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29 目覚め
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フェリチアーノが倒れたその日、夜から熱が上がってしまったフェリチアーノは意識が戻らないまま三日間を王宮で過ごした。
その間テオドールは片時も離れずに、ベッドの横でフェリチアーノが起きるのをひたすら待っていた。
荒い呼吸を繰り返していたかと思えば、夜には寝息すら聞こえず、テオドールは気が気では無かった。
ディッシャーを呼び確認させても、彼は風邪だろうとの診断を下すだけだった。
テオドール自身は、小さい頃以外で風邪などひいたことが無かった。こんなに苦しい物だっただろうか? と記憶を辿るが、ここまで寝込むような事等、生まれてこの方味わった事が無い。
王族の健康面は常に管理されている為、両親も兄も姉もめったな事で病にかかる事は無い。病を患っても暫くは隔離される為に、目の前のフェリチアーノの様な状態を見る機会も今までに無かった。
その為にテオドールは今のフェリチアーノの状態が本当にただの風邪であり、ディッシャーが言うようにすぐに治る物なのかの判断が付かなかったのだ。
ロイズが咎めるのも聞かずに、テオドールはベッドの側に夜も留まり続けた。
呼吸が浅くなるフェリチアーノに、もしかしたらこのまま儚くなってしまうのではないかと悪い考えが過ってしまい、余計に寝れなくなり、フェリチアーノの側を離れる事が出来なくなってしまったからだ。
それ程までにフェリチアーノの顔色は悪く、噴水から抱き上げた時の体は軽かった。
「殿下、お体に障りますからいい加減ちゃんと寝てください」
「これくらいなんともない」
「ではせめてスープだけでもお飲みください。殿下が倒れては元も子もありませんよ?」
「あぁ……そうだな」
目の下に隈を作りながら、食事も碌に取らずにフェリチアーノの側に居るテオドールにしびれを切らしたロイズは、その日の夜サライアスから許可を貰い、ディッシャーから軽めの睡眠薬を処方してもらうと、スープに混ぜテオドールに飲ませた。
暫くしてから聞こえて来たテオドールの寝息に、やっとかと溜息を吐きながら、ベットに突っ伏した状態のテオドールにブランケットを掛け、フェリチアーノの状態を確かめてから、控えの部屋へと下がった。
ふんわりと意識が浮上していき、微かに瞼を持ち上げれば、見知らぬ天井が見え、ぼんやりした思考がそれにより鮮明になっていった。
全身がまるで重りを付けたように重く、夜着が体に張り付き、気持ちが悪い。
ここは何処だと顔を横に向ければ、そこにはすやすやと眠るテオドールの姿があり、あまりの衝撃に声を上げそうになったが、乾き貼りついた喉ではそもそも悲鳴すら上がらなかった。
体を起こす事が出来ずに、顔を動かし部屋の中を確認する。自身の部屋でない事は明らかで、テオドールが居る事も考えるとここは王宮である事に間違いなかった。
視線を真上に戻し、ゆっくりと深呼吸をしてから、何があったかを思い出そうと記憶を探る。
最後に見た景色は噴水の前での光景だ。ゆらゆらと揺れる水に吸い込まれる様に力が抜け、そこからの記憶がない。
倒れて意識を失った、と言う事だろう。折角お互いに楽しみにしていた日だと言うのに、とんだ失態を犯してしまったと、フェリチアーノは歯噛みする。
いつもより体調は良かった筈で、何よりも今まで倒れた事等無かったと言うのに。
「なんでこのタイミングで……」
喉の奥で声にならない程の声で呟いたフェリチアーノは、自身の体の状態をこの時初めて恨めしく思った。
倒れてここに連れて来られてと言う事は、医師に診察された可能性がある。サライアスにはテオドールに伏せるように言ってある体の状態をもし知られてしまったら、この楽しい時間が終わりを迎えてしまうのだろうか。
全ての采配はテオドールに掛かっていると言う事は、テオドールがフェリチアーノを切ればこの恋人ごっこもそこまでと言う訳だ。
心優しいテオドールの事だ、フェリチアーノの状態を知ってしまえば負担を掛けまいとごっこ遊びを止めようと提案する事もあり得るのではないだろうか。
「それは……なんだか嫌だな」
王宮でのひと時も、手紙のやり取りも、短時間だけであったが初めてのデートも、何もかもが新鮮で、わくわくして現実から目を背けていられるあの時間が、楽しかったのだ。
それが自身の体のせいでなくなるなど、以ての外だ。
チラリと横で規則正しい寝息を立てながら眠るテオドールを見る。
もしも、テオドールに知られていなければ。全力で隠し通そうとフェリチアーノはテオドールの寝顔を見ながら決意する。
どうせ死ぬなら、全力で楽しみたいのだ。この短期間でこんなにも心が躍ったのだから、ごっこ遊びを続ければ、楽しい思い出も増えるだろう。
死ぬまであんな家族の嫌な思い出に纏わりつかれるのはごめんだ。
そして終わりが来たときは、思い出と共に、笑顔でテオドールの元から去ればいい。
その間テオドールは片時も離れずに、ベッドの横でフェリチアーノが起きるのをひたすら待っていた。
荒い呼吸を繰り返していたかと思えば、夜には寝息すら聞こえず、テオドールは気が気では無かった。
ディッシャーを呼び確認させても、彼は風邪だろうとの診断を下すだけだった。
テオドール自身は、小さい頃以外で風邪などひいたことが無かった。こんなに苦しい物だっただろうか? と記憶を辿るが、ここまで寝込むような事等、生まれてこの方味わった事が無い。
王族の健康面は常に管理されている為、両親も兄も姉もめったな事で病にかかる事は無い。病を患っても暫くは隔離される為に、目の前のフェリチアーノの様な状態を見る機会も今までに無かった。
その為にテオドールは今のフェリチアーノの状態が本当にただの風邪であり、ディッシャーが言うようにすぐに治る物なのかの判断が付かなかったのだ。
ロイズが咎めるのも聞かずに、テオドールはベッドの側に夜も留まり続けた。
呼吸が浅くなるフェリチアーノに、もしかしたらこのまま儚くなってしまうのではないかと悪い考えが過ってしまい、余計に寝れなくなり、フェリチアーノの側を離れる事が出来なくなってしまったからだ。
それ程までにフェリチアーノの顔色は悪く、噴水から抱き上げた時の体は軽かった。
「殿下、お体に障りますからいい加減ちゃんと寝てください」
「これくらいなんともない」
「ではせめてスープだけでもお飲みください。殿下が倒れては元も子もありませんよ?」
「あぁ……そうだな」
目の下に隈を作りながら、食事も碌に取らずにフェリチアーノの側に居るテオドールにしびれを切らしたロイズは、その日の夜サライアスから許可を貰い、ディッシャーから軽めの睡眠薬を処方してもらうと、スープに混ぜテオドールに飲ませた。
暫くしてから聞こえて来たテオドールの寝息に、やっとかと溜息を吐きながら、ベットに突っ伏した状態のテオドールにブランケットを掛け、フェリチアーノの状態を確かめてから、控えの部屋へと下がった。
ふんわりと意識が浮上していき、微かに瞼を持ち上げれば、見知らぬ天井が見え、ぼんやりした思考がそれにより鮮明になっていった。
全身がまるで重りを付けたように重く、夜着が体に張り付き、気持ちが悪い。
ここは何処だと顔を横に向ければ、そこにはすやすやと眠るテオドールの姿があり、あまりの衝撃に声を上げそうになったが、乾き貼りついた喉ではそもそも悲鳴すら上がらなかった。
体を起こす事が出来ずに、顔を動かし部屋の中を確認する。自身の部屋でない事は明らかで、テオドールが居る事も考えるとここは王宮である事に間違いなかった。
視線を真上に戻し、ゆっくりと深呼吸をしてから、何があったかを思い出そうと記憶を探る。
最後に見た景色は噴水の前での光景だ。ゆらゆらと揺れる水に吸い込まれる様に力が抜け、そこからの記憶がない。
倒れて意識を失った、と言う事だろう。折角お互いに楽しみにしていた日だと言うのに、とんだ失態を犯してしまったと、フェリチアーノは歯噛みする。
いつもより体調は良かった筈で、何よりも今まで倒れた事等無かったと言うのに。
「なんでこのタイミングで……」
喉の奥で声にならない程の声で呟いたフェリチアーノは、自身の体の状態をこの時初めて恨めしく思った。
倒れてここに連れて来られてと言う事は、医師に診察された可能性がある。サライアスにはテオドールに伏せるように言ってある体の状態をもし知られてしまったら、この楽しい時間が終わりを迎えてしまうのだろうか。
全ての采配はテオドールに掛かっていると言う事は、テオドールがフェリチアーノを切ればこの恋人ごっこもそこまでと言う訳だ。
心優しいテオドールの事だ、フェリチアーノの状態を知ってしまえば負担を掛けまいとごっこ遊びを止めようと提案する事もあり得るのではないだろうか。
「それは……なんだか嫌だな」
王宮でのひと時も、手紙のやり取りも、短時間だけであったが初めてのデートも、何もかもが新鮮で、わくわくして現実から目を背けていられるあの時間が、楽しかったのだ。
それが自身の体のせいでなくなるなど、以ての外だ。
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もしも、テオドールに知られていなければ。全力で隠し通そうとフェリチアーノはテオドールの寝顔を見ながら決意する。
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