4 / 53
第1章
3.出会い
しおりを挟むはじめて、あいつ…カマエルに出会ったのは僕がまだ小さい頃。
その頃にはもうすでに僕は1人で、お花を眺めるのが日課になっていた。
そんな日課を邪魔する冬が魔界にはある。
冬がやってくると僕の日課はできない。
なぜかと言うと冬は花たちがなりをひそめてしまうのだ。
魔界の冬はとても厳しい。
魔界は一年のうち半分は冬になる。
日射時間がグッと減り、気温も人間だと活動できないほどまで下がる。
魔族は熱や寒さに耐性があるため動けないこともないがそれでも好き好んで外に出る奴はいない。
だんだん夜の時間が短くなり朝が来るようになると春の訪れといわれる。
冬の間は花を閉じ彼等は身をひそめる。
僕自身も外に出られなかったため、春の訪れと同時に僕は逸る気持ちのまま彼等の元へ駆けていった。
彼等は今年も厳しい冬を乗り越え凛として花を咲かせていた。
そんな彼等を眺めていたある日、
僕以外のいない花畑に誰かが来る気配がして振り返ると、
肩まで伸ばした金の髪をなびかせ、大きな白い羽根をたたみながら空から着地した天使だった。
あまりにも魔界に不釣り合いで神秘的であったため、
不覚にも僕はその姿に見惚れてしまった。
それが僕とカマエルの出会い。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる