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第7章 踊る道化の足元は
193.不要な物は処分すればよい
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賠償の話だと告げたのに、第二王子を自称する若者は意味のわからない言い訳を並べる。イザヴェル国の援軍を含め、三万以上の兵を全滅させてもまだ負けていないと主張するなら、それもよかろう。言い訳を右手を上げて遮り、オレは腕にしがみつくリリアーナに合図した。
ぱちくりと目を瞬かせたが、すぐに意図を察したようだ。大きく頷いて、握っていたクリスティーヌの手を離した。反対側に回り込んだクリスティーヌの手を握ってやると、金瞳のリリアーナの身体がぶわりと大きくなる。
両手両足に黒銀の鱗が広がり、尻尾が太く長くなった。背に広げた翼が数倍に拡大された姿に目を奪われた間、人にすれば瞬きほどの時間だろう。窮屈そうに天井を頭でつつくドラゴンがいた。人が抱え込める太さを越える尻尾が動き、謁見の間に使われた窓や壁を破壊する。
王宮の廊下へ繋がる扉を吹き飛ばし、広げた翼が天井の一部を破壊した。落ちてくる瓦礫を結界で防ぎながら、騒ぎ立てる貴族を冷めた目で見つめる。
「負けていないのであろう? ならば今から負ければ済む話だ」
賠償はこの国の広大な土地を当てれば足りる。民も貴族も不要と判断した以上、彼らを生き永らえさせる理由はなかった。首を揺らして天井を突き破ったドラゴンが咆哮を上げる。
鱗が美しい彼女の足先をぽんと叩いて、気を引いてから命じた。
「すべてを壊せ。民も構造物も不要だ」
建物も壊していいと許可を得たドラゴンは嬉しそうに、空へ向けて甲高い声を発した。転移魔法を使って、最初に降り立った庭に移動する。ご機嫌で建物を壊しながら、リリアーナは容赦なく貴族を踏み潰した。逃げる彼らを爪に引っかけて持ち上げ、じっくり眺めてから捨てる。
騎士らしき青年は剣で目に斬りつけるが、グリフォンの爪を防ぐ透明の瞼に阻まれた。ぐるぐる喉を鳴らしながら、リリアーナは謁見の間から飛び立つ。逃げる貴族を執拗に追いかけ、飛び込んだ建物を壊していく。
幼子が蟻の巣を壊すように、爪を使ってどこまでも掘り起こして処分した。逃がす気はないのだろう。尻尾や翼も活用して、全身で破壊行為を楽しむ。
屋根を突き破り、壁を蹴倒し、巨大生物の利点を生かした攻撃で王宮が瓦礫と化していく。逃げ惑う貴族を捕まえて放り投げ、踏み潰すドラゴンに対する攻撃はほとんどない。誰もが逃げることに必死だった。
時折飛んでくる矢を羽で叩き落し、槍や剣を突き付ける騎士や兵士を尻尾で叩いた。手加減なしに災厄として振舞うリリアーナは、本心から楽しんでいるのだろう。後で褒めてやらなければならないな。
「……誰だ?」
近づく魔力の大きさに眉をひそめる。オリヴィエラではない。だが覚えのある感じに、正体に気づいて口元を緩めた。まさか参戦する気か? 問題は奴がどちらを敵とみなすか、だが……。今更オレに牙を剥くほど愚かでもあるまい。
見上げた先に現れた魔力の持ち主に、リリアーナが警戒の唸りを上げた。
ぱちくりと目を瞬かせたが、すぐに意図を察したようだ。大きく頷いて、握っていたクリスティーヌの手を離した。反対側に回り込んだクリスティーヌの手を握ってやると、金瞳のリリアーナの身体がぶわりと大きくなる。
両手両足に黒銀の鱗が広がり、尻尾が太く長くなった。背に広げた翼が数倍に拡大された姿に目を奪われた間、人にすれば瞬きほどの時間だろう。窮屈そうに天井を頭でつつくドラゴンがいた。人が抱え込める太さを越える尻尾が動き、謁見の間に使われた窓や壁を破壊する。
王宮の廊下へ繋がる扉を吹き飛ばし、広げた翼が天井の一部を破壊した。落ちてくる瓦礫を結界で防ぎながら、騒ぎ立てる貴族を冷めた目で見つめる。
「負けていないのであろう? ならば今から負ければ済む話だ」
賠償はこの国の広大な土地を当てれば足りる。民も貴族も不要と判断した以上、彼らを生き永らえさせる理由はなかった。首を揺らして天井を突き破ったドラゴンが咆哮を上げる。
鱗が美しい彼女の足先をぽんと叩いて、気を引いてから命じた。
「すべてを壊せ。民も構造物も不要だ」
建物も壊していいと許可を得たドラゴンは嬉しそうに、空へ向けて甲高い声を発した。転移魔法を使って、最初に降り立った庭に移動する。ご機嫌で建物を壊しながら、リリアーナは容赦なく貴族を踏み潰した。逃げる彼らを爪に引っかけて持ち上げ、じっくり眺めてから捨てる。
騎士らしき青年は剣で目に斬りつけるが、グリフォンの爪を防ぐ透明の瞼に阻まれた。ぐるぐる喉を鳴らしながら、リリアーナは謁見の間から飛び立つ。逃げる貴族を執拗に追いかけ、飛び込んだ建物を壊していく。
幼子が蟻の巣を壊すように、爪を使ってどこまでも掘り起こして処分した。逃がす気はないのだろう。尻尾や翼も活用して、全身で破壊行為を楽しむ。
屋根を突き破り、壁を蹴倒し、巨大生物の利点を生かした攻撃で王宮が瓦礫と化していく。逃げ惑う貴族を捕まえて放り投げ、踏み潰すドラゴンに対する攻撃はほとんどない。誰もが逃げることに必死だった。
時折飛んでくる矢を羽で叩き落し、槍や剣を突き付ける騎士や兵士を尻尾で叩いた。手加減なしに災厄として振舞うリリアーナは、本心から楽しんでいるのだろう。後で褒めてやらなければならないな。
「……誰だ?」
近づく魔力の大きさに眉をひそめる。オリヴィエラではない。だが覚えのある感じに、正体に気づいて口元を緩めた。まさか参戦する気か? 問題は奴がどちらを敵とみなすか、だが……。今更オレに牙を剥くほど愚かでもあるまい。
見上げた先に現れた魔力の持ち主に、リリアーナが警戒の唸りを上げた。
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