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41 掴む心
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始めは浅くだがそれは次第に深さを増していき、お互いに何かを求める様に何度も角度を変えながらも唇は決して離れずに、二人は暫くの間互いの熱を求めあった。
フェリチアーノは縋りつくようにおずおずとテオドールの胸元を握りしめ、その熱に浮かされていき、先程まで感じていた不安を払拭するようにテオドールを求めた。
それに答える様にテオドールもフェリチアーノの体に巻き付けた腕の力を緩める事も無く、フェリチアーノが痛がる手前の絶妙な力加減でどこにも逃げられない様に抱きしめた。
あまりにも近いのに、お互いの心が遠い。そう感じている二人だが、お互いそれに気が付かない。
フェリチアーノは知らない感情に翻弄され、テオドールは知識だけはある感情に翻弄された。互いに求めている物は同じであるにも拘らず、今の二人では交わる事が無い。
そんな中先に痺れを切らしたのはテオドールだった。湧き上がる思いはとうとう閉じた蓋を押し上げ、外へと突き上げ溢れ出す。
どうしたって溢れ募る思いは止まらない。それをずっと隠して居られる程の思いでも無かった。
唇をゆっくりと外し、目を伏せ呼吸を整えるフェリチアーノを見る。こんな状態のフェリチアーノを知るのは自分だけでなければと言う独占欲が沸き起こり、今までフェリチアーノに触れて来たであろう人間にまで嫉妬心を向けてしまう程だ。
テオドールが婚約しこの遊びが終わった途端、誰かに取られてしまう事は確実だろう。フェリチアーノはそれ程美しい。その事実がテオドールとの遊びのせいで更に知れ渡ってしまったのだから。
けれども誰にも取られたくは無いと言う感情がどうしたって無くならない、それどころか更に増すばかりなのだ。
「フェリ」
懇願する様に、神にをも祈る気持ちでテオドールはフェリチアーノを呼ぶと、その言葉を口にした。
「好きだフェリチアーノ、恋人ごっこじゃなく俺と本当の恋人になってくれ」
テオドールの言葉が熱で浮かされたフェリチアーノの頭に浸透していき、何度も脳内で反芻する。漸くその意味を理解したフェリチアーノの瞳は極限にまで見開かれた。
不安は一気に四散し、体中の血が騒めき脳が歓喜に震える。ドキドキと高鳴る鼓動でフェリチアーノは漸く理解できなかった感情が一体何であったかと理解した。
寂しさも離れがたさも、嫌悪感の無さも全てはそこに繋がっていたというのに、あまりにも疎遠であった感情の為に今の今までそれに思い至らず、よくわからないままに混乱していたのだ。
何なのかを理解してしまえば胸にストンと落ちて来て、湧き上がる感情に押しつぶされそうに成る程の嬉しさが涙になって溢れた。
ぽろぽろと涙し始めたフェリチアーノに大いに戸惑ったテオドールだったが、涙を流しながら柔らかく微笑んだフェリチアーノを見て息が止まる。
「嬉しい」
そう囁きに近い声で紡がれた言葉に、テオドールはへにゃりと破顔させフェリチアーノを抱きしめた。それに答える様にフェリチアーノはテオドールの背中に腕を回し抱きしめ返す。
多幸感が全身を包み込み、心の底から満たされていく感覚をフェリチアーノは思う存分味わっていた。
「本当はフェリに伝えるつもりは無かったんだ。告げないまま、ごっこ遊びを終わらせるつもりだった。だけど俺は、フェリがこの遊びが終わった後に誰かの物になるのは耐えられそうにない」
微かに震える声でフェリチアーノの肩口に顔を埋めたテオドールが噛み締める様に言葉を紡ぐ。
その言葉を聞きながら、フェリチアーノはゆっくりと現実に引き戻されそして手首から僅かに覗いた刺青に心が軋む様に痛んだ。
「婚約の事も、きっと何とかするから。時間は幸いまだあるし、二人で考えよう。こんな状態で言うのは情けないけど、俺の側にずっと居てくれ」
小さく頷いたフェリチアーノにテオドールはやっと体から力を抜き、嬉しそうに頬にキスを落とした。
この上なく幸せで掛け替えのないこの瞬間の全てを忘れる事など、最後の時まで無いだろうとフェリチアーノは思うのだった。
フェリチアーノは縋りつくようにおずおずとテオドールの胸元を握りしめ、その熱に浮かされていき、先程まで感じていた不安を払拭するようにテオドールを求めた。
それに答える様にテオドールもフェリチアーノの体に巻き付けた腕の力を緩める事も無く、フェリチアーノが痛がる手前の絶妙な力加減でどこにも逃げられない様に抱きしめた。
あまりにも近いのに、お互いの心が遠い。そう感じている二人だが、お互いそれに気が付かない。
フェリチアーノは知らない感情に翻弄され、テオドールは知識だけはある感情に翻弄された。互いに求めている物は同じであるにも拘らず、今の二人では交わる事が無い。
そんな中先に痺れを切らしたのはテオドールだった。湧き上がる思いはとうとう閉じた蓋を押し上げ、外へと突き上げ溢れ出す。
どうしたって溢れ募る思いは止まらない。それをずっと隠して居られる程の思いでも無かった。
唇をゆっくりと外し、目を伏せ呼吸を整えるフェリチアーノを見る。こんな状態のフェリチアーノを知るのは自分だけでなければと言う独占欲が沸き起こり、今までフェリチアーノに触れて来たであろう人間にまで嫉妬心を向けてしまう程だ。
テオドールが婚約しこの遊びが終わった途端、誰かに取られてしまう事は確実だろう。フェリチアーノはそれ程美しい。その事実がテオドールとの遊びのせいで更に知れ渡ってしまったのだから。
けれども誰にも取られたくは無いと言う感情がどうしたって無くならない、それどころか更に増すばかりなのだ。
「フェリ」
懇願する様に、神にをも祈る気持ちでテオドールはフェリチアーノを呼ぶと、その言葉を口にした。
「好きだフェリチアーノ、恋人ごっこじゃなく俺と本当の恋人になってくれ」
テオドールの言葉が熱で浮かされたフェリチアーノの頭に浸透していき、何度も脳内で反芻する。漸くその意味を理解したフェリチアーノの瞳は極限にまで見開かれた。
不安は一気に四散し、体中の血が騒めき脳が歓喜に震える。ドキドキと高鳴る鼓動でフェリチアーノは漸く理解できなかった感情が一体何であったかと理解した。
寂しさも離れがたさも、嫌悪感の無さも全てはそこに繋がっていたというのに、あまりにも疎遠であった感情の為に今の今までそれに思い至らず、よくわからないままに混乱していたのだ。
何なのかを理解してしまえば胸にストンと落ちて来て、湧き上がる感情に押しつぶされそうに成る程の嬉しさが涙になって溢れた。
ぽろぽろと涙し始めたフェリチアーノに大いに戸惑ったテオドールだったが、涙を流しながら柔らかく微笑んだフェリチアーノを見て息が止まる。
「嬉しい」
そう囁きに近い声で紡がれた言葉に、テオドールはへにゃりと破顔させフェリチアーノを抱きしめた。それに答える様にフェリチアーノはテオドールの背中に腕を回し抱きしめ返す。
多幸感が全身を包み込み、心の底から満たされていく感覚をフェリチアーノは思う存分味わっていた。
「本当はフェリに伝えるつもりは無かったんだ。告げないまま、ごっこ遊びを終わらせるつもりだった。だけど俺は、フェリがこの遊びが終わった後に誰かの物になるのは耐えられそうにない」
微かに震える声でフェリチアーノの肩口に顔を埋めたテオドールが噛み締める様に言葉を紡ぐ。
その言葉を聞きながら、フェリチアーノはゆっくりと現実に引き戻されそして手首から僅かに覗いた刺青に心が軋む様に痛んだ。
「婚約の事も、きっと何とかするから。時間は幸いまだあるし、二人で考えよう。こんな状態で言うのは情けないけど、俺の側にずっと居てくれ」
小さく頷いたフェリチアーノにテオドールはやっと体から力を抜き、嬉しそうに頬にキスを落とした。
この上なく幸せで掛け替えのないこの瞬間の全てを忘れる事など、最後の時まで無いだろうとフェリチアーノは思うのだった。
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