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68 妖精
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「今度は妖精……魔法が使えたり、魔王に魔獣に魔族に、本当にこの世界はファンタジー映画かゲームだな」
今ここにいちかが居れば、妖精が実在したことにどれだけ喜んだことだろうか。きっと目を輝かせて、捕まえようと春輝を引っ張り奮闘するに違いない。
そう思いながらふっと頬を緩めていた春輝だが、春輝以外は誰もが表情を険しくしていた。
「まぁそれがパンの中に入っているのはいただけないけどな。気色悪い」
「いや、ハルキ。この世界でも妖精はおとぎ話の存在だ」
「は? でも実際にいるだろ。パンの中に、羽だけだけど」
妖精だと言い出したトビアスに春輝が視線を向ければ、トビアスは手にしたパンを皿に戻しながら、記憶を探るように話す。
「この世界に妖精が居るのは事実です。正しくは“居た”ですが」
トビアスにあるドラゴンの記憶によれば、妖精と言われる種族が居たのは今から六百年も前だと言う。
その頃この世界には魔族、精霊、人間と三種族が共存していた。だが精霊族は見目が美しいのだがプライドが高く、他種族を一番に見下す種族。
三種族は度々衝突し、世界はその度に荒れた。だが六百年前に起きた衝突はそれまでの物とは違っていた。
時の魔王と、人間側の王達が手を組み、目障りな精霊族を滅ぼしたのだ。捕虜となった精霊族の者達はそう多くはなかったが、どれも悲惨な道を辿り全てが消え去った。
妖精は精霊族の中でも一番力が弱い生き物で、真っ先に姿を消した存在だと言う。
「ですので、ここにこの羽があるのが不思議でなりません」
「生き残りが居たんじゃないのか」
「そう考えるのが普通でしょう。しかし精霊族の繁殖方法は特殊で、そのせいで滅ぼされたと言ってもいいのです。ですから余計にこれがここにあるのが信じられない」
種族内での繁殖ができない種族であるため、精霊族の繁殖方法は他人の腹を借りることだと言う。
そして精霊族の種は精霊王しか持たず、他は繁殖を行えはするが、妖精以外は生まれない。
精霊族は人間を拐い、繁殖を行なっていた。時には魔族も含まれたが、魔族より人間を攫う方が圧倒的に多かったのだ。
人間側は対抗策として、魔族の領土を広げることを条件にして魔王と手を組むこととなった。
精霊族を根絶やしにするため、精霊王になり得る者から徹底的に殲滅された。次代や次々代が生まれる可能性を徹底的に潰されたのだ。
故に種を作れる者はおらず、戦いによって究極にまで減らされた数はただ死を待つ以外なかった。
「精霊族は、魔族の。特にドラゴンには耐性が非常に弱く、この戦いでドラゴンが一番活躍したようです。ただそのせいで数がすっかり減り、私以前のドラゴンのみが辛うじて生きていたようです」
「精霊族が復活している、と言うことか。天敵がこちら側にいるのは幸だな。ただ見た目はどうだ? 魔族のように見ただけでかわかるか?」
「男女問わず見目が美しい者が多い以外、人間と然程変わらないようです……あぁそれと」
トビアスは春輝に真剣な表情を視線を向けてくる。
「精霊族の血は、緑です」
今ここにいちかが居れば、妖精が実在したことにどれだけ喜んだことだろうか。きっと目を輝かせて、捕まえようと春輝を引っ張り奮闘するに違いない。
そう思いながらふっと頬を緩めていた春輝だが、春輝以外は誰もが表情を険しくしていた。
「まぁそれがパンの中に入っているのはいただけないけどな。気色悪い」
「いや、ハルキ。この世界でも妖精はおとぎ話の存在だ」
「は? でも実際にいるだろ。パンの中に、羽だけだけど」
妖精だと言い出したトビアスに春輝が視線を向ければ、トビアスは手にしたパンを皿に戻しながら、記憶を探るように話す。
「この世界に妖精が居るのは事実です。正しくは“居た”ですが」
トビアスにあるドラゴンの記憶によれば、妖精と言われる種族が居たのは今から六百年も前だと言う。
その頃この世界には魔族、精霊、人間と三種族が共存していた。だが精霊族は見目が美しいのだがプライドが高く、他種族を一番に見下す種族。
三種族は度々衝突し、世界はその度に荒れた。だが六百年前に起きた衝突はそれまでの物とは違っていた。
時の魔王と、人間側の王達が手を組み、目障りな精霊族を滅ぼしたのだ。捕虜となった精霊族の者達はそう多くはなかったが、どれも悲惨な道を辿り全てが消え去った。
妖精は精霊族の中でも一番力が弱い生き物で、真っ先に姿を消した存在だと言う。
「ですので、ここにこの羽があるのが不思議でなりません」
「生き残りが居たんじゃないのか」
「そう考えるのが普通でしょう。しかし精霊族の繁殖方法は特殊で、そのせいで滅ぼされたと言ってもいいのです。ですから余計にこれがここにあるのが信じられない」
種族内での繁殖ができない種族であるため、精霊族の繁殖方法は他人の腹を借りることだと言う。
そして精霊族の種は精霊王しか持たず、他は繁殖を行えはするが、妖精以外は生まれない。
精霊族は人間を拐い、繁殖を行なっていた。時には魔族も含まれたが、魔族より人間を攫う方が圧倒的に多かったのだ。
人間側は対抗策として、魔族の領土を広げることを条件にして魔王と手を組むこととなった。
精霊族を根絶やしにするため、精霊王になり得る者から徹底的に殲滅された。次代や次々代が生まれる可能性を徹底的に潰されたのだ。
故に種を作れる者はおらず、戦いによって究極にまで減らされた数はただ死を待つ以外なかった。
「精霊族は、魔族の。特にドラゴンには耐性が非常に弱く、この戦いでドラゴンが一番活躍したようです。ただそのせいで数がすっかり減り、私以前のドラゴンのみが辛うじて生きていたようです」
「精霊族が復活している、と言うことか。天敵がこちら側にいるのは幸だな。ただ見た目はどうだ? 魔族のように見ただけでかわかるか?」
「男女問わず見目が美しい者が多い以外、人間と然程変わらないようです……あぁそれと」
トビアスは春輝に真剣な表情を視線を向けてくる。
「精霊族の血は、緑です」
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