【完結】絶対神の愛し子 ~色違いで生まれた幼子は愛を知る~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

文字の大きさ
80 / 105

80.ルミエルのお名前の字を覚えた

しおりを挟む
 ルミエルが欲しいと言うので、紙をもらった。そこへ丁寧に文字を書く。僕のお名前と、メリクのお名前。どちらも普段呼んでる部分だけ。

「素敵、大切にするね」

 すごく喜んでくれた。僕も嬉しい。次にシュハザが来るまでに、もっと上手に書けるようになろう。

「ねえ、私の名前の字も書いて。こんな形なの」

 ルミエルは片手分くらいだけど、多いので、ルミの部分だけ。メリクを呼んだら、石板を用意してくれた。日向の明るい場所で、何度もなぞる。お日様が出てるから、すぐに乾くね。お部屋の中より練習しやすいかも。

「ほら、二人とも帽子をかぶれ」

 メリクが僕の頭に帽子を乗せた。ルミエルも同じ帽子で、リボンが青なの。僕は一度帽子を脱いで確認した。リボンの色は赤だ。かぶり直した帽子は軽い。柔らかくなくて、乾いた葉っぱみたいな匂いがした。

「パンに使う麦を使うのよ」

 ルミエルは棒を使って、地面に絵を描いた。麦の上についてる丸が、パンになるところ。残りは馬や牛が食べるんだって。それを僕が頭に乗せてるの?

「じゃあ、たべられちゃうね」

 近くに馬や牛がきたら、帽子を守らなくちゃ! 美味しいってリボンまで食べるかも。心配になってきょろきょろしたら、ルミエルが「本当だわ」って笑った。一緒に笑って、一緒に文字を書いて、疲れたらお昼寝をした。

 その間、メリクはお家でお仕事があるんだ。邪魔しないよ。

 お昼寝は、木の下かお部屋じゃないとダメ。これはメリクやゼルクと約束したの。ルミエルもその方がいいって。にゃーが枕になってくれたから、お腹に寄りかかって目を閉じる。手を繋いだルミエルと眠った。

 にゃーが動いたので目が覚め、まだ明るいことに安心する。頑張ってルミエルの「ルミ」を書いて渡したかった。

 並んで石板を覗き込み、僕がルミを練習する。形が出来たところで、見ながら隣の紙に書いた。どうしてだろう、違う気がする。うーんと唸った僕に、ルミエルがとんとんと指で示した。

「あっ!」

 棒が一つ多い。せっかく紙に書いたのに。しょんぼりする僕の前で、ルミエルが唇に指を当てて「これは秘密よ」と言った。内緒で誰にも言わないんだね。頷いたら、ルミエルがその指で棒をなぞった。すっと消えていく。

「すごぉい」

「この紙、もらうわね」

「うん」

 嬉しそうなルミエルは、何度も紙を見つめて笑う。僕も嬉しくて笑った。お揃いだ。

「妬けるほど仲がいいな」

「やける……いたい?」

 熱いのに触って、じゅっとなると焼ける。痛い。僕は知ってる言葉を並べて首を傾げた。メリクが痛いのはやだ。

「いや、痛くない。イルが優しいからな」

「そうよ、イルが一緒にいるんだもの。メリクが痛いわけないわ」

 二人で「大切なお仕事だから、いつもメリクのそばにいるように」と言われた。言葉が少し違うのに、言ってることは同じだ。頷いて約束した。

 約束は必ず守るんだよ。だからずっと一緒にいようね。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。

桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。 戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。 『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。 ※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。 時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。 一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。 番外編の方が本編よりも長いです。 気がついたら10万文字を超えていました。 随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

処理中です...