり歯を立てて、じわじわと広がる甘い味に頬を包む。すごく美味しいのに、顔の奥の方がじわじわする。変な感じ。
狭い小屋を見回して、隅の方にある小さな箱に紫の粒の枝を隠した。上から草も被せる。これで取られないよね。前に庭で赤いのを見つけて持って帰ったら、見つかって取られたの。叩かれたし怖かった。だから食べ物は隠すんだよ。
にゃーは小屋の隅にある穴から出ていく。手を振って見送った。これは人がやってるのを見て覚えたんだ。出ていく人に手を振ると、本当に振り返してくれるの。でも、にゃーは手と足を使って歩くから、尻尾だけ振ってくれた。僕にも尻尾があればいいな。そうしたらにゃーと仲間なのに。
ごろりと寝転がった僕は、小屋の扉が開いた音と眩しさで目が覚めた。いつの間にかまた眠ってたみたい。お腹が空くとすごく眠いんだ。ごしごしと目を擦りながら起き上がった僕は、いきなりお腹が痛くなった。蹴られたと気づいて丸まる。
「このっ! 役立たず!! お前なんか要らないんだからな」
赤い髪と緑の目の男の子は、僕を見つけると蹴ったり殴ったりする。どっちも痛いから嫌だ。でも声を出したり泣いたりすると、もっとやられる。大人しく丸くなって動かなかった。でもお腹の横を蹴られた時、いつもより痛くて。勝手に体が震えた。
男の子がいなくなったのも気づかず、僕はがたがたと大きく震える。変だよ、何か出ちゃう。口から紫色の汁が出た。酸っぱい匂いで、口の中が気持ち悪い。腐った物食べた時と同じだ。お腹壊れちゃった。泣きながら転がって楽な姿勢を探す。
心配した光が寄ってきて、僕の痛みを消してくれた。鼻を啜って、目から零れた水を拭う。僕は要らないって言われるの、慣れちゃった。いっぱい聞いた。だから平気だよ、そう光に語り掛けた僕は誰かに抱き締められる。
温かくて大きな手、ぎゅっとした人の髪からいい匂いがした。
「遅くなってごめんな。もう大丈夫だ、俺がいる」
その声は初めて耳にしたのに懐かしくて、胸がじくじくする。鼻の奥がつんとして、僕は声も出せずに固まっていた。伸びた手が頭へ向かい、殴られると思って丸まる。でも痛くなくて、汚いと言われた黒髪に触れる手は気持ちよかった。
「これ、たべていい?」
にゃーと返事をする。いいって言ったんだよね。口の中に入れて転がしたけど味はしなくて、噛んだら甘かった。びっくりする。ごくんと飲んでしまって、ちょっとがっかりした。もっと甘いのを長く感じたかったのに。にゃーが持ってきた枝は片手の指と同じ数の紫がついてる。
「たべる?」
にゃーの口元へ持っていくけど、ぷいっと外を向く。甘いのに、全部僕にくれるのかな。嬉しくなってもう一度お礼を言った。二つ目はゆっくり歯を立てて、じわじわと広がる甘い味に頬を包む。すごく美味しいのに、顔の奥の方がじわじわする。変な感じ。
狭い小屋を見回して、隅の方にある小さな箱に紫の粒の枝を隠した。上から草も被せる。これで取られないよね。前に庭で赤いのを見つけて持って帰ったら、見つかって取られたの。叩かれたし怖かった。だから食べ物は隠すんだよ。
にゃーは小屋の隅にある穴から出ていく。手を振って見送った。これは人がやってるのを見て覚えたんだ。出ていく人に手を振ると、本当に振り返してくれるの。でも、にゃーは手と足を使って歩くから、尻尾だけ振ってくれた。僕にも尻尾があればいいな。そうしたらにゃーと仲間なのに。
ごろりと寝転がった僕は、小屋の扉が開いた音と眩しさで目が覚めた。いつの間にかまた眠ってたみたい。お腹が空くとすごく眠いんだ。ごしごしと目を擦りながら起き上がった僕は、いきなりお腹が痛くなった。蹴られたと気づいて丸まる。
「このっ! 役立たず!! お前なんか要らないんだからな」
赤い髪と緑の目の男の子は、僕を見つけると蹴ったり殴ったりする。どっちも痛いから嫌だ。でも声を出したり泣いたりすると、もっとやられる。大人しく丸くなって動かなかった。でもお腹の横を蹴られた時、いつもより痛くて。勝手に体が震えた。
男の子がいなくなったのも気づかず、僕はがたがたと大きく震える。変だよ、何か出ちゃう。口から紫色の汁が出た。酸っぱい匂いで、口の中が気持ち悪い。腐った物食べた時と同じだ。お腹壊れちゃった。泣きながら転がって楽な姿勢を探す。
心配した光が寄ってきて、僕の痛みを消してくれた。鼻を啜って、目から零れた水を拭う。僕は要らないって言われるの、慣れちゃった。いっぱい聞いた。だから平気だよ、そう光に語り掛けた僕は誰かに抱き締められる。
温かくて大きな手、ぎゅっとした人の髪からいい匂いがした。
「遅くなってごめんな。もう大丈夫だ、俺がいる」
その声は初めて耳にしたのに懐かしくて、胸がじくじくする。鼻の奥がつんとして、僕は声も出せずに固まっていた。伸びた手が頭へ向かい、殴られると思って丸まる。でも痛くなくて、汚いと言われた黒髪に触れる手は気持ちよかった。
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